広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

遠足か社会科見学か社会見学か

2023-05-26 18:04:00 | 地震
今日で、日本海中部地震から40年。
1983(昭和58)年5月26日に発生したマグニチュード7.7の地震で、特に津波による犠牲者が多かった(当時の記憶などは、下記リンクの2018年の記事にて)。

今年は節目の年ということで、県内の報道機関や大学が特集を組んだり展示会を開催したり、秋田地方気象台がホームページをリニューアルしたりしている。
地震を知らない秋田県民も増えているが、我々、記憶にある県民としては、今年でちょうど100年の関東大震災よりも、東日本大震災よりも、痛ましい被害と備えの大切さを意識させ、気持ちを引き締めさせられる日。


日本海中部地震に関して、個人的に気になっているのが2018年に記事にした「遠足か社会科見学か」
本筋からは離れた些細な点ではある。だけど、些細であっても、極力、事実を忠実に記録し、後世に残していくべきだと考える。本筋でない周辺の情報を正しく記すことが、リアルな記憶と結びつき、よりリアルな記録となっていくはずだから。

改めてまとめると、
学校行事で男鹿市の海岸を訪れていた、北秋田郡合川町(2005年の合併により北秋田市)の町立合川南小学校(2012年閉校)の児童が、地震による津波の犠牲となった。
その学校行事の名称について、報道機関によって「遠足」とするものと「社会科見学」とするものに分かれていた。両者を同一の学校行事と見なすのは違和感があると思うのに。

個人的には「遠足」が正解だと思っていた。なぜなら、
・当時の記憶でも、その後現在に至るまで秋田魁新報など多くのマスコミでも「遠足」としている。
・「社会科見学」とするのは、この10年ほどのNHKのみ(昔はNHKも遠足だった)である。
・2018年当時、北秋田市のサイトを検索しても、「遠足」としているものがほとんど(「社会見学」表記もあった)。
という理由から。
若手職員や人事異動が多いNHKにおいて、このような誤解はままあるから、「社会科見学」もその1つではないかと思っていた。
40年を迎えた今年も、NHKのみ社会科見学なのは変わっていない。
秋田魁新報には、1983年5月27日付 朝刊16面の一部が掲載されたが、その見出しは「遠足暗転、山の子に大波」で、上記記憶を裏付ける。

ところが。

北秋田市のサイトに2020年5月22日付で「あの時の地震を忘れない(No.1) 昭和58年(1983年)5月26日正午」というページができていた(コンテンツ番号11114)。
そのページにも、「遠足中の合川南小児童13人」とある。
しかし。
「当時の広報誌」として、合併前の3町の広報がPDFファイルでアップされている。
旧鷹巣町は、町内の被害状況の写真が多めの3ページ、旧森吉町は簡単に1/4ページ程度で、いずれも合川南小学校については触れていない。

合川町は、1983年6月23日発行「広報あいかわ '83/6月 301号」。トップ2ページを使って、6月5日に学校で行われた合同告別式での追悼のことばを中心とした構成。
冒頭のリード文、児童代表の5年生の文、児童会長の文では、被災時の学校行事をいずれも「科」が入らない、「社会見学」と称している。
リード文では「社会見学の途中」


佐々木喜久治知事(当時)の弔事も掲載され、「男鹿半島への遠足」としているが、その直後で「社会科の勉強のため県庁を見学にこられました。」とある。
2021年5月26日の秋田魁新報の1面コラム「北斗星」にも記されていたように、一行は県庁見学後、男鹿へ向かった。


被災したのは、4年生と5年生であったことは以前に知っていた。児童会長の文に、当日の他学年の動向が記されていた。
「六年生は函館へ、四年生五年生は男鹿方面へ、三年生は大館方面へ、一年生二年生はたかの巣方面へ―。四年生五年生の男鹿方面へ社会見学というのはすばらしいことでした。」
全校一斉に、学校を空けていたことになり、6年生のは、一般的には修学旅行だろう。

※以下は推測・憶測です。
(少なくとも当時の)秋田市立小学校では、遠足は1~5年生が同日、別の日に6年生が修学旅行、社会科見学は必要に応じて学年ごとに、という日程だったから、だいぶ違う。
当時の合川町ではそれが普通だったのかもしれないし、合川南小学校は小規模校(当時の全校児童108名?)だったので、給食の手配などの都合上、同日に設定したのかもしれない。


上記、2018年の北秋田市サイトの「社会見学」表記というのは、2005年3月発行の旧合川町の「広報あいかわ」最終号(No.560)の「合川町50年を振り返って」の年表内。
ということは、合川町時代の合川町の中に限っては、行事名は「社会見学」であったということで、合意形成がされていたのかもしれない。

少なくとも秋田市の感覚では、「科」がない「社会見学」という学校行事に聞き覚えがない。合川町独自の名称だったのか。
当時の秋田県庁(知事の弔事)や魁など各マスコミでも、その考えかたで、「社会見学」を「遠足」と言い換えたのだろうか。
知事の弔事では、「遠足の中に組み込まれた、社会科見学的要素」として県庁を見学しに来たと、とらえて、上記のような言い回しになったのではないか。

ほかにも、秋田県庁が昔の映像ニュースというか県政ニュースみたいなのを、YouTubeで公開しており、その1つ「県政この一年 マグニチュード7.7 県内に大きな被害 ~日本海中部地震~(美の国あきたネット コンテンツ番号19573)」の中でも、ナレーションで「遠足に訪れていた」としている(BGMが不適切なほど明るい)。「この一年」だから1983年末の製作と考えられるが、発生から半年経過し、記録としてある程度固まった段階でも、秋田県は「遠足」と認識していたと言えよう。



時が経ち、合川町が北秋田市になると、北秋田市自身も「遠足」表記を使うように変わった。
一方で、NHK秋田放送局が「社会科見学」に改めた。それは、当時の合川町の資料に当たって「社会見学」であることに気付いたからかもしれない。
ただ、なぜか「科」を入れてしまった。「社会見学」という学校行事はあまり聞かないから、一般的な「社会科見学」に置き換えてしまったのか。

「社会科見学」だと、当時の合川町の表記とは微妙に異なることになり、正確であるとは言えない。
一方で、今まで疑ってしまっていたような、NHKが勝手に遠足を言い換えて間違えているとも言い切れなくなる。


今年の複数の新聞記事では、亡くなった児童の遺族や、被災したものの助かった児童の現在を伝えていた。どちらも「遠足」表記。
インタビューを受けた人が、新聞記者に対し、「いつも『遠足』って書いてますけど、ほんとうは『社会見学』でしたよ」と、表記変更を求めることもできるはずだが、そうもなっていない。ご本人たちにとっては、行事の名が何であっても、気持ちは変わらないのだろうけれど。

合川南小学校も、合川町も、なくなってしまって、地元でも、社会見学か遠足か社会科見学か、どうだったのかあいまいになった、というか気に留めなくなってしまったのか。
やはり、“些細なこと”なのだろうか。個人的には、どれかに統一して記録していくべきだと思うのですが。
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久々の地震

2022-03-18 22:26:20 | 地震
2022年3月16日23時35分頃(複数の地震が連続して発生したのかどうか、気象庁もまだ判断できていないようなので、あいまいにします。)、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3、最大震度6強の地震が発生した。
秋田市では、久しぶりの大きな、そして気持ち悪い揺れの地震だった。震度4。

部屋を暗くして、寝床に入った直後。ボロ屋の窓ガラスがカタカタと音を立てた。小さな地震かと思ったが揺れは感じない。強風時も風向きによりそうなることがあるので、様子見。明かりを点けて、ヒモなどの揺れ具合を見れば分かったが、面倒なので。
カタカタは10~数十秒続き、今度は揺れだとはっきり分かる揺れが来た。それは震度2~3程度の揺れで、P波とS波なのかと思った。
この揺れもしばらく続いて、最初のカタカタから1分は経った頃。長い地震だと思いつつ、情報を調べようとスマホでYahoo!のトップページへアクセスしても、地震情報は出ていない。小さい地震だったのだと思いかけた時、3つ目の揺れが来た。前2つより大きい。
飛び起きてテレビを点けると、太平洋側を中心とした東北に緊急地震速報が出ている。テレビより遅れて、スマホにも緊急地震速報。
※この点については、今回、緊急地震速報が連続発生などで迷ったことと、秋田市の震度は速報放送・通知の対象かどうか微妙な震度だったことによるものでしょう。

はっきり横方向(東西方向?)と分かる、大きくて、周期の長い揺れ。それが長い時間、弱まることなく続く。
日本海中部地震(旧震度5)ほど激しくはなく、震度4と言われれば納得の強さであるが、ゆさゆさと揺れ、このまま続けばボロ屋は耐えきれずにミシッと壊れるのではないかとちょっと心配になった。
東日本大震災の時、東京の高層ビルが、長周期地震動によりずっと揺れ続けた映像が思い浮かんだ。
※東日本大震災は自宅では経験していないので、今回との比較はしません。

感覚としては3度目の大きい揺れは3分くらい続いた気がした。それもようやく収まって、テレビで津波は注意報レベルであること、その他差し当たって危険もなさそうなのを確認して、寝た。
秋田市の震度4の揺れだけでも、忘れかけていた地震の揺れの怖さを再認識させられた。【5月4日追記・棚などから物が落ちることはなかった。】


秋田市では、停電や断水もなく、食品やガソリンの買いだめなども起きていなそうで、翌日以降は平常の生活。
だいぶ減ったとはいえ、雪が多く積もった今冬の終わりの地震。揺れでなだれが生じたり、積雪により重さが増した家が倒壊したりしないか気になったが、秋田県内あるいは東北他県でも、そのようは話は幸いなかったようだ。
しかし太平洋側では、またも大きな被害が出てしまった。

大手企業だからなんとかなるだろうが、衝撃が大きいのが東北新幹線のダメージ。
白石蔵王駅手前を走行していた17両編成の「やまびこ223号(東京発仙台行き最終便)」のうち16両が脱線。その他、高架などの損傷も多い模様。
脱線現場は、白石蔵王駅の2キロ強手前、東北本線と交差する手前辺りらしい。ただ、時刻表では同列車は白石蔵王23時31分着/23時32分発。定刻ならば、白石蔵王発車後に地震に遭遇するはず。2~3分遅れていたのか。
車両(編成)は、こまち+はやぶさ連結状態での、やまびこ運用。前寄りがE6系「Z9」編成、後寄りが「H2」編成。はやぶさ側はE5系ではなく、JR北海道のH5系。H5系にも、仙台止まりやまびこ運用があり、それが終列車とは知らなかった。【19日追記・H5系のやまびこ運用は、223号が唯一とのこと。】

脱線対策もされていたのに脱線するとは、揺れの強さを思い知らされるが、駅近くでもともと減速できていたことも功を奏したと思う。もし、たくさんの新幹線が300km/h超で行き交う時に、同じ地震が起きていたら。もっと大変なことになっていたかもしれない。
その他、総合的に考えれば、津波がなく、子どもたちなど多くが寝静まった深夜に地震が起きたのは、不幸中の幸いとするべきかもしれない。



さて、東日本大震災などの時もそうだったが、当面、西から東北へ東北新幹線で来られなくなってしまった。新型コロナウイルス感染症で人の動きがいくぶん減っているとはいえ、年度またぎの時期なのに。減便や運休が続いていた、航空や高速バスが活躍する時ではあるが、転勤や入学で初めてその地に赴く人は鉄道でという人も多いかもしれない。

秋田新幹線が鉄道でのメインルートである、首都圏対秋田の移動も同様。しかし、直接被害があった太平洋側・フル規格区間でないためか、JR東日本ホームページでの説明は、分かりにくい場所に分かりにくく出ているので、以下にまとめておく。※3月18日現在。利用時は各自最新情報を確認してください。
・秋田新幹線は、減便して秋田~盛岡の折返し運転。おおむね2時間に1本、1日7往復。
盛岡より仙台・東京側の新幹線が止まっているのだから、そちら方面との行き来にはほぼ使えない。

こんな時こそ、新潟駅で乗り換える、羽越本線~上越新幹線回り(正確には白新線も経由)。
・酒田止まりの特急「いなほ」1往復を、秋田まで快速として延長運転。
今ダイヤ改正で、秋田に来なくなった5号・10号の復活(ゴールデンウイークには臨時特急として延長される予定になっている)。
「普通車全車自由席」とのことで、指定席も、延長快速区間では自由席として開放。
今改正で、この1往復は4両編成に減車されグリーン車がなくなっている。ネット上の情報では、臨時快速は7両編成のようなので、収容力を考慮して差し替えたのだろう。「普通車全車自由席」の言い回しからすれば、グリーン車開放はないでしょう。

・酒田止まり19時25分着「いなほ9号」に接続しない、酒田発19時08分普通秋田行きの発車を遅らせ、乗り換え可能に。
酒田周辺では、新潟支社・仙台支社・秋田支社が三すくみとなっているせいか、客にとって非常に“意地悪な”ダイヤ設定が散見される。例えば、秋田方面から「いなほ8号」で余目へ着く(12時09分)と、その6分前に陸羽西線新庄行きが出てしまっているとか(次は2時間後)。
その中では、英断か、というかこれは秋田支社だけの判断と権限で済むからか。
※秋田到着も20分程度遅れるはずなので、その間に発車してしまう奥羽南線や男鹿線への接続がどうなるかは不明。

安全に復旧を進めていただき、少しずつでも確実に鉄道での移動が元に戻ることを願います。


17日の朝、新聞にこんなチラシが折り込まれた。
部分
秋田駅ビルトピコ・アルスのチラシ。
片面は「駅弁味の陣 宴」。3月19~21日に、各地から40種類の駅弁を、新幹線などで輸送して販売する。昨年秋にやったのと同じだが、今回は秋田新幹線開業25周年記念の秋田単独開催のようだ。
前回はなかった、新潟の「えび千両ちらし」、直江津の「にしんめし」「さけめし」も(チラシ未掲載だが「鱈めし」も)来る。

裏面は、
「東京・下町の人気スイーツを新幹線で直送、販売!」
3月25日から27日まで、日替わりで2商品ずつ、16時から販売。
ゲリラ的にNewDaysで宣伝もろくにせずやっているのの、トピコ版。
NewDaysでも売られた「御菓子司 中里」のセットや、あの柴又「高木屋老舗 草だんご」。
直前に売られることを知りながら、都合で買うことができなかった草だんご。その後、ろくに告知もされないので、今週は何が売られるのかと、何度、中央改札口まで足を運び、何度肩を落としたことだろう。それがやっと再び秋田へ!!

と、駅弁と草だんごに胸を踊らせかけた。しかし、それとほぼ同時にテレビで流れていたのは、東北新幹線の脱線。あれでは無理だ。
トピコのホームページを見ると、この2つのイベントは中止でなく「延期」と告知され、日程が決まり次第お知らせするとなっていた。それでは、復旧と復興と、輸送販売を待つことにしよう。

秋田新幹線は3月22日に開業25周年を迎え、19日からその記念行事がいくつも企画されていた。その多くも中止になってしまった。


【2022年3月22日追記・電力について】週明けになっても、被災地の石炭火力発電所が停止しており、気温低下による暖房の電力需要が増加しているため、政府は東京電力と東北電力管内に「電力需給逼迫警報」を出して、節電を呼びかけている。
東日本大震災後の寒さと計画停電が思い浮かぶ。

これを受けて、家庭や企業・店舗のほか、テレビ局ではスタジオの照明を暗くして放送している。ただ、ネットでの呼びかけが足りないように感じてならない。
ポータルサイトを見ても、ニューストピックスの中に項目はあるが目立たない。地震発生直後の震度や津波情報のように、画面上部に目立つように表示することもできるだろうし、呼びかけるエリアメールを送信することもできるだろう。自分は新電力会社に切り替えたから、節電は無関係だと勘違いしている人もいるかもしれない。

ということで、節電協力を口実に、ブログ更新がちょっと間があきます。


【4月13日追記】東北新幹線は、最後まで不通だった福島~仙台も復旧し、4月14日・木曜日から全線で運転再開(減便・減速ダイヤ)。
輸送販売は完全復旧後だろうと思いきや、早々に実施されることになった。ただし、地震前に予定されていたものとは内容が異なる。秋田に運ばれるものを抜粋。
・上野 みはし あんみつと高木屋老舗 草だんごを、14日または15日に盛岡駅、秋田駅、仙台駅のNewDaysで販売。
ついに草だんごと思いきや、草だんごは仙台のみ。また振られた。

・秋田駅「こまち苑」で16、17日に駅弁販売。詳細不明。
【15日追記・ネットにはそれ以上の情報はなく、こまち苑店舗前に販売商品の写真・名前入り(駅・メーカー名なし)ポスターが出ていたので転記】
東北福興弁当、牛肉どまん中、しらす弁当(大船と思われる)、深川めし、炭火焼風牛タン弁当、そば屋の天むす(小淵沢と思われる)。
両日とも11時40分頃から販売。


【4月28日追記・秋田での輸送販売の5月開催決定】5月13日・金曜日から通常ダイヤでの運行になり、完全復活
珍しく、4月28日付でJR東日本秋田支社、JR東日本クロスステーション、秋田ステーションビルによるJR東日本グループニュース(プレスリリース)、「『はこビュン』を活用してスイーツや駅弁を新幹線で秋田にお届け! 都内有名店舗の商品を数量限定でトピコ1階特設会場にて販売します。」が掲載。5月に仕切り直して開催されることになった。
駅弁は5月13日(金)~15日(日)の3日間の11時から。
「東京下町スイーツフェア」が5月27日(金)~29日(日)の3日間の16時から。「一例」として3点だけ紹介されているが、草だんごはない。どうなるか【下参照】。
【5月4日追記】トピコのサイトに4月28日付で販売商品など詳細が掲載された。今回は早い対応。
駅弁は40種。3月19~21日の折込チラシに載っていた商品は、すべて販売されそう。→買った商品
スイーツは3月25~27日と同一ラインナップで、日替わりで毎日2品=計6品。どれが何日目に売られるかの順番も変わらず、高木屋老舗草だんごは5月27日。→ついに購入できた
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避難場所表示板 更新

2021-03-12 00:22:04 | 地震
東日本大震災から10年。節目ではあるが、復興や対策はまだまだ道半ば。
そして、次の大地震や大災害がいつ、どこで起きてもおかしくはない。

2014年に、秋田市の避難場所のことを記事にした。
東日本大震災を受けて、津波の時の避難場所であることが明確に分かる看板(表示板、市では「標識」と呼ぶらしい)が作られた。
しかし、秋田市では幸いなことに、一部地域の水害程度を除いて災害が少なく、避難場所について意識しない市民が多いし、市側の周知もあまり身が入っていないようにも感じている。

津波が到達し得ないエリアでは、2011年以前から設置されていた表示板が引き続き使われていた。
(再掲)角ゴシック体であればフォントの指定はなかったようで、これは平成角ゴシック。新ゴが多数派【12日訂正・少なくとも2014年時点では角ゴシックであることすら指定されていなかったようだ】
「ここは火事・地震のときの/ひなん場所」で共通。このデザインになる前、手書き看板だった昭和期~平成初期から文面は変わらない。

保戸野小学校正門横のニレの木の前にも、同じ内容のものがあった。
(再掲)

今年2月上旬。
見通しがいいな?
表示板がなくなって、枠だけになっていた。

サイズが違った手書き看板時代もここにあったので、枠以外にさえぎるものがない光景は初めて見たかも。

枠だけで1か月は放置されたか。まさか1月の暴風雪で飛ばされて、誰も気付かないのか? そんなわけないかと思いつつ3月に入ると、
新しい表示板!(枠は手つかずで塗装がはがれている。日本語フォントは新ゴ)

そうそう。いつの頃(今年度?)からか、市内のほかの学校か公園の前でも、同じ表示板を見たことがある。表示板交換のために早めに取り外していたのか。

新しい表示板のほうが、細かくて情報が多いものの、総じて分かりやすくはあるのだが…
まず英語のほか、中国語とハングルも併記。「ひなん場所」でなく「避難場所」表記になったが、ふりがながある。
左側の大きいマークにより、ここが「避難場所」と「避難所」であることが分かる。ここは従来から両方兼ねていたのだが、以前の看板ではそこが伝わっていなかった。

右側では、6つの災害を示して、この避難所がどの災害時に使えるのかを○×で示している。
洪水、津波、土石流、がけ崩れ・地すべり、大規模な火事、地震の6つで、保戸野小では「大規模な火事」以外はすべて対応。といっても、地理的に津波や土石流でここまで避難してくる人はまずいないだろう。

ここでえっ?!と思ったこと。
以前の看板は、全市共通で「ここは火事・地震のときの/ひなん場所」だったわけだが、実はここは火事の時は避難場所にならなかったということなのか? じゃあ、今までは間違った情報を示されていたの? 子どもの時から信じていたのに!
もし、仮に大火事になった時、旧看板を信じてここに避難して、助からなかった場合、秋田市は責任を問われたのではないだろうか。これまで大火事が起きなくてよかった。

ちなみに、隣の小学区にある、泉小学校と泉中学校の表示板も、保戸野小と同じ5災害対応で、火事は除外。
平地の住宅などに囲まれた学校では、大火になると、安全を保証できないということなんだろうか。
じゃあ、どこへ避難すればいいのでしょう。最近でも、糸魚川市街地や栃木の山火事など起きている。火事はいつどこで起きるか予想できないし、起きた後にどんな影響が出るかシミュレーションしづらい(ハザードマップなど作れない)災害だと思う。こういうことを思えば、火事も怖い災害だ。

避難場所と避難所については、秋田市役所防災安全対策課のホームページに、地区ごとに一覧が掲載されている。
ただ、以前も指摘したと思うが、避難場所や避難所に関する説明がなく、両者の違いや使い方が伝わらない。しかも、それぞれ「指定緊急避難場所」「指定避難所」という、表示板とは異なる表現をしているので、分かりづらい。不親切だと思う。

さらに、ページ番号1021452「各小学校区別指定緊急避難場所一覧(中央地区)」を見ると…
学校名の五十音順に掲載されている
右の「対象とする異常な現象の種類」の欄が、表示板の6項目と同じことを示しているのではないかと思う(説明がないので確証はない)。
しかし、その保戸野小のところには「洪水、土砂、地震」の3項目のみ。泉小中も同じ。

そのほか広報紙なども含めて、表示板が新デザインになったことの告知はされていないと思う。また、学校以外の避難場所、避難所の中には、今のところ表示板そのものが未設置の施設も多い。将来的にはどうするのか。
秋田市は災害が少ない街であるのはいいことだけど、準備だけはしっかりするべき。これでは足りないと思う。

最後に、全国どこでも言えるけれど、上記の通り、避難所・避難場所ごとに対応する災害が違うようだ。
「日頃から身近な避難場所を確認しておきましょう」とは言われるが、ただ場所を分かっているだけではいけないのだった。「どの災害時にはどこに避難」まで意識しておかないといけませんね。

【6月26日追記】2021年春時点で確認できる新しい看板は、一見統一されたデザイン。しかし、旧看板同様にふりがなやフォントなどが異なるものがあり、少なくとも2タイプあることが分かった。いずれまた。
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無意味な訓練?

2014-05-27 23:57:07 | 地震
秋田県民(と津軽地方など隣接県日本海側住民)にとって5月26日は、9月1日と3月11日と並んで忘れてはならない日である。
1983年5月26日11時59分57秒にマグニチュード7.7の「日本海中部地震」が発生。津波により各地で合わせて100名が亡くなった(津波以外の死者は4名)。
秋田県では、この日を「県民防災の日」に定め、避難訓練などを実施する機関や組織も多く、今年も報道された。

JR東日本秋田支社では、列車運行中に津波警報が出た想定で、乗客の避難誘導訓練を羽越本線・桂根駅付近で実施。
全社的な取り組みで、秋田でも以前から実施していた。今回の訓練では、乗客役に高齢者の姿が目立った(従来はJR社員ばかりだったはず)。秋田市の自主防災組織の関係者のようだが、ハシゴで車両から降りたり、急傾斜を上ったりしなければならないから、より実情に即しているだろう。
JR東日本では、東日本大震災の津波で被災した列車はあったが、そのすべてで乗客を避難させており、人的被害はなかった。こういう日頃の積み重ねが功を奏していることになる。
それでも、ワンマン運転だったら1人で誘導しないといけないし、避難に都合のいい場所に停車できるとも限らないけれど。

秋田県庁は自衛隊なども参加して「図上訓練」を実施。
「図上訓練」とは、最近、国土交通省が水害対策などでよく使う言葉だが、要はシミュレーションということだろう。
実際にやってみたら違うこともあるだろうけれど、日頃から想定して頭に入れておくだけでも効果はあるし、安くつくし、意味はある。



一方、報道を見る限り、何をやりたいのかよく分からない訓練があった。
秋田市新屋町(いわゆる向浜)にある県立武道館から秋田カントリー倶楽部の高台へ、中学生を避難させる訓練。避難にはバスを主に使い、誘導は警察官が行っていた。

まず、NHK秋田放送局や秋田魁新報の報道では、「誰が」主体となって実施した訓練なのかがあいまい。(5W1Hは基本でしょ)
朝日新聞秋田版と読売新聞秋田版では「秋田中央警察署」が実施した訓練ということが明確に分かる表現。(読売では「中学校と合同で」としている)
つまり、市でも県でも武道館でも、県警全体でもなく、1所轄署内の訓練らしい。

訓練の想定や内容は、報道機関によってはしょられているものもあったが、読売が詳しい。
「午前10時20分、秋田沖を震源とするマグニチュード8・9、最大震度6強の地震が発生し、海抜5メートルの県立武道館に競技中の生徒約200人がいるとの想定」
「署員約40人と(秋田市立山王中学校の)2年生約200人が参加」

「2階観客席の生徒約150人は署員の誘導で大型バスに乗り込み、約2キロ離れたゴルフ場駐車場に避難」
秋田魁新報では「160人」が「バス4台」に乗った。
NHKの映像では、中央交通の大型路線バス2台が映っていた。1台はノンステップのエルガ「977」、もう1台はナンバーが見えなかったけれど、富士重工ボディで窓枠が茶色で行き先表示が幕式(社名を表示)だったので、おそらくノースアジア大学送迎バス専属車両(が珍しく別用途に使われた)。どちらも秋田営業所の車。

「倒壊した武道館に取り残された柔道部員ら50人は、約300メートル離れた海抜15メートルのゴルフ場に斜面を駆け上って避難」
体育着のほか、剣道の袴姿(→だったら剣道部員じゃないの?)で参加した中学生もいて、斜面を上っていた。

津波到達想定までの時間は25分。避難完了は魁によればその「5分前」だが、NHKは「8分前」、朝日は「17分後」=8分前としている。
中央警察署の警備課長という人がテレビや新聞のインタビューに答えていて、魁には「署員間の連携不足でバスの出発が遅れるなどの課題」もあったと言っている。


上記を見た素人としては、突っ込みどころが満載。
・どうして中学生200人?
映像では、武道館の客席はガラガラだった。大道場の観客席だけで2510もあるそうだから、最悪の場合、今回の10倍超を避難させないといけない。
また、今回は素直で身軽で体力があり、学校という集団単位で参加した中学生だけを避難させれば済んだ。しかし実際には、もっと誘導に苦労させられたり、避難に時間がかかる人を避難させたりしなければならないこともあるだろう。JRの誘導訓練のように高齢者がいるなど。

・どうしてバスで?
バスで遠くの場所へ避難というのなら分からなくもない、ただ今回は、バスでも徒歩でも避難先は同じ勝平山の上。
徒歩で避難した人もいたように、武道館のすぐそばが勝平山のふもと。しかし、バスで車道を通って行くには、山の反対側(こまちスタジアムの通り)をぐるりと回りこまなければいけない。
体の不自由な人などは車で運ぶしかないかもしれないが、そうでない人は、津波警報発令後、できるだけ早く、自力で斜面を上って早く避難させるほうがいいのではないか。のんきにバスを待っているほうが危険なのではないか。

・ほんとにバスで?
当然、地震が起きてから、バス会社に連絡してバスを手配することになる。これはまどろっこしい。
今回の想定規模の地震なら、バスの車庫から武道館までの道路が陥没や建物倒壊で通行できなかったり、事故・渋滞によって機能しなかったりして、間に合わない可能性が高いのではないか。
仮に間に合ったとしても、避難場所へ向かう途中の道が避難渋滞や道路障害で立ち往生してしまえば、そこを津波が襲うという惨劇になってしまう。
やっぱり可能な限り、できるだけ早く、自力で避難させるべきではないだろうか。

なお、今回の訓練では秋田営業所のバスだったが、立地としては臨海営業所のほうが近い。
これに関しては、バス会社の都合や中学校-武道館の送迎もあるだろうから、仕方ないか。

・どうして勝平山に?
わざわざバスを呼んでまで勝平山へ避難させたわけだが、他にも避難場所はある。
「秋田市津波ハザードマップ」によれば、武道館から秋田運河と国道7号線を渡った「秋田県青少年交流センター駐車場」が津波避難場所に指定されているし、その辺りは津波被害が想定されていない。
700メートルほどの距離で高低差はあるが、多くの人が徒歩で津波到達前に避難できるはず。新港大橋と横断歩道橋が損壊していなければの話だけど(橋が壊れたらバスも来られないか…)。

また、バスで避難するにしても、ゴルフ場より若干近い「向浜運動公園内旧運転練習場」も津波避難場所になっている。

・奇跡! 倒壊したのに無事?
今回の想定では、恐ろしいことに県立武道館が倒壊した。
その中にいた50人が斜面を上ったわけだが、あの巨大な武道館が倒壊したとして、その中にいた50人全員がうまい具合に助かって、中から抜け出して津波到達までに避難できるのだとすれば、奇跡だ。

・というか倒壊する?
そもそも、2004年に完成したばかりの武道館が1度の震度6で倒壊するだろうか。
武道館が倒壊するのなら、他の多くの建物も倒壊するはずで、市内は壊滅的な被害となるはず。やはりバスでの避難など不可能ではないか。
武道館倒壊は、あくまで今回限りの想定上だとしても、相当強引で無理がある。

・どうして警察が?
武道館は不特定多数が訪れる公的施設とはいえ、ひとつの施設から避難させるために、わざわざ秋田中央警察署からお巡りさんが助けに来てくれるのだろうか?
基本的には、お客は施設管理者やそのイベントの主催者が避難誘導するものではないだろうか。
他にも県立スケート場とかこまちスタジアムとか、不特定多数が津波に遭遇する場所もあるだろうに、警察はその1つ1つで同じことをしてくれるのだろうか。

・間に合う?
さっきのバスの手配もそうだが、それ以前に警察官が武道館に到着できるだろうか。
秋田中央警察署は武道館から道のりで5キロ離れた秋田市中央部にある。そこから武道館まで来るのだってタイムロスが大きい(むしろ県警本部から来たほうが近い)し、道路状況で間に合わない可能性も高い。
到着前に利用者たちが自主的に避難を始めたり、済ませたりしてしまっているかもしれない。

・ほかにやるべきことは?
大きな地震が起きれば、停電するかもしれないし、道路障害や交通事故が発生するなど、交通整理が必要な事態になる可能性がある。
交通整理は警察官でなければできない。

警察官の人数だって限られているのだし、道路がごちゃごちゃでは、けが人の搬送や消防車出動などにも影響を及ぼす。
津波の避難誘導なんて、個人や各施設に任せて、警察は交通整理に力を注ぐべきではないか。
※「警備課」の業務の1つとして、災害救助も含まれてはいる。

・警察だけでやる?
仮に今回の想定のような災害になれば、警察だけでなく消防も出動するだろう。
だったら、消防と連携して(合同で)訓練したほうがいいのではないだろうか。それに武道館側は関与しないのだろうか。

・実際のところ武道館は安全
今回は哀れにも倒壊させられてしまった県立武道館だが、実際には倒壊はしないだろう。倒壊しなければ、武道館の屋上などに避難すれば、津波から逃れられるようだ。20メートルほどの高さがある。
※武道館公式サイトの資料:http://www.akisouko.com/budokan/new/escape3.pdf


以上、巨大地震が起きて武道館は倒壊したけれど、他の建物や道路は無事で、バスはすぐに来てくれて、避難させる客はあまり多くなくてほとんどバスに収まって、倒壊した建物の中にいた人も元気に出てきてくれて、武道館や消防の人は来なくて警察の“一人舞台”で活動できて、他の避難者で道路が混乱することもなく…と、警察にとってかなり“都合のいい”想定の訓練、もっと言えば“甘い”設定だ。

それなのに「署員間の連携不足でバスの出発が遅れる」とは、心もとない。ましてマスコミに公開しては、恥さらしじゃないだろうか。
警備課長は「今後も訓練を繰り返していきたい」と言っているが、こんな低レベルな訓練に動員させられて巻き込まれる学校やバス会社の身になってほしい。まずは警察内部だけで充分に検討してから実際にやるべきだ。それこそ「図上訓練」。
「机上の空論」と言うけれど、それよりもむなしい、「実際やったのに無意味な訓練」ではないだろうか。

武道館にしても、自分の所が倒壊するなんて事実無根でイメージダウンにつながる想定の話を、よくも引き受けたもんだ。
中学生にとっては、何か役に立ったのだろうか。単なる頭数として駆り出されたのなら時間の無駄だ。お巡りさんたちが右往左往するのを見て、「自分の身は自分で守らなきゃ」と思えたのなら、多少は役に立ったかな。
付き合わされた中学校、バス会社、武道館はごくろうさんでした。


日本海中部地震前は、秋田では津波が襲うという認識は低かったという。その後、さらに東日本大震災もあって、このような動きがあること自体は良いこと。
津波も大事だけど、個人的には、日本ならどこでも起こり得るとかいう直下型地震への備え、つまり建物や道路、ライフラインの備えや復旧体制と住民の啓発が足りていないと思う。極端な話、津波は地震後に海から遠くへ逃げて、逃げ切れればとりあえずは大丈夫だが、突然起きる直下型地震から逃げるのは難しい。
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You never get something for nothing

2012-04-25 23:18:08 | 地震
当ブログでは東北観光博のサイトの誤訳に関して複数の記事をアップしています。
以下の各記事ですので、余裕のある方は順番にご覧いただくことをおすすめします。
 4月7日 → 4月8日 → 4月12日 → 4月13日 → 4月25日(この記事)



国土交通省観光庁などが行なっている「東北観光博」の外国語ホームページに、低レベルの誤訳が大量にあった件。
4月下旬まで外国語ホームページを閉鎖して、修正作業中であるというところまでを、今までお伝えしていた。

その後の動き。
24日付で観光庁や東北観光博のホームページに新たな告知が出た。
「東北観光博ポータルサイト多言語版の再開延期について」というもので、「より精度の高いものとなるよう東北の各地域の関係者による確認や各言語についてボランティアによる確認を行う」ことや「情報の随時追加・更新に伴い発生する不適切な翻訳を防止するため、関係者による事前確認を可能とするシステム上の改良を加えること」にしたため、「多言語サイトの再開を一旦見送り、5月下旬に延期することと致しました」という。
25日には、ボランティア募集が始まった。

ほーら言わんこっちゃない。
どう考えたって2週間であれだけの修正ができるわけない。
観光、翻訳、コンピュータやホームページいずれについても素人である私めでも想像がついたことなのに、今回の発覚後の対応の二転三転(公開を続けながら修正→4月下旬まで閉鎖→5月下旬までに延長 等々)は何なんだろう?

観光庁長官や国土交通大臣は、黙っているようだけど、謝罪とかコメントはしないのだろうか。
(マエダ国交大臣は問責決議でそれどころじゃないかな)

九州の西日本新聞のコラム「春秋」では、恒例の漢検協会の変換ミスコンテストといっしょに、東北観光博の誤訳を取り上げていた。例として「あきた千秋公園桜まつり」が挙げられていて、千秋公園が九州の紙面に登場したことになる。
河北新報では宮城県観光課の「誤訳が話題となり、東北観光博が脚光を浴びた面もあるが、今度こそ誤りのない表現にしてほしい」というコメントが出ており、たしかにその“効果”はあったのだろうけれど。



ご紹介していなかった誤訳の実例がもう少しあるので、紹介します。
「It is joke festival Shizukuishi」
「雫石冗談祭り」? そんな冗談みたいな行事があるわけない。

「雫石よ/洒落/祭り」で「雫石よしゃれ祭」。
なお、説明文中にある民謡の一節の「よしゃれ」は「yoshare」と訳している。


「Fair in omonogawa which is boiled which is boiled」
雄物川が煮えたぎっているようなイベント。
「わくわくフェアinおものがわ」だそうです。

ちなみに中国語版(繁体・簡体とも同じ)は、
「沸騰的沸騰的公平的in omonogawa」
まんべんなく、とても熱そう。
「フェア(fair)」を誤訳し、よく分からないけど「わくわく」も明らかに間違っていそう…


「Horseback riding experience to be heated that spring is boiled」
馬の背に乗る体験が、加熱して、温泉もしくはバネが煮えて??
「春のわくわく乗馬体験」。同じ「わくわく」でも、雄物川とは違う間違い方。


「肘折温泉郷なめこ・こけし祭り」のイベント内容詳細にいろいろと。

「Behavior of the nameko stew」、「nameko knob competition」、「Lick; an art or a green meeting」が強烈。
「なめこシチューの行動」、「なめこノブ競争」、「舐める、芸術または緑の会合」?

正解は「なめこ汁の振る舞い」、「なめこ箸つまみ競争」、「なめこつかみどり大会」。

なめこ汁は「振る舞い」の意味の取り違い、箸つまみは「つまみ」の動詞と名詞の取り違いによるものか。
つかみどりは、以前、ヤマメのつかみどりで「緑(green)」と区切って誤訳していたのもあったが、なんで芸術(art)?
artには、芸術のほか、「技術, こつ, 要領(プログレッシブ英和中辞典より)」という意味もあった。この「こつ」は漢字では「骨」と書くそうだが、その「こつ」。
つまり、「舐め/こつ/か/緑/大会」か…


他の項目では、「so orchids」と「good point has dark」。
「とっても蘭」と「良い点は暗い」?
「ソー/蘭」と「良さ/濃い」で「ソーラン」と「よさこい」だそうです。

「fault stew」は「責任・過失のシチュー」?
「fault」は「あら(荒/粗)」(←「あら探し」とかいう時の「あら」)で「あら汁」だそうです。



今回、翻訳システムを無償提供したという企業のシステムは、国内の多くのポータルサイトの翻訳サービスにも採用されている。
サイトによって若干の差があるが、その中には、現時点でも東北観光博のサイトとほぼ同じく誤英訳するサイトもある。

今回の一件で思い浮かんだことわざがある。
「ただほど高いものはない」。
実際には、この一件でどの程度の損失もしくは新規費用がかかったのかは知らないけれど。

ふと思って、某ポータルサイトで英訳してみると…
「ただほど~」と「ただより~」2つの言い方があるが、(個人的には「ほど」のほうがしっくりくる)
「ただより~」では、
「You never get something for nothing」
単語単位の直訳ではなく、文章一括でこのことわざに相当する「たたでは何も得られない」という英語のことわざに訳された。
ヘンなところで正確ですね。

でも、「ただほど~」で訳すと、「There is not a thing of ただほど high potato」。
「ただほど高“芋”のはない」ね…



最近のスマートフォンは、知りたいことを話しかければその答えを音声で返してくれるそうだ。この分では100年後にはほんとうにドラえもんがいるかもしれない。
その一方、他言語への翻訳はまだこの程度。ドラえもんの道具の1つ「ほんやくコンニャク」の実現は遅くなるかもしれません。

【6月1日追記】5月31日夜から、外国語版ホームページの公開が再開された。(中国語の一部ページを除く)
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“誤訳”博ついに閉幕?

2012-04-13 22:42:03 | 地震
【15日追記】
東北観光博サイトの誤訳が報道されたこともあり、当ブログへ多数のアクセスをいただいています。
当ブログでは誤訳に関して複数の記事をアップしています。
以下の各記事ですので、余裕のある方は順番にご覧いただくことをおすすめします。
 4月7日 → 4月8日 → 4月12日 → 4月13日(この記事) → 4月25日


今日(4月13日)21時44分に、名古屋の中日新聞のサイトに「誤訳多発で東北博HP閉鎖」という記事(共同通信からの配信)がアップされたのを、発見。
誤訳が多発していていた東北観光博の各外国語版のページの公開を中止して、修正作業に集中するということのようだ。
昨日の記事でも述べたように、これが妥当な対応だろう。


東北観光博の公式ホームページには、「東北観光博ポータルサイト他言語版 一時閉鎖について」というページがアップされ、
「不適切な翻訳があるとのご指 摘があり、これまでの間、適正化に努めてまいりましたが、修正に一定の時間を要す ることから、他言語サイトを一時閉鎖することといたしました」(不自然な空白は原文ママ)
「再開は、4月下旬を予定しております。」
などとある。
ページ上部の「English/韓国語/…」という言語へのリンクをクリックすると、各言語での同じ内容の文が表示される。

今まではマスコミを通しての情報ばかりで、公式には何の説明もなく、やっと間違いがあることを認めたかという感じもする(あの北朝鮮でさえ、ミサイルだか衛星だかの打ち上げ失敗を、自ら即日認めたんだからねぇ…)。


あと2週間後には公開を再開するらしいが、そのくらいの期間で大丈夫か、やや気がかりだけど、今日をもって「東北“誤訳”博」が閉幕することを願いたい。


【14日追記】
秋田魁新報の14日の紙面とサイトにも、上記共同通信の記事が掲載された。その見出しは「誤訳多発で東北観光博HP閉鎖」。これだと、観光博のホームページ全体が閉鎖されたように受け取れてしまう。

外国語ページの閉鎖を受けて、宮城県を中心とした東北地方のブロック紙である河北新報(のサイト)にも、やっと初めてこの件の記事が登場し、Yahoo!ニュースにも転載。Yahoo! JAPANトップページのトピックスにも「東北博のHP一部閉鎖 誤訳多発」として掲載された。

それによれば、「観光庁観光地域振興課は「自動翻訳の誤りを見つけるボランティアを募り、総力戦で翻訳ミスを修正し、4月下旬には外国語版を再開したい」と話している。」そうだ。
ボランティアはそれはそれでいいけど、「ボランティアを募」るのはいつから? 「4月下旬」までは遅くてもあと2週間しかありませんよ。ボランティアがやったとしても最終チェックはやはり責任ある立場の者が行うべきだと思うが、その時間的余裕は?
本当に間に合うの?

【14日もう1つ追記】
観光博公式サイトに掲載されていたのと同じ告知が、観光庁のトップページにも掲載され、担当部門(観光地域振興部 観光地域振興課)の連絡先も掲載されていた。それは東京。
観光庁は地方出先機関がないらしく東京で対応するしかないのだろうが、その距離の遠さも今回の不誠実な対応の原因かもしれない。

今回のトラブルでは、普段は主にクルマや公共交通機関を所管する「東北運輸局」が、各県との調整に当たっている(当たらされている?)ようなフシがある。同じ国土交通省とはいえ、ご苦労なことです。
これでは、わざわざ国交省本体から観光庁を独立させた意味がない。本当に観光を振興するなら「東北観光局」でも作らないといけないんじゃないだろうか。
【追記】↑「今回のトラブル」というのは「誤訳発覚後の各県やマスコミへの対応」という意味です。発覚前のページ作成や翻訳の段階のことではありません。直接的に関係はないであろう「東京の観光庁」の尻拭いを「仙台の運輸局」がさせられて、東北運輸局さんは大変だなというのがこの文章(この記事全体ではなくこの部分の)の趣旨です。(ツイッターでここを引用して誤解されている方がいらっしゃるようなので追記しておきます。)


個人的には、国土交通省は親しみのある国の役所だった。
公共交通や道路や河川など興味のある分野を所管しているし、正確な地形図や天気予報を手がける国土地理院や気象庁も国交省の機関。
日本と日本国民の生活になくてはならない組織であり、過剰な合理化や人員削減はするべきではないと思っていたが、今回の一件はとても残念だった。

※続きはこちら
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誤訳博・その後

2012-04-12 23:59:22 | 地震
【15日追記】
東北観光博サイトの誤訳が報道されたこともあり、当ブログへ多数のアクセスをいただいています。
当ブログでは誤訳に関して複数の記事をアップしています。
以下の各記事ですので、余裕のある方は順番にご覧いただくことをおすすめします。
 4月7日 → 4月8日 → 4月12日(この記事) → 4月13日 → 4月25日


「東北観光博」ホームページにおける大量かつ低レベルな誤訳の続きです。※前の記事
まずは最近の報道から新たな情報。
11日の秋田魁新報社会面より。(11日のNHK秋田と秋田朝日放送のニュースでもほぼ同じ内容を伝えた)
・英語以外の外国語にも同様の誤訳がある
・10日に東京で「東北観光博連絡調整会議」が開かれ、その席上で秋田県観光振興課は誤訳32か所を示して、観光庁に訂正を要請
・秋田県によれば、会議の席上で、観光博実行委員会事務局である、観光庁観光地域振興課の担当者が誤訳について謝った上で、ネーティブスピーカーによるチェックを行い、直していくと説明
・国土交通省東北運輸局は9日、東北各県の観光担当者宛てに電子メールで誤訳された事情を説明。チェック作業には時間がかかり、見落としがある可能性があるとして、誤訳があれば連絡してほしいと要請

12日朝日新聞秋田版より。(青森など他県版にも同じ記者による同じ記事が載ったようだ)
・膨大な訂正作業が終わるめどは立っておらず、各地の観光担当者は困惑
・中国語訳でも秋田の「ナマハゲ体験講座」が「はげ頭病の講座を体験する現場」と訳されるなどデタラメ
・翻訳を担当したのは、在京のIT関連の企業。「復興支援に一役買いたい」として、本来なら数百万円はかかるという各言語の自動翻訳を無償で引き受けた
・同社によると、誤訳しやすい固有名詞を把握するため、実行委に一覧表の提示を求めたが、受け入れてもらえなかった
・(観光庁の)担当者は「誤りに気づいたところはスタッフが直したが、あまりに多くて追いつかない。今後はしらみつぶしに直していく」と平謝りだ。
・(これらの状況について)秋田市は「我々がそういう認識で書いていると思われかねない」(担当者)。盛岡市の担当者は「少しでも早く解決してほしい」と求めている。

まず不思議なのは、間違いは秋田県以外の東北5県についても多いのに、秋田県以外ではあまり関心がなさそうな印象を受けること。
会議の席上では、秋田県だけが間違いをたくさん指摘したように見え、他県の担当者たちはあまり積極的ではないようにも感じる。
それに、秋田以外のマスコミはほとんどニュースにしていないようだ。東北全体に関わることだから、河北新報がニュースにしてもいいはずなのに、同社のサイトには出ていない。
昨年、同様に誤訳だらけの本が出版された時は、ネット上ではそれなりに知られたニュースになったと記憶している。今回は本ではなくWebサイトなので、ネット上で誰でも間違いを直接見られるし、国がやったこと。ネット上でもっと騒がれて、例えばYahooのトップページのニュースの見出しくらいにはなってもよさそうなのに…

なんか秋田県だけがひとりで騒いでいるような状況になってしまっているが、少なくとも東北各県、それに市町村、官民問わず観光関係者は、もっと怒るべきだと思う。秋田市の「我々がそういう認識で書いていると思われかねない」という言い分はごもっとも。
自分たちのことを、自分たちが知らないうちに、日本政府(=国土交通省観光省)によって間違って紹介されてしまっていて、自分たちが軽視されているように思わないのだろうか。もっと厳しく抗議してもいいくらいだ。

国から謝罪があったというが、それが「東北各県の観光担当者宛てに電子メールで」というのが馬鹿にしている。
各県のみならず、市町村、観光施設、住民、そして旅行に訪れたり訪れようとサイトを見た人すべてに謝罪するべきだ。各県に対しては観光庁長官や国土交通省大臣が謝罪してもいいだろうし、誤訳があった市町村や施設・地域に対しても謝罪するべきだ。
現在、東北観光博や観光庁のサイトでは、本件に関しての謝罪や状況説明は掲載されていないが、ホームページでの説明もするべき。


観光庁側が誤りの全貌を把握しきれない現状において、誤った内容を含むホームページを公開し続けながら、ちまちまと修正していくというやり方もおかしい。場当たり的というか泥縄式というか。
いったん公開を中止して、一挙に検証・修正・再検証して、再度公開するべきだと思う。


さて、実際にはどうなっているか。
以前紹介した、「道端の駅 リンゴ蛭」や「道端の駅 籤『我々は土、風、建物をやめさせる』」(「Roadside station "namioka" apple leech」と「Roadside station lottery "we let you stop dust storm building"」)は、
正しいんじゃないかな
当ブログで紹介した誤りは、大部分が修正されていた。
【13日追記】以前は「道の駅」はすべて「Roadside station」と訳されていたはずだが、修正された項に限り「Road station」になっている。現状では2つの言い回しが混在しているものの、道の駅に対する公式(国土交通省道路局)な英名が「Road station」なので、その点は考慮の上で修正されたと言えそう。

実は、当ブログへのアクセス解析によれば、翻訳システムの企業からこの3日間で30回以上のアクセスがあった。(それ以前は1回もアクセスなし)
当ブログを見ながら、修正してるってこと?
まあ、役に立っているのなら、それはそれでいいですけれども。

でも、当ブログで紹介したのは、あまりにもヒドイものやおもしろすぎるもの。
それ以外にも、おかしいものがまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだたくさんありますよ。



朝日新聞によれば、翻訳を請け負った企業は無償で請け負った、いわばボランティア。
しかも観光庁に一覧表を要求したのに取り合ってくれなかったそうで、そうなると見方もやや違ってくるけれど、不完全さを認識しながら公開したのには違いないだろう。
例えば、腐った食べ物を無償提供したり、今の時代にアナログブラウン管テレビを無償提供されるようなもので、ダタだからって何をやってもいいってもんじゃあ、ない。


他にもいろいろ書きたいことはあるけれどうまく表現できないので、ここでやめます。
国土交通省観光庁にも、請け負った企業にも、本当に東北の観光振興につながることをやってほしい。
※その後の展開はこちら
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続・東北誤訳博

2012-04-08 21:07:17 | 地震
【15日追記】
東北観光博サイトの誤訳が報道されたこともあり、当ブログへ多数のアクセスをいただいています。
当ブログでは誤訳に関して複数の記事をアップしています。
以下の各記事ですので、余裕のある方は順番にご覧いただくことをおすすめします。
 4月7日 → 4月8日(この記事) → 4月12日 → 4月13日 → 4月25日


昨日に続いて、「東北観光博」英語ホームページの著しく低レベルな大量の誤訳について。※昨日の記事を先にご覧ください。
昨日アップした後、続々と新しい誤訳を見つけ、おかしいやらあきれるやら。
東北人としては、このような事態になって怒るべきなのだろうし、実際に、日本政府が後押しした観光イベントがこの程度かと悔しい思いがある。

今回も紹介しますので、そのひどさ(とおかしさ)をお確かめください。
・続・セリ
秋田県湯沢市三関(みつせき)地区は、セリ(芹)の産地。「三関のせり」として紹介されていた。
この翻訳システムは、昨日アップしたように秋田市の「ポートタワー・セリオン」を「芹ON」と訳すほどの芹好きらしいから、これは正しく「Japanese parsley」と訳すかと思えば、
「Auction of Mitsuseki」
え? オークション??
そう、「競り」と解釈したらしく、「三関の競り」。

・ふとした観光案内
秋田県男鹿市(旧若美町)に「払戸」という地区がある。「ふっと」と読む。
そこにある「男鹿ふっと観光案内所」が掲載されていた。
「ふっと」を「foot」と解釈して、「足の案内所」とか? いやいや、そんなモンじゃありません。
「It is tourist information center incidentally Oga」
なんか文章になっている。
「incidentally」は「偶然に」という意味。「それはたまたま男鹿の観光案内所です。」?
「ふっと」を「ふとした」と解釈したのか?


・保険屋さん御用達
仙北市田沢湖に「生保内(おぼない)」という地名があり、「生保内神社」がある。それは、
「Shinto shrine in life insurance」
「生命保険の神道の神社」
「生保」が「生命保険」、「内」が「in」ですか。


・おさかな天国
青森県の「鰺ヶ沢町」。その名の通り、魚のアジが由来なのかもしれない。
「鰺ヶ沢相撲館」は「Ajigasawa sumo building」などと、地名としてローマ字化されている。
しかし、「リゾートしらかみ15周年記念鯵ヶ沢駅歓迎イベント」では、「Horse mackerel ka Sawa Station~」。
「Horse mackerel」が「アジ」だそうだ。「鰺カサワ駅」。

秋田県横手市十文字に「梨木水かぶり」という行事があるそうだ。
それは「Nashiki water or yellowtail」。
「yellowtail」は「ブリ(鰤)、ハマチ」。「梨木/水/か/鰤」。
もちろん、鰤とは関係ない行事。

青森県むつ市の「ヤマメつかみどりまつり」。
「ヤマメ」に相当する英語はないのかもしれないが、「Yamame-tsuka Green Festival」。
「Green」? 「ヤマメつか/緑/まつり」。

福島県いわき市で恐竜が発掘された場所があり、それが「フタバスズキリュウ発掘地」。
発見された地層の名前「双葉」と発見者の姓「鈴木」にちなむのだが、「Futaba Industrial sea bass Ryu excavation place」。
「sea bass」は魚の「スズキ(鱸)」で「フタバ/鱸/リュウ/発掘地」。「Industrial」の脈絡は不明。


・動物も登場
福島県いわき市の植田という所で開催される「うえだ街なか軽トラ市」は、「ueda street naka light tiger city」。
案の定、「軽トラ」は「軽い虎」。


・またもや蚊
青森市の八甲田の「萱野(かやの)高原」に「かやの茶屋」がある。
「Teahouse of mosquito net」。また出たmosquito!
蚊のネットだから「蚊帳」。「蚊帳の茶屋」。蚊に刺されなくて済みそうだけど…


・吸血動物も
青森市浪岡の「道の駅「なみおか」アップルヒル」。もちろん「リンゴの丘(hill)」という意味。でも、
「Roadside station "namioka" apple leech」
「leech」は血を吸う動物の「ヒル(蛭)」。気持ち悪い道の駅だ。

ほかにも道の駅は珍妙な訳が多い。マイナーな地名をさらにひらがなにしたものが多いからだろう。
また、道の駅の愛称をカギカッコで囲ったり囲わなかったり、スペースの有無が統一されていないのも、誤訳を助長しているかもしれない。「道の駅」自体は「Roadside station」としているが、それも怪しい。いくつか。
・性別不詳
秋田の上小阿仁の「道の駅かみこあに」は、「Roadside station or medium older brother」。
「older brother」は「兄」、「medium」は「中ほど」などの意味のほか「霊媒、巫女」という意味(プログレッシブ英和中辞典では7番目に掲載)があった。
すなわち、「道の駅/か/巫女/兄」だ。「道の駅でなければ、巫女の兄である」ということで、男なのか女なのか?

・その他まとめて
福島県古殿町の「道の駅「ふるどの」おふくろの駅」は、「Roadside station "fall; which", is station of Momma」。「道の駅「降る、どの?」はお母ちゃんの駅」か。
岩手県花巻の「道の駅とうわ」は「We ask roadside station」。「道の駅問うわ」。道の駅の存在意義を問いただされているのか?
岩手県久慈の「道の駅 くじ「やませ土風館」」は、「Roadside station lottery "we let you stop dust storm building"」。
「lottery」は宝くじなどの「くじ(籤)」。「dust storm building」は「土風館」を1文字ずつ直訳か。よく分からないが、それを「we let you stop」、「やめさせられ」ているらしい。

・これはひどい
岩手県八幡平市の「道の駅にしね」は
「Die in roadside station」
「道の駅で死ぬ」
「道の駅に/死ね」だろうが、縁起でもないし、ひどすぎる。


以下適当に。
・擬音や感動詞
「It is poco mountain Park park center pop」ですって。秋田の方なら知っているかも。
「それはポコ山公園公園センターポップ」?
八峰町峰浜の「ポンポコ山公園 パークセンター」のこと。

山形県余目(あまるめ)の「あまるめ植木金魚まつり」は、「Oh, we round and enshrine garden plant goldfish」。
「ああ、私たちは庭の植物の金魚を丸めると祭る」? 「あ! 丸め~」か。

山形県三川町の「アトク先生の館(三川町文化交流館)」。阿部徳三郎という建築家が「アトク先生」と呼ばれて親しまれたようだ。
「Oh, hall (Mikawa-machi cultural exchange building) of advantageous teacher」。
「advantageous」は「都合のよい、有利な」などの意味だが、ここでは「トク(得)」だろうか。「あ! 得先生の館」。


・有名な地名だけど
いわき市中心部の「平(たいら)」地区で行われる「平七夕まつり」は、「Flat Star Festival Festival」。
「平ら/七夕のおまつり/まつり」

青森市の雲谷(もや)でお盆にかがり火(篝火)を燃やしたりする行事「雲谷かがり」。
これは「We sew Moya」で「我々は雲谷を縫う」?
あまり使わないが、縫い付けることを意味する「縢り(かがり)」という言葉があるから、これと間違ったか。

東北有数の温泉地、宮城県の「鳴子」は、ほとんどが「Clapper」と訳されてしまっている。楽器とか映画のカチンコなどのようになってしまっている。
鳴子にある「かんけつ泉」(間欠泉・間歇泉)は「Concise spring」。これでは「簡潔泉」。
同じく鳴子にあり、松尾芭蕉が訪れた「尿前(しとまえ)の関跡」は、「Seki trace before urine」。「小便前の~」…
「奥の細道」自体も「Back narrow path」…


・これもひどい
福島では「福島de福結び」という観光コースがあるようだ。(水引を作る体験コース)
これは
「Fukushima de fortune end」
「福島の幸運の終わり」………
「結び」を「結束する」ではなく「物事の終わり」と訳してしまったわけだが、あまりにもひどすぎる。


おもしろおかしく書いてしまったが、途中で腹立たしくなった。まだまだ誤訳はあるが、ここで終わりにさせていただく。
観光庁や国土交通省や日本政府は、どこまで本気で東北観光博を開催し、東北を復興させようとしているのだろうか。

この件を一部の関係自治体にお知らせし、国へ抗議するべきではないかとのメールを送らせてもらった。
※本件は観光庁とその委託を受けた業者が勝手に誤訳のページをアップしたものだと考えられます。したがって、関係自治体や団体・企業等の当事者が関与する機会はなかったと思われ、責任はないと思われます。

東北観光博の完全なホームページが見られる日は、いつだろうか。


【10日追記】またまた、あんまりな誤訳を見つけたので、追記します。
岩手県北上市に詩人・作詞家のサトウハチローの記念館がある。
記念館は以前は東京にあったが、サトウハチロー氏の妻の死後、妻の出身地であり、アクセスや環境を考慮して北上に移転したそうだ。
サトウハチロー記念館

今までのヒドイ誤訳をご存知の方々には察しがつくかと思いますが…

The sugar bee low Memorial

「砂糖/蜂/ロー/記念(館)」だそうです。甘そう…
人名を間違うとは、失礼なことだ。

ちなみに、福島県二本松市の「智恵子抄詩碑」は「chimegumikoshoshihi」と、文字単位で音読み。


※続きはこちら
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3月11日

2012-03-11 22:57:34 | 地震
3月1日以降も秋田市は雨や晴れの日があり、積雪は徐々に減少。3月8日にはついに積雪ゼロになった。
車道だけでなく歩道も雪はほぼ完全に消え、いっそう春らしくなった。

しかし、3月11日早朝からは湿った雪が降り、最大で積雪6センチに達した。
朝は木々の枝も路面も白くなったが、その後雨が降ったりして昼にはほとんど消えた。そして20時頃にまた激しい濡れ雪で、真っ白になった。

東日本大震災から今日で1年。
あの日は地震発生直後に激しく雪が降り始め、今日もそれを思いださせるような天気だったが、日が差す時間もあった。
八橋の面影橋付近から草生津川(くそうづがわ)

電気や流通網のありがたみと、今まで無関心なことがいかに多かったを思い知らされた1年だった。

最近、テレビなどで遠方(関東以西)の一般の人が、「東日本大震災」を指して「東北大震災」とか「東北の地震」と言っているのを耳にすることがある。
東北地方でありながら地震や原発事故による直接の被害がほとんどなかった秋田県人としては、それを聞く度に複雑な心境になる。「がんばろう東北」というフレーズについても同じ。
茨城県や千葉県など、東北以外でも被害を受けた・受けている地域や人がいるのだし、秋田は東北の一員として被災地を支援したい思いも強いはずだが現状で充分とは思えない。(結局「東日本大震災」でも秋田は同じ立場なわけだが)

ただ、秋田でもいわゆる風評被害を受けている業界(農業や観光関係)や福島など被災地から秋田へ避難している人が今なお多数おられる。
今後、別の地震や火山活動が活発化する可能性もあるだろう。うまい言葉が出てこないけど、懸念は多い。


この1年間でとてもよく分かったことがもう1つあった。政治家は自分のことしか考えない人たちであるということ。

【12日追記】11日夜から積もった雪は、12日朝には積雪6センチに達したものの、12日夕方にはゼロになった。
それから、11日の地震発生時刻には、原爆記念日や終戦記念日と同様に、秋田市の各消防署でサイレンが鳴らされた。

この1年後の記事
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立入禁止の花

2011-08-06 21:23:14 | 地震
※竿燈まつりの話題は明日以降にアップしますのでお待ちください。

今週、秋田市内のとある公立学校の前を通ると、敷地の隅の一角に「立入禁止」の黄色いテープが張られていた。

テープと既存の柵・生垣で囲われているので、立ち入りできない空間ができている形。

夏休み中に工事をしていてその資材でも置いてあるのかと思ったがそうではなく、立入禁止の場所には、ベゴニアが植わったプランターがびっしりと並べられている。写真で数えたら70~80台以上はあるようだ。


学校の子どもたちが行事で植えたプランターだと思われる。

秋田のローカルニュースをご覧になっている方はピンと来たかもしれない。
(確認したわけでないが)これはおそらく、秋田県内で販売された県外産腐葉土から、震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性セシウムが検出された一件が関係しているに違いない。


状況を整理すると、(以下、個人でまとめたもので、誤認があるかもしれません)
発端は7月25日の秋田県の発表。県内のホームセンターで売られていた栃木県産の腐葉土から高濃度の放射性セシウムが検出され、県が販売自粛を申し入れたことが発表された。(腐葉土を購入した県民が自分で測定して高濃度だったので、県に通報したのがきっかけらしい)
その後、7道県に同じ製品が流通していたことが分かり、製造元がリコールを行っているようだ。

秋田県内では、栃木県産の腐葉土など(最初に分かったホームセンター以外からも含めて)を花壇などに使用するために購入していた学校・幼稚園・保育所が61施設あることが判明し、今週、それぞれの放射性セシウムの濃度(単位:ベクレル/kg)や空間放射線量(単位:マイクロシーベルト/時)の測定が行われた。また、国は肥料などの放射性物質濃度の基準(暫定許容値・400ベクレル/kg)を定めた。
その結果、秋田市内の小学校と中学校1校ずつで、腐葉土や培養土(=「(混ぜずに)そのまま使える花の土」的な商品だと思われる)から許容量の2.4倍と5倍の放射性セシウムを検出した。
その2校と秋田市の別の小学校1校の計3校では、土のすぐそばでは、他の場所よりわずかに高い空間放射線量(0.08~0.17マイクロシーベルト/時)を検出したものの、1メートル離れると一般的な値(0.06マイクロシーベルト/時前後)となった。

現状では、各施設で人が近づかないように保管し、処理方法について県から国へ照会して回答を待っている段階。
といった状況。


冒頭で紹介した写真の学校は、許容量を超過した3校ではないばかりか、秋田県が公表している資料中の検査が行われた学校の一覧にも載っていない。
どういうことなんだろう?
花が咲き誇っているプランターを集めて立ち入り禁止にするということは通常では考えられず、これ以外に理由は思いつかない。
県は、全学校に対して購入したかどうかの回答を求め、該当した全学校で測定を行ってその結果を公表しているのだと思っているのだが、違うのだろうか。

というわけで若干の疑問は残るが、仮に問題の土を使っていたとしても、プランターから黄色いテープまでは2メートル以上は離れているので、空間放射線量は問題ないレベルに達しているはずだし、1日中そばにずっといる人などいないから、これで問題ないと考えられる。
個人的には、雨ざらしなので雨水とともにプランターの外に放射性物質が流出し、周囲の土壌を汚染してしまうのではないかと心配になったが、聞きかじった限りでは、セシウムは土に残留するかわずかに植物体内に取り込まれる性質なので流出しにくく、その点はあまり問題ではないようだ。ただし、ごくごくわずかにプランターの外に流出する可能性もあると思われ、子どもたちが触れる可能性のある学校の敷地内なので、プランター撤去後にこの場所の放射線量を測定する必要がもしかしたらあるようにも思う。(個人的見解です)

以上のように、問題ないと考えられるレベルであると言っても、子ども(の保護者)や近隣住民にとっては、不安を感じてしまうのかもしれない(実際にはどうか分かりません)。
僕も、この現場を見たとき、理屈でなく感情として「うわっ…」と重苦しい衝撃を受けてしまった。



秋田では幸いにして、風向きや地形のおかげか、原発から直接飛来した放射性物質は少なかった。(個人的見解です)
しかし、こうして二次的というか知らぬ間に放射性物質で汚染されたものが運び込まれてしまうことがある。ほかには、
・汚染された稲わらが肉牛のえさとして流通
・汚染されたゴミ焼却灰が大館市や小坂町の最終処分場へ搬入されて埋め立てられそうになった
という事例があった。

いずれにしても、国が情報を小出しにしているのが最大の原因。(ゴミ焼却灰は、排出した千葉県の自治体と引き受けた秋田の処理会社の間での意思疎通が不徹底だったことも原因のようだが)
腐葉土の問題だって、発生から4か月も経ってから、しかも秋田県民の通報により秋田県が調査したことによって明らかになった。(←秋田県のお手柄です)
もし、秋田県(でなくてもどこかの自治体)が気づかなかったら、国はずっと隠しておくつもりだったのだろうか。


ところで、政治的なことや特定の個人を悪く言いたくはないのだが、秋田市を含む衆議院秋田1区選出の某ミンシュ党議員。前秋田県知事の息子(その知事も今は参議院議員)で、事業仕分けでがんばって、カンさんのお気に入りらしい。
この人は秋田市中心部に事務所を構えており、我が家にも活動報告書みたいなのが先々週あたりに投函された。ざっと見たら、「カン総理の震災対応の遅れが批判されているが、水素爆発直後に作業員を撤退させずに注水を続けたからこの程度の被害で済んだ。その首相の判断(リーダーシップとか書いていたか?)があったからこそ最悪の事態にならなかった」みたいなくだりがあった。(正確な言い回しではありません。それ以外の項目では反省もしているみたいだが)
元の文章の内容からして僕にはよく理解できなかったので誤解しているのかもしれないが、この人は、カンさんが批判されているのは、原発事故発生直後の対応の遅さだと思っているのだろうか。
多くの国民はそうではないと思う。
上記の通り、汚染された稲わらや土が流通していることが何か月も経ってから公になり、それから重い腰を上げるように基準値を定めたり対処に追われているような状況を指して、遅いと言っているのが大部分ではないだろうか。出荷停止になった農家や観光関連への補償も遅れているというし。国民は必要以上に不安感・不信感を与えられ、無駄な労力を費やさせられていることに怒っているはず。
この調子では、国民の思いや暮らしぶりを政治家に理解してもらうことは永遠にないのだろう。
お花が立入禁止になるとは切ない

最後に、原発事故や汚染とは話がそれるが、秋田には稲わらも腐葉土の原料の落ち葉も豊富にあるのに、それらをわざわざ県外から運んでいるという事実には驚いた。
稲わらについては県内産で乾燥したものは入手しにくいのが理由だそうだし、腐葉土についても秋田には杉が多いから純粋な広葉樹の落ち葉は手に入れにくいのかもしれない(栃木では別荘地の庭で収集するのだとか)し、そもそも腐葉土製造業者が秋田にはないのかもしれない(栃木は「鹿沼土」など古くから園芸用土の産地として有名)。
一方で、ゴミを燃やした灰が、関東から秋田まで運ばれて最終処分されているのも知らなかった。

地産地消と言うけれど、その地域内で完全に完結させるのは無理なのだろうし、鎖国(鎖県?)じゃあるまいし地域どうしで持ちつ持たれつの関係も必要だと思うが、日ごろから、どことどんなつながりがあるのかということを認識しておいた方がいいのかもしれない。
いろいろなことについて、我々は無関心すぎたみたいだ。
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元気を“与える”

2011-05-19 23:58:13 | 地震
東日本大震災後、すごく引っかかる言い回しをよく耳にする。
それは、インタビューでスポーツ選手や芸能人などが口にする、
「被災者の皆さん(または日本)に元気(または希望など)を与えられるように…」
というもの。

この「与える」がとっても気になる。
話している当人にその意識はないのだろうが、自分を上に、相手(被災者)を下に見ているようにも受け取れる言い回しだと思う。
goo辞書で「与える」を調べると、最初の項に「自分の所有物を他の人に渡して、その人の物とする。現在ではやや改まった言い方で、恩恵的な意味で目下の者に授ける場合に多く用いる。」とあった。

「与える」は「やる」と同じく、相手を敬う意志が伴わない語。相手を敬うのなら、せめて「あげる」を使うのが普通だと思う。
したがって、逆に「ペットにエサをあげる」「植物に水をあげる」は正しい言い方ではなく、「やる」を使うべきだとされている。
でも、僕には「エサをあげる」よりも「元気を与える」の方がずっと気になってしまう。

もちろん、スポーツ観戦や有名人の活躍によって、実際に元気を与えてもらっている人が多いのは事実。
だけど、その与えている本人が「私が元気を与えています」って言うのはおかしいと思う。一般庶民はその元気をうやうやしく「頂戴」しろっていうわけでもあるまいし。
昨今は、「◯◯させていただく」とか犯罪者に対して敬語を使う目撃者とか、謙虚なんだかやたらと丁寧な言葉を使う人が多いが、なんでこの場面に限って「与える」なんだろう?

「元気を差し上げられるように」「元気をお分けできるように」「元気をお届けできるように」「元気を出していただけるように」とか、ふさわしい言い回しはたくさんあるのだが…


秋田県では、今日「春季高校野球県大会」が始まった。その開会式の選手宣誓においても、「東北に元気を与えられるよう…」という発言があったようだ。
高校生に元気を“与えて”もらうとは…
大人のスポーツ選手が使うのを聞いて、高校球児はつい使ってしまったのだろう。でも、主催者の高野連とか高校の先生による事前のチェックがあっただろうから、そういう人たちさえ配慮できなかったのだろうか。


言葉のほんのちょっとの違いで、印象というものは変わってしまうものです。
それとも僕がこだわりすぎでしょうか?
ちなみに「元気を与えれるように」などと、「ら抜き言葉」も“併用”されてしまうと、ものすごーく気になる!
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鉄道の復旧

2011-04-19 18:49:06 | 地震
原武史氏という政治学者(1962年生まれ、明治学院大教授)がおられる。鉄道にも造詣が深く、著作物も出している。
その原氏が、ここ1週間ほどの間に、複数の新聞の寄稿やインタビューにおいて、東日本大震災と鉄道復旧についての意見を述べておられる。

それらを僕が解釈するには、
JR東日本は東北新幹線の全線運転再開を急いでいる。その一方、太平洋岸のローカル線の復旧は遅れている。
被災地の足として、さらには精神的な面での復興の意味からも、ローカル線をまず走らせるべき。
ということを言っておられると思う。
※東北新幹線は4月30日頃に全線で運転再開(本数を減らして、減速運転)予定。

被災地での交通手段の確保は必要だと思うし、ローカル線も復興すべきだとは思う。
でも、「新幹線より先に被災地のローカル線を運行せよ」というのには反対だ。

決して被災地・被災者を見捨てるつもりもないが、甚大な被害のローカル線の復旧を待ってから新幹線を復旧させたら、その間に経済活動が停滞し、東北全体いや日本全体に深刻な経済的ダメージが及んでしまうと思う。
原氏はそれでもなお、新幹線より先に、とおっしゃるのだろうか? 現状を理解しておられないように感じてしまう。

被災地の状況を知らない僕にも、つべこべ言う資格はないし、誤解しているのかもしれないが、以下に考えを記させていただく。
・今すぐ鉄道が必要?
津波によって線路や駅が流された所も多い。仮にすぐに鉄道を復旧するとなると、以前と同じ位置に線路や駅を造ることになるだろう。

しかし、今回津波の被害を受けた場所には、住居を再建しない(高台などに移る)方向で検討されていると聞く。
だとすれば、今すぐに線路を前と同じ場所に敷き直したとしても、そのままでは鉄道利用が見込めず、駅や線路の位置を大きく変えなければならない必要が将来的に出てくるだろう。
町全体の“復興”計画が白紙に近い今、いたずらに鉄道を“復旧”してしまうのは、手間と費用の浪費でしかないような気がする。

被災された皆さんは、まだ避難所住まいの方も多く、やっと仮設住宅の入居が始まったのが現状。
避難所や仮設住宅は高台にあるものが多いようだから、住民の足を確保するというのなら、鉄道よりもバスを運行したほうが小回りが利くし、足腰の弱い方や悪天候時も助かるはず。(先日どこかの避難所に青森市営バスの中型車と小型車が写っていた。こうした目的のため応援に行っているのだろう)

被災地の皆さんのどれだけが、「今すぐ鉄道がほしい」と思っているだろうか。まだ時期尚早の気がする。


また、常磐線のうち、福島第一原子力発電所の30キロ圏内にある13駅75キロについては、被害状況の把握すらまだできていないことも忘れてはいけない。

・新幹線も必要です!
被災地があり被災者がいる一方、東北地方といえども普段の通りの生活を送っている、送らなければいけない人もたくさんいる。(我々秋田県民の多くもそうであるわけですが)
新幹線で通勤する人もいる(原氏は「東北地方で新幹線に毎日乗る人はいない」と考えているようだが、います!)し、仕事で仙台や近県へ出張する必要のある人もいるし、お客を待つ観光地もある。
開始が遅れていた各大学の授業がそろそろ始まるようだから帰省先から戻る学生もいるだろうし、単身赴任の行き来や大型連休に帰省する人もいるだろうし、看病や冠婚葬祭で急いで移動しなければいけない人もいるだろう。
そうした人々には、新幹線こそ必要であり、それが使えないのは死活問題と言えるかもしれない。

東北各県の間では人の移動があるのだし、大宮から東京まで、東京から横浜までみたいに普通列車で移動できるような距離ではなく、新幹線が必要なのです。鉄道好きの原氏なら、こんなことはご存知のはずなのだけど…
輸送量は違うが、仮に東海道新幹線が不通になった場合、在来線の東海道本線や高速道路でその代替輸送を行うことは不可能に近いのと同じことだ。

また、遠方(東北地方以外)との人の行き来が成立することによる経済的・精神的な復興効果もあるのではないだろうか。

原氏は「ローカル線の復旧なくして被災地の復興はない」と考えているようだ。
でも、新幹線の復旧がなければ、被災地以外の日常生活や経済活動に影響が出て、悪循環に陥ると思う。「被災地以外が元気になって復興を支えるため」にも、新幹線の全線運転再開が必要だと思う。
東北地方に住む者として言わせてもらえば、貨物輸送やローカル輸送ももちろん必要だが、人を大量に速く運べる東北新幹線も早く復旧してほしい。

・比べること自体
被害状況が異なる新幹線とローカル線を比べて、どっちを早く復旧しろということ自体、ナンセンスな気もする。
東北新幹線は損傷を受けた箇所(約1100箇所)は多かったが、津波で流されたり、橋が崩落したものはなかった。
復旧工事が比較的早く進んでいるのは、これも理由の1つであると思う。

一方、ローカル線は上記のとおり、線路ごと津波で流されるなど甚大な被害が発生している。
津波によるものだけでも、23駅が流失し、総延長約60キロの線路と橋桁101箇所が流失・埋没するなど、計1680箇所の被害が確認されている(4月4日現在。公式リリースより)。
これらを復旧するには、一から新線を設計しなおすような工事になるのではないだろうか。(上記のとおり、集落の移動や今後の津波対策も必要)
新幹線並みの短期間で復旧しろとは、僕はとても言えない。

・責める先はJRではない
こうしたローカル線軽視、新幹線重視、いや鉄道軽視の風潮になってしまったのは、政府(過去と現在の)や国民自身の意識のせいではないだろうか。
近年の高速道路の料金均一/無料化をはじめとする政策、クルマに乗ることを選ぶ住民がいるから、鉄道の役割が軽んじられてきたのだ。
国や国民が、公共交通機関の役割・意義を再認識して、考えを改めることが必要ではないだろうか。

そんな状況で、JR東日本を責めることができるだろうか。
むしろ、偶然もあったのかもしれないが、多数の列車が運行されている時間帯の地震・津波だったのに列車の乗客の死者(負傷者も?)が皆無だったことは賞賛に価する。

新幹線はJR独自の地震感知システムにより、本格的な揺れが来る前に減速できていたし、在来線では複数の列車が津波に押し流されて大破したが、乗客は乗務員の誘導により避難して無事だった。
これらは阪神大震災など過去の教訓を活かし、日頃の研究や訓練を行った成果だと思う。(過去にトラブルを隠し、今回の重大事故発生後も不誠実な対応をし、補償費分を電力料金に転嫁して値上げを目論んでいるとかいう東京電力とは違う)
地震後は被害が軽微だった区間から部分的に運行を再開しているし、JR貨物も秋田など日本海回りで物資や燃料を輸送している。
公共交通機関としての役割を存分に果たしていると思う。

JRだって趣味や慈善事業で鉄道を走らせてるんじゃないんだし、儲けが大きいであろう新幹線を開通させたいのはある意味当然だと思う。
新幹線を開通させれば収入が増えて、ローカル線の復旧の一助にもなるはず。



原氏は、この震災による被災をきっかけにローカル線が廃線になってしまうのを危惧しているようだ。
それは同感だし、そのことを強調したいがために、ローカル線をまず、という論調にしたのかもしれないが、新幹線を必要とする人・地域への意識が完全に欠如しているように感じてしまった。

新幹線か在来線(JR以外の私鉄・3セク含む)かに関わらず、今はとにかく、復旧できるところは早く復旧し、そうでないところは時間がかかっても必ず運転再開することを期待するしかない思う。
鉄道会社にはがんばってもらいたいし、国も支援してもらいたい。
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放送局の募金

2011-04-14 23:08:43 | 地震
今回の震災では、各マスコミも義援金や見舞金などを募っている。

まず、大手放送局の対応は以下の通り。
NHKでは中央共同募金会、日本赤十字社、NHK厚生文化事業団とともに「東北関東大震災義援金」(「東日本大震災」の名前が決まる前に始まった)を実施している。(9月30日まで)
各放送局窓口でも受け付けているが、振込みの場合は「中央共同募金会」や「日本赤十字社」の口座を紹介している。

フジテレビでは、独自に募金は行わないようで、「ひとつになろう日本」キャンペーンの中で日本赤十字社の口座(NHKのと同じ)を紹介している。

テレビ朝日では「テレビ朝日福祉文化事業団」による、おなじみ「ドラえもん募金」を行っている。(4月30日まで)
公式サイトには、受付状況、集めたお金の送り先とその選定理由、今後の使い道を把握していくことなどが詳しく掲載されている。

日本テレビは、夏の「24時間テレビ 愛は地球を救う」が緊急募金を行っている。

TBSでは「絆プロジェクト」の一環で「JNN・JRN共同災害募金」を行っている。
「JNN(Japan News Network)」はTBSテレビとその系列局からなるニュースネットワーク。「JRN(Japan Radio Network)」は、TBSラジオとその系列局のネットワーク。


次に秋田の報道機関。
秋田魁新報社、秋田放送(ABS)、秋田テレビ(AKT)の3社合同で、「東日本大震災見舞金」を実施している。(4月15日=明日まで)
秋田では歴史と知名度のある報道機関の主催とあって、個人・企業からたくさんの善意が届いている。13日までの累計で約1万5千件・約6億5千万円が寄せられている。
ドラえもん募金が3月までに約12億円、TBSが今日までに約14億円、日テレは今日までに13万件・8億円なのと比較すれば、秋田県内だけでこんなに集まるとはすごいことだと思う。

魁新報の紙面とサイトには、見舞金を寄せた人の名前と金額が連日掲載されている(匿名も可)。
14日付16面。矢印より上がその名簿
一時期は1面丸々(もっと多かったかも?)名簿だったこともある。最近はやや減ったとはいえ、今朝の紙面では7段に渡っていた。
みなさん結構な額を寄せている。企業や団体はともかく、個人でも万単位がざら。こうして名前と金額が載ってしまうと、少額だと気が引けてしまう。

名乗って募金すること自体は否定するつもりはない。でも、それを新聞やネットに載せるのって、ちょっと違うような気がする。
それ以前に単純に手間と人件費と紙面の無駄なような気がします。
(そういえば、昔はNHK秋田放送局に歳末・海外たすけあいを寄せた人の名前を夕方のニュースで流していたが、それはここ何年かはやってないな)


ところで、この「東日本大震災見舞金」では、テレビ局どうしでライバル関係でもある、ABSとAKTが共催しているのを意外に思われる方もいらっしゃるかもしれない。
これは、ABS、AKTとも、秋田魁新報社の資本が入っているからだと思われる。
ABSでは「さきがけABSニュース」という番組があるから、魁傘下なのは分かりやすいが、実は秋田テレビも魁の傘下なのだ。(ただし、秋田テレビには読売新聞や朝日新聞も出資しており、しかも産経グループのフジテレビ系列という複雑な関係)

でも、同じく魁傘下でありAKTとも仲が良さそう(本社がお隣同士で、大森山の送信アンテナは共用)なラジオ局「エフエム秋田」(ABS、AKTも出資)が参加していないのは不思議。


一方、これら“魁グループ(勝手に付けた名前です)”とは距離を置く、秋田朝日放送(AAB)では、テレ朝の「ドラえもん募金」をAABとしても募っており、ローカル番組内やスポットCMで、独自に告知を行っている。
といったところが、秋田の状況。



考えてみれば、ABSやAKTでは困ったことになる。
魁グループの見舞金と全国ネットワークでの募金が重複し、1つの局で複数の募金を募っている形になるのだ。

まずフジテレビ系列局のAKT。
魁グループの見舞金は、ローカルニュース内やスポットで告知をしている。その一方で、全国放送番組内では、フジテレビとしての告知がされる。
先日、「笑っていいとも」内のCM枠で魁グループの告知が流れた直後、アルタからフジテレビのアナウンサーが日赤義援金の告知を連続して行ったことがあった。
AKTトップページ
公式サイトでは、魁の見舞金のバナーの隣に、フジテレビ系列の局「ひとつになろう日本」のバナーがあり、そのリンク先(フジテレビサイト)で日赤義援金が告知されている。


さらに大変なのがABS。ラジオとテレビ両方の放送局。
魁グループであり、テレビは日本テレビ系列局、ラジオはTBS系列なので、3つを“掛け持ち”することになる。
ABSトップページ
ABS公式サイトのトップページには、魁見舞金と日テレの24時間テレビのロゴが離れて掲載されている(赤矢印)。

だけど、JRNの募金についての記載はない。
ABSラジオは、TBS系のJRNと文化放送・ニッポン放送系列のNRN両方に加盟する「クロスネット局」。しかし、TBSの絆プロジェクトのサイトには「JRN系列のラジオ34局…」とあるので、ABSのようなクロスネット局も含まれていることになる。(単独ネット局は大都市圏の4局だけで、地方の30局はクロスネット局)
したがって、ABSもJRNの募金を呼びかけるべき立場だと思うのだが。
JRNの募金は、局では受付せず振込みのみ。しかも三井住友銀行以外では手数料がかかってしまう。だから、三井住友銀行がない秋田では実施してもあまりメリットがないとは思うけれど。(ラジオは聞かないので分からないが、放送内では告知してるんだろうか?)


参考として、隣の青森県の状況を見てみる。
青森の新聞社と放送局の関係は秋田とよく似ている。(違いはキー局がフジテレビかTBSか程度)
新聞社の東奥日報社、新聞社と密接な関係にあるラジオ・テレビ局の青森放送(RAB)、新聞社が出資している青森テレビ(ATV)があり、秋田における魁-ABS-AKTが、東奥-RAB-ATVと置き換えて差し支えない。

まず、東奥日報社では、特に募金は実施していない。秋田のような新聞社・放送局合同の募金事業もなし。

RABはテレビが日本テレビ系列、ラジオがJRN・NRNクロスネットなので、ABSと同じ。
RABトップページ
日テレとTBSの告知が上下に並んでいる。
ただし、TBSのは「JNN・JRN共同災害募金」が正式名称のはずだが、「JRN・JNN~」と順番が逆になっている。
RABにとっては、JNNは関係ない(っていうかライバル)だからね。

TBSテレビ系列(JNN)の青森テレビのサイトのトップには、「JNN・JRN絆プロジェクト」の大きなバナー。
ATVトップページ
青森にも三井住友銀行がないから、あまり意味がないかもしれないが、どちらの局もしっかり告知していた。



秋田の各局では、株主である魁への配慮、系列局としてキー局への配慮どちらも大事で、告知をどうするか迷ったのかもしれない。それによって、募金しようとする人は迷ってしまうかもしれない。
だから、複数の募金を実施・紹介していることを明示し、それぞれの違い(特に寄せられたお金をどこへ渡し、どう使われるのか)を知らせた上で、募金する側に選択させた方がよかったのではないかと思う。
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余震の被害

2011-04-09 20:09:58 | 地震

秋田ケーブルテレビの回線トラブル(後述)により、追記が遅れてしまいましたので、続きを別記事にします。
今さら感もありますが、7日夜の余震の秋田の状況をまとめておきます。

・秋田県内では死者なし。県警によれば6人がけが(いずれも秋田市外)としていたが、今日になって4人に訂正。
・停電による設備停止により、秋田市内の製紙工場で火災が発生。停電による信号機停止による交通事故や工場業務への支障もあった。

・秋田駅自由通路の天井パネルが落下(前回と同じ?)したり、本震で被害が出て修理を終えた広面小学校では再び液状化が発生するなどの被害が発生。
民家などでもブロックの一部が崩れるなどの被害を見かけた。
秋田市内某所
道路沿いの民家のお庭? の隅に、小さなお堂があるのだが、ひっくり返って(というか横倒しか)しまった。
たまにしか通らない場所で、3月11日以後は1度しか通っておらず、その時は気付かなかったので、おそらく7日の余震で倒れたのではないだろうか。
 土台を残して上がコロンと倒れてしまった

道路側に倒れなくてよかった

・秋田市は停電のみ。ガス・水道の供給停止はなし(ごく一部で断水があったようだ)。
県全体では五城目町や八郎潟町など6市町1万2千世帯で断水した。五城目町では前回も断水していたが、非常用発電機がないため(費用の面から)、停電すると必ず断水してしまうからだそうだ。

・停電は、地震発生時に秋田・能代(秋田県)・八戸の各火力発電所(計240万キロワット)が自動停止したのが直接的な停電の原因のようだ。(他の東北電力の火力発電所は本震の時から停止したまま)
発電機自体の“耐震装置”みたいなのが作動したのかと思っていたが、宮城県内などの一部の変電・送電設備が地震で損傷し、そこに電力を送りすぎるのを防ぐために停止したとのこと。
北東北3県は全域で停電したが、翌朝には各発電所が順次発電を再開し、設備の点検が終わった変電所ごとに送電が再開された。
ラジオで「復旧作業に当たっていますが、送電再開のめどは立っていません」と言っていた10分後に、秋田市中心部の送電が再開された。

前回もそうだったが、東北電力の現場の皆さんの尽力には、こっちは客とはいえ頭が下がる。
もちろん、水道やガス事業者でもライフライン確保のために努力を続けた方々がいたからこそ、秋田市では水もガスも止まらなかったわけです。

・秋田県立の全学校と秋田市立の全学校は8日は休校。入学式を延期した小学校も多い。
・県議会議員選挙の期日前投票所、医療機関、銀行などは、停電中は場所や業務内容を限定して営業。復旧後は通常に。
・秋田のJR各線は8日は終日全線運休としていたが、停電の復旧が早かったため、在来線の一部は、8日18時以降に順次運転再開。今日9日はほぼ通常通り(=余震発生前)運転の予定だったが、土砂崩れ発生で弘前-青森間が運休するなどしたため、一部運休。


・停電復旧後、秋田ケーブルテレビのテレビ放送受信やインターネット接続ができない地域が発生
我が家では、昨日、テレビは正常だが、ネットがつながらなかった。

コミュニティチャンネルのデータ放送では、ネットに「接続しにくい状況となっております」となっていた。8日12時以降、ネット接続サービス利用者すべてに障害が出ており、障害原因は調査中、「復旧まで今しばらくお待ちください」としている。(復旧した9日19時現在もこの画面のまま)
そもそも“接続しにくい”じゃなく、まったくつながりませんでした!

デジタル放送123chのコミュニティチャンネルサブチャンネルの天気予報チャンネル(アナログでは12ch)の画面下の告知では、ネット接続できないのは「一部のお客様にて」となっていて食い違っている。
【9日23時追記】実際には、接続できたお宅もあったので、「一部のお客様」の方が正しかったことになる。
“接続しにくい”じゃないってば!

また、天気チャンネルでは「一部の地域を除きテレビ視聴ができない地域がございます」とも表示されていた。
テレビは見られない地域の方が多いってことか?
って言うか、テレビで「今テレビが見られません」って案内しても、その情報を必要とする人はテレビが見られないわけで、意味がないよ…

今朝になって、我が家のネットは復旧していた。
天気チャンネルでは、ネット障害が「8日12時頃~23時」に接続しにくくなっていたことのお詫びの告知が出ている。
テレビの障害については触れていない(告知画面自体がなくなった)。

上記の通り、データ放送では上の写真と同じ「お待ちください」「調査中」のまま。
公式サイトにはお詫びが出ていて、障害原因が「ケーブルモデムリンクアップ処理の輻輳による」だそうだ。
なんだそりゃ? イミガワカリマセン。

ケーブルテレビ局にとって、これらの状態は非常事態だ。
それなのに、天気予報チャンネルの告知は、他の広告に混じってループで表示されていた。
「SEIBU『秋田の男市』」
データ放送の方も、奥深い階層に掲載されていたし、上記の通り復旧しても障害中のままの画面。目立たないし誠意が感じられない。
それに、そもそもつながりにくくじゃなく、つながらないんだってば!
せめてコミュニティチャンネルの画面にずっと表示し続けるくらいはしてほしかった。

【10日追記・画像追加】10日の夕方時点でも、コミュニティチャンネルのデータ放送は、まだ「接続しにくい」「お待ちください」「調査中」のまま。
データ放送の画面(10日17時28分)
もっと迅速な情報提供をお願いしたい。
【11日追記】11日22時現在も変わりなし…
【12日追記】12日になって、データ放送画面のその項目自体が消去され、一覧画面は「お知らせはありません」に変わった。お詫びもせずになかったことにしたのか?
自然災害による電力会社の停電の復旧後なので、つながらなかったこと自体は仕方ない。CNAも努力したのだろう。だから料金を日割りして割り引けなどと言うつもりもない。でも、謙虚な説明とお詫びをして、もう少し誠意を示してほしいな。


・8日朝は市内のガソリンスタンドやスーパーやホームセンターには行列ができたという。商品の配送は正常に行われ、各店舗は非常電源や手作業の会計で販売したそうだ。
買いだめする人はおらず、整然と並んでいたようだったが、雨の中スーパーの玄関に並んでいた人、カゼを引かなかっただろうか。

・呆れたのは選挙期間中である秋田県議会議員秋田市選挙区に立候補している某候補。(名指ししたいくらいだが、今の時期だと公選法に触れそうだからやめときます)
停電で信号機が停止して車の通行がスムーズかつ安全とはいえず、多くの市民が停電して暖房も不充分な環境にいる中、
「◯◯でございます。皆様どうぞお気をつけてお過ごしください。◯◯でございます。」
と、余計なお世話の連呼をして行った! 必死なんですな…
【11日追記】この候補は落選した。

秋田市選挙区では、19名が立候補している。
告示前に、選挙運動の自粛について立候補予定者が話しあったが、話がまとまらなかったという。そのため、自転車や徒歩で回っている候補もいれば、いつも通りの選挙カーでの連呼を行う候補もいる。いつもよりは少ない印象だが、少なくとも4~5名は選挙カーを使って無意味なことをわめき散らしている(時間を短縮してはいるのかもしれないけど)。
報道によれば、昨日は選挙運動を中止した候補も少なくなかったそうだが、上記のような候補がいたのも事実。(由利本荘市選挙区にもいたとのこと)
こんな身勝手な人たちに、秋田県政を任せていいものだろうか。

秋田県選挙管理委員会では、昨日、開票集計作業のリハーサル(各市町村からのデータをまとめる)を実施する予定だったが中止した。今日、簡単な確認作業は行ったようだが、ぶっつけ本番になるようだ。
やっぱり今はまだ、選挙を行う時期ではなかったと思う。


●「秋田市の震度」と言っても…
さて、今までの地震でも「秋田市の震度」としていろいろ書いてきたが、マスコミで報道される震度というのは、「その地域内の観測地点で観測した震度のうち、最大のもの」を使うことが多いみたいだ。
「秋田市の震度」と言っても山王の秋田地方気象台だけで計っているわけではない。

秋田市内だけでも、6か所に地震計がある(気象庁のデータベースで過去の震度を検索できる)。地点名としては次の通り。

秋田市山王:これが山王にある国の第二合同庁舎内の秋田地方気象台。
秋田市雄和女米木:これも気象庁の震度計のようだ。具体的な場所は分からないが、旧雄和町。
秋田市八橋運動公園:気象台の向かいにある公園だが、ここには「独立行政法人防災科学技術研究所」が地震計を置いているようだ。具体的にどこにあるのかは分からないが、以前は秋田地方気象台も同公園内にあった。
八橋運動公園は丘陵地を平らにした公園なので、地盤が硬く、震度が低めに出るという話を聞いたことがある。実際、データを見てみると、たしかに気象台や消防庁舎(下記)の中では、いちばん低い震度を観測している場合が多い。


以下は、自治体設置であり秋田市役所の関連施設に設置されていると思われる。総務省消防庁が、各自治体ごとに地震計の設置を推進しており、これに対応したものだろう。

秋田市消防庁舎:これも所在地としては秋田市山王。秋田市役所正庁裏、八橋運動公園の向かいというか脇の秋田市消防本部が入る建物。
秋田市雄和妙法:おそらく秋田市の雄和市民センター。(5月16日からは雄和市民サービスセンター、合併前は雄和町役場)
秋田市河辺和田:雄和と同様に河辺市民センター。(同様に河辺市民サービスセンター、河辺町役場)


以上のように、平成の合併前の秋田市にある震度計は3つで、しかも極めて近くに設置されていることが分かる。

3月11日の地震の震度を改めて検索すると、
5強:雄和妙法、5弱:消防庁舎、河辺和田、4:山王、雄和女米木、八橋運動公園
であった。
昔(20年くらい前?)は震度を人間が体感で決めていたので、バラつきがあっただろうが、機械で観測する今でもやっぱり各種条件で違うものだ。
【2019年9月15日追記】その後の雄和妙法の震度について。
2019年9月5日付秋田魁新報で「雄和妙法は揺れる? 震度計が軟弱地盤に、移設→他と同じに」として報道された。妙法は軟弱地盤のため「「地震で揺れやすい」として防災関係者らに知られた」場所だそうで、2000年以降に秋田県内で震度4以上の地震は33回あったが、妙法ではそのうち21回観測し、秋田市内の他の4地点では4~7回に留まったという。
問題視されたのか、現在は雄和新波に移設(2018年1月?)され、以後は一般的な観測データが出ているようだ。秋田市内のいずれかで震度4以上を観測すると、秋田市役所職員はすぐに登庁しないとならないが、それも少なくなったそうだ。

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夜の余震と停電

2011-04-08 12:50:51 | 地震
昨日7日の夜に大きな余震があった。
23時32分に発生した、宮城県沖(3月11日とほぼ同じ位置)を震源とするマグニチュード7.4、最大震度6強(宮城県栗原市、仙台市宮城野区)の地震。


そろそろ寝ようとしていると、緊急地震速報が流れ、数秒後に揺れ始めた。
これは大きいなと感じ、玄関のドアを開けると、電気が消えた。

まっ暗な中での揺れだけに恐怖感が増し、まさか再び地震で停電すると思わなかったので、手もとには灯りがなく、手探りで懐中電灯を手にした。
3月11日よりは少し弱い気がしたが、長かった。外は雨。


報道では「秋田市」あるいは「秋田県沿岸南部」で「震度5強」としているところもある。
気象庁の発表(http://www.jma.go.jp/jp/quake/20110407234633391-072332.html)によれば、地点別では、
震度5強:秋田市雄和妙法*
震度5弱:秋田市河辺和田*
震度4:秋田市山王
(=秋田地方気象台)、秋田市雄和女米木、秋田市消防庁舎*
震度3:秋田市八橋運動公園*
だった。(秋田市内分。*印は気象庁以外の震度観測点についての情報、八橋運動公園のは「独立行政法人防災科学技術研究所」、それ以外は秋田市が設置したものだと思われる)
秋田市中心部では震度4程度か。
なお、消防庁舎も山王だし、八橋運動公園も消防庁舎や気象台の近所。八橋運動公園はかつて山(丘)で、地盤が硬いという話もあるから、震度が弱く出たのだろう。

※よく調べたら、3月11日の地震も地点で震度にバラつきがありました。後でアップします。


秋田県内では、けが人や若干の建物被害はあったが、津波や死者はなし。
秋田市内では、水道やガスは使用できるし、朝は冷え込まなかったので、暖房やお湯が使えなくてもつらくなかった。

秋田市中心部の停電は、8日午前中に復旧した。
今日はJR(秋田新幹線・在来線とも)は全線終日運休、多くの総合病院の外来や小中高校が休みになっている。
一方、空港や路線バスは通常通り動いている。

なお、気象庁の発表によれば、停電の影響で一部の地震計が止まっており、秋田など北東北に対する緊急地震速報が出せない状態だという。
停電が復旧しつつあるので、じきに直るのかもしれないが、とりあえずはご注意を。

とりあえず、今回も秋田市は大きな被害はなく、大丈夫であることをお知らせしておきます。
【以上、8日12時50分アップ。後で下に追記します】

【9日10時追記】
秋田ケーブルテレビのインターネット回線に不具合が生じ接続できなくなり、8日中に追記できませんでした。
9日朝になってやっと復旧したので、遅くなりますが、後で追記するつもりです。
※続きは別記事にしました。
コメント (2)
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