眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

不在

2011-12-06 | 
作成された記載書に虚偽が散布される頃
 君は街に辿り着いたのだろうか?
  薄明かりの中でまどろみ
   卵の殻の中で夢を見る
    諦観という観念を知りえた
     細工された意識を仏壇に供え
      己の馬鹿馬鹿しさに呆れ果て
       ウイスキーの瓶に勝手に手が動いた
        一体
         何かを残すという行為に
          一抹の哀しみを禁じえない
           だって
            だってあなたが居なくなるのに
             あなたの何かが残されるなんて
              いくら雑食動物でも
               それだけは食せない

               空耳だろうか?
              真冬に風鈴の音色がした
             今はいない君の声がする
            繰り返し僕の名前を呼ぶ
           あの暑い夏の記憶
          散在される写真の枚数は決して多すぎることは無い
         抱きしめようとしたけれど
        抱きしめられなかった想い
       虚脱の午後
      静物画の様なデッサンで孤独を模倣する

     ひとつだけ命令が或る
    俺の前に逝くな
   僕はひどく怒った
  こっちのせりふだ
 残されたものを眺めてオークションにかける思案をする

いなくならないで



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静寂

2011-12-02 | 
静寂がないと生きてゆけないのに
 静寂があると死んでしまいそうになる
  哀しみの連鎖反応
   身に付いてしまった癖はなかなか治らない
    今日も精神に補装具をはめ
     歪んだ日常の羅列を矯正しようと試みるのだが
      なかなかもって上手くゆかない
        どうして静けさにほっとするのだろう
         どうして静けさに嘔吐する位哀しくなってしまうのだろう
          そろそろこの街も肌寒くなってしまうのだ
           静寂の夜
            僕の声は君には永遠に届かない
             手紙にしたためた言葉たちは行き場を失くす
              
    いつもの様に風邪をひいた
     解熱剤を飲んで
      ベッドに寝転がる
       それでも眠れないので
        ジャックダニエルをちびりちびりとやり始める
         壊れかけた再生機で
          カーボーイジャンキーズを流した
           バーボンを舐め
            そっと煙草をくわえる
             百円ライターが切れた
              しばらく悩んでガスコンロで火を点けた
               換気扇を回し
                しばらくのあいだ耳をすました
                 換気扇の回る音だけがする
                ふと想った
               嗚呼、世界はこの瞬間にも回っているのだ
              地上はゆっくりと回転し
             月が優しく微笑みかける
            微熱の頭で世界が回る音を探した

           とにかく騒がしい喧騒が嫌いだ
          余計な音楽や場末の飲み屋の喧騒がうっとおおしい
         だがしかし
        部屋で独りきりで飲む酒が
       やたらと人恋しくなる時間
      埃の被った記憶を再生させる
     奇妙な雑音と共に記憶が語り始める
    昔々のお話だ
   届かなかった想い
  やはり独りきりの部屋で酒を飲んでいた
 
 どうしてこんなにも静寂が耐え切れないのだろう
  そして僕は記憶に於ける君の存在を立証しようとする
   奇天烈な化学反応を試してみる
    2本のフラスコから青い煙が立ち昇り
     ビーカーの中で紫色の水泡が泡立つ

      こぽ コポ こぽ

       爆発するぞ、逃げろ
        皆がざわめき始め
         科学教師が消火器で僕の想いを鎮火させた
          罰として1800字のレポートを提出させられた

           
          罰なんだね


          この静寂の孤独は


          記憶の再生が終わった




        まるで深海に沈む鯨の骨の様に


        やがて白い息を吐くのだろう

 
         適度な嗚咽と共に



        静寂がないと生きてゆけないのに



       静寂があると死んでしまいそうになる










   
     






                
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