広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

高知の路面電車

2010-03-30 23:24:59 | 旅行記
【四国旅行記10】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
高知市内の移動でお世話になった、路面電車を紹介します。
現在、高知市内では、主に観光客向けの100円バスや観光バスを運行されているが、桂浜など一部を除けば、路面電車と徒歩だけで充分移動が可能。
僕は前回高知に来た時は乗らなかったので、今回が初めての乗車だった。
市街地。車の通行量が多い
高知市で路面電車を運行するのは、路線バスも運行する「土佐電気鉄道」。地元では「とでん」と呼ばれるが、全国的には「都電」と混同される恐れもあるので「土佐電」と略すことが多いようだ。
路線の総延長は25.3キロで、35.1キロの広島電鉄に次いで国内2番目に長い路線網を持っている。
路線は3つあるが、分かりやすく言うと、「+」字型、いや「――――+――――」型くらいかな? 東西に長い路線網で、北の頂点が高知駅前、東西南北の交点がはりまや橋。西端の伊野駅(停留所、以下同じ)はいの町、東端の後免町駅は南国市と、高知市外にまで路線が延びている。
運賃は市内中心部で190円均一、郊外では距離に応じた区間制で最高額が450円。使う日付を削って使う一日乗車券もあり、均一区間用が500円、全線用は800円。車内でも購入でき、僕も含めて高知駅前での発車待ちの間に運転士から購入する人が多かった。
 ※桂浜などへ行く場合、「MY遊バス」という期間限定の観光バスが運行されており、その乗車券(乗車前に購入が必要らしい)で電車の均一区間が利用できる模様。
他の都市のようなバリアフリー車両は少なく、いかにも「昔ながらの路面電車」の車両が多い。
標準塗装の電車(LED表示はシャッターのタイミングのため消灯して写っています)
高知の路面電車といえば、「ごめん」と表示があるのが有名。謝っているのではなく、東端の後免町行きの電車の行き先表示なのだが、ひらがなで表示しているのだ。
バスのように上部に行き先表示器(以前は幕式、現在はLED式)があるほか、ほとんどの電車が菱形の金属板に手書きで「ごめん」と記載された看板を、前面下部(後部には付けない)に付けている。(構造上、設置できない車両がある模様)
西端の伊野行きにも同様の「いの」とひらがな書きされた看板がある。
「ごめん」「いの」
なお、後免町から伊野まで通しで運行する電車はなく、全体の本数としても途中駅止まりが多い。途中駅止まりでも看板を下げるが、漢字書き。

一部車両は全面広告電車になっており、
アンパンマン
高知市の東、香美市にある「アンパンマンミュージアム」の広告のようだ。
おきゃくでんしゃ
「おきゃく」は土佐弁で宴会のこと。18名以上でこの電車を貸し切って宴会ができるらしい。普段は通常の路線運行をしており、僕も乗ったが、カラオケが設置されていた。

高知市中心部は道が広いが、その分、車も多い。秋田市より2万人だけ人口が多い街とは思えないほど。
夕暮れ
歩いている人、自転車に乗っている人も多く、秋田の街よりずっと活気があった。
電車の利用者も多い。昔よりは利用者が減り、運行本数も減ったようだが、中心部ではほとんど待たずに電車が来るし、車内はガラガラでなくギュウギュウでなく、いい具合に乗っている。
なぜか中高生はあまり見なかったが、小学生から大人まで、老若男女が利用していた。中には卒業式の袴姿の女子学生やほろ酔いのお姉ちゃんなども乗っていた。

「ですか」という、電車と自社・他社のバスで使えるICカード乗車券があり、それを使っている人も多かった。65歳以上用カードではポイントが多くつく、小児用カードでは休日はさらに半額、バスは一定金額以上は定額(1日乗り放題)になるなど、さまざまな特典がある。

電車も停留所もバリアフリーではなく、お年寄りなどにはつらいかもしれないが、信号が変わるタイミングと信号を渡ってくる乗客を見計らって発車を待ってくれるなど、運転士の心遣いが感じられる運行だった。また、はりまや橋などで運行途中に運転士が交代する場合、新旧の運転士が乗客に一礼していたのも好感が持てた(松山の伊予鉄道もそうだった)。

路面電車のある街では、車の運転、特に右折待ちの時は注意が必要。線路の敷地に入り込むと接触の恐れがあるからだ。
土佐電鉄の場合、危険かどうかに関わらず、前方に右折待ちの車両がいると、必ずかなり手前で「ふぁん」という警笛を鳴らすようだ。(本当に危険な場合しか鳴らさない事業者もある)
そして、車の真横を通る時に「ちゃらりららりらーん」という、2006年頃から設置されたメロディホーン(ミュージックホーン)を鳴らすことが多かった。「ごめんね。通るよ」って感じだろうか。秋田県警のパトカーがパトロール中に鳴らしている音楽になんとなく似ていた。

本当は明るい時間に乗りたかったのだが、夜、西の伊野方面のショッピングセンターへ電車で出掛けてみた。
 ※以下は車両後部から撮影した写真で、車内の照明などが写り込んでいます。
 
左:はりまや橋・県庁付近は車道3車線+電車複線で、とても広い。沿線が明るい。
右:旭町付近から道幅が狭くなる。車が少なくなりやや郊外の風情。車が軌道敷を走行できるようになる。家電量販店やサティなど大型店が点在する。
途中駅止まりの電車が増え、徐々に運行本数が少なくなる。鏡川橋から先は、単線になり、旧道を走る。
 
普通の対面1車線の道路の半分を使って線路を敷いていて、とても狭い。慣れない車は大変そう。右写真の朝倉は高知大学前。
車内の運転席付近
上の写真の右側、消火器の上に黄色い輪がある。最近見かけなくなった「タブレット」。単線区間で列車の衝突を防止するための“通行票”だ。
所々に交換所があり、運転席の窓を開けて対向列車とタブレットを交換していた。

沿線の民家がまばらになり高知市を抜けて、いの町に入ると、国道33号線に出る。今度は路上でなく、道路の隣にある並行した砂利敷きの鉄道専用スペースを走るようになる。
ショッピングセンター最寄りだと思っていた停留所で降りようとすると、真っ暗で車道と線路の幅数十センチの場所が降車場所だった。運転士さんが車が途切れるのを見計らって降ろしてくれたが、怖かった。
実際には降りた停留所の少し先、ショッピングセンターの真ん前に別の停留所があった。2007年のオープン時に停留所を新設したそうだ。

秋田など多くの地方都市では、郊外に家電量販店やスーパーが進出し、車がなければ買い物にも支障をきたしている。ところが高知市の場合、郊外型店舗の前の幹線道路を路面電車が走っている。秋田市でいえば新国道や横金線を電車が走っているようなもの。
高知市民にしてみれば、やっぱり車じゃないと荷物を運べないとか、電停から自宅まで遠いとか不満はありだろうが、秋田市などと比べればとても恵まれていてうらやましい。
右がショッピングセンター、左の国道との間に単線の線路がある
ショッピングセンターは別として、国道と併走する単線の路面電車といえば、かつての秋田市電の新国道辺りが同じような形態だったと聞いている。こんな感じだったのだろうか。

旧式車両が多い土佐電鉄では、自社で古くから使用している車両や海外を含む他社から譲り受けた車両も在籍している。
降車合図の「とまります」ボタン
バスでおなじみの赤く光るランプは一部の車両だけで、ほとんどの車両はグレーのホームベース型で下から押し上げるボタン。昔のバスにはこれがついていたらしい。
なお、これの緑色のものは、かつて車掌が乗っていたバスでは車掌用ブザーボタンとして使っていた。秋田のバスの一部車両には今でも残っている。
「いの」の看板
使わない時は運転席後ろに置いていた。はみ出し加減がいい感じ。
脇の運賃箱はバス用と同型だから、それと比べると看板はけっこう大きい。

さて、この時乗っていたのは、「210」という番号の車両。
車内の広告スペースに「私の履歴書」として、車両の来歴が掲示されていた
東京都電6000形をモデルにして昭和27(1952)年に製造され、以後ずっと土佐電鉄で活躍しているとのこと。
補足すると、この車両は1950年から製造された「200形」と呼ばれる形式で、今も15両が現役。

僕は路面電車の車両にはあまり詳しくない(古いか新しいかしか区別できない)が、都電6000形はなんとなく知っていた。
改めてネットで調べると、国内各地の路面電車が1947年に登場した都電6000形を真似して、そっくりの電車を導入していたことが分かる。その典型的な具体例として挙げられるのが、この土佐電鉄200形と秋田市交通局60形(1951年製)。
秋田市電にも似たような“兄弟電車”があったのだ!
秋田市広報課の「秋田市写真館」サイト(http://www.city.akita.akita.jp/city/pl/pb/photo/default.html)から画像をお借りし、トリミングさせてもらった
将軍野辺りの専用軌道区間の停留所だろうか?
左側の「62」という電車が60形だと思われる。
なお、右側の車両は「202」と読め、おそらく「(秋田市の)200形」電車。60形の改良型で、秋田市電として最後に導入(1959年)した車両。廃止後は岡山電気軌道に譲渡され「たま電車」になっているのがおそらくこれ。
高知の200形電車(左)
上の写真の「205」は、車体が改造されており、窓の構造などがオリジナルでないそうだが、たしかに秋田市電60形によく似ている。
なお、右奥のあずき色の電車は、2005年まで岐阜を走っていたもので、ほっそりして見える。
南国高知に行って、昔の秋田の面影を感じた不思議な旅だった。
210の車内。美しく整備されている
撮影時は郊外区間だったのでガラガラだが、この後市街地に入ると、飲み会帰り人のなどが乗ってきた。
かつての秋田市電の車内もこんな雰囲気だったのかもしれないが、床材は張り替えらている気がするし、照明も昔は蛍光灯ではなかったかもしれない。
それにしても、他の街ではとっくに廃車になっているような電車に、LED表示器やICカードリーダーを設置して大事に、きれいな状態で使い続ける土佐電鉄はすごい。

なかなか話が進みませんが、もう少し、高知市内の話題を続けます
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GAOの広告バス

2010-03-29 20:33:34 | 秋田のいろいろ
秋田の路線バスのラッピング広告は、センスがイマイチであることを、以前紹介した。でも、そうじゃないものを数日前に見かけ、今日、撮影できたのでご紹介したい。
(走っているバスを慌てて撮影したため、傾きやブレがある画像もあります)
水色地に金文字の「鰰」が目立つ
このバス会社標準の、正面はラッピングなしで、側面と後部のみの広告。
改めて
「県魚 鰰[hatahata]を知る。」「男鹿水族館GAO」
秋田県男鹿市にある、秋田県立男鹿水族館“GAO(ガオ)”が広告主。
県立の施設だが、現在は「株式会社男鹿水族館」が指定管理者となって運営している。
公式サイト(http://www3.gao-aqua.jp/news/index.html?month=201003)によれば、この広告バスは3月17日から運行を開始したとのこと。
そしてこの水族館といえば、ホッキョクグマ「豪太」。反対(運転席)側の側面には、その豪太の写真と「豪太に会える。」という文字がデザインされている(上記公式サイトに写真があります)。


僕は、この水族館には興味がない。遠いし高いし、秋田市内の大森山動物園の方がずっと近くて安くて見応えがあって楽しめるから。
それに、前知事がホッキョクグマの導入に異常にこだわっていたが、それに関して知事も県や水族館もマスコミも県民も揃って「シロクマ」と呼んでいたのが気にくわなかった。前知事の意向だったのか知らないが…
あの動物の“標準和名”はあくまでも「ホッキョクグマ」。仮にも日本動物園水族館協会に所属する施設やそれを管轄する県が、別称・通称である「シロクマ」を使いすぎていたと思う。
 ※“標準和名”とは、ラテン語の“学名”に代わって日本で用いられる生物の名称のこと。
というのを、何年か前に県へ提言してみたら、それ以後は、少なくとも県・水族館・多くのマスコミは「ホッキョクグマ豪太」としか言わなくなったように思う。
ただし、一部マスコミが見出しなどでは今も「シロクマ豪太」と表記しているし、多くの県民にはすっかり「シロクマ」が定着してしまった。
これも一種の“前知事県政の弊害”かね。と、話が逸れたので話を戻します。


それにしてもこのラッピングバス。今までの秋田では見なかったくらい、センスがいいと思う。
肝心のハタハタの写真が、中ドアにかかって体が真っ二つに分かれており、ドアが開いていると腹としっぽしか見えないとか、もう一工夫してほしかったけれど、こんな感じの車体広告が増えてくれたら、楽しくなると思う。

うまく撮れなかったけれど、車体後部の広告
ホッキョクグマ・アザラシ・アシカ・ペンギン?
後部はずいぶんと漫画チックなイラストで、みんな丸っこい。誰が描いたんだろう?
JA共済の広告みたいな“謎の空白”でなくてよかった。
※広告バスについて続きはこちら(11月16日)

1台しかないこのバス、見られたらラッキーだが、どの路線で使用されるのだろうか?
公式サイトに「秋田市内周辺を走っております」とあるし、昨年秋のバスまつりで落書きされていた車両なので秋田営業所所属の車両らしいので、昔(市営バス移管前)からこの会社が運行していた、秋田市郊外方面の路線を中心に走っていると思われる。

ということは、水族館のある男鹿市の男鹿駅近くまで、新国道・土崎・飯島などを通って行く「船川線」にも使われるのかな? と思ったら、なんと同線は3月いっぱいで廃止になるそうだ。(秋田側は天王グリーンランドまでに短縮、男鹿側で「船越線」を新設、両者の間で途切れる天王地区は自治体自主運行で対応、という3分断になる?)
1日4往復程度しかないとはいえ、バス会社の「男鹿営業所」と秋田市内を結ぶ唯一の直通路線が廃止されてしまうというのは感慨深い。
これ、元秋田市営バスの車両だ
【30日追記】バスの船川線廃止により、秋田市と男鹿市を結ぶ公共交通機関はJR男鹿線だけになる。実際、バスで秋田市と男鹿市を行き来する人は極めて少ないと思われ、廃止自体はやむを得ないと思う。
ただし、秋田市からみて男鹿市以上の距離がある、由利本荘市本荘、横手市、湯沢市、能代市には、高速バスや急行バスなどが運行されており、JRと並ぶ交通手段になっている。
かつては男鹿温泉行きの急行バスもあったのだが、工夫次第で観光とそれ以外の需要双方に応えられ、JR男鹿線の良きライバルとなるような路線バス運行の可能性はないのだろうか。
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南国高知

2010-03-29 18:14:34 | 旅行記
【四国旅行記9】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
高知に到着、1泊してほぼ24時間滞在する。高知市は2度目だが、前回はあわただしい日帰りだった。
高知駅は2008年2月に高架化・駅舎新築が行われたばかりなので、どこも新しくきれい。以前の駅舎は、地方の旧国鉄駅らしい造りで、昔の秋田駅にもどことなく似ていた。
2階のホームは大屋根ですっぽり覆われている
ホームの接近放送(間もなく○○行き○○が到着します)の前に、「アンパンマンのマーチ」のメロディが流れていた。書き忘れたけど、岡山や高松周辺の各駅では「瀬戸の花嫁」だった。
積雪地の新幹線ホームでは屋根で覆われたものがあるが、南国の在来線ホームでこのような形式は珍しい。しかも、アーチ状? ドーム状?。高知県産の杉材が使われていて、「くじらドーム」という名が付いている。

路面電車乗り場、はりまや橋側など市街地は駅南側。新駅舎は旧駅舎の北側にできたため、旧駅舎があった部分も含めた広い駅前広場ができていた。
南側駅前広場から
ホームに列車が停まっているのが見えるが、ドームの側面に囲いなどがなく、開放的なのが南国らしい。吹雪くことはないだろうが、雨が吹き付けたり、台風・真冬は大丈夫かしら?
ドームの屋根が黒い色で「くじらドーム」のイメージにふさわしい。横から見るとさらにクジラっぽく見えそう。
天気の良い翌日に撮影。右が路面電車乗り場

ホームの下、改札口のある1階
こじんまりとした造りで、構造としては鳥取駅や松江駅に似ている。歩行者しか通れない(自転車は押しても不可)ものの、容易に駅の南北の行き来ができてしまう。こんな構造では駅の表も“駅裏”も関係ない。そのため、バス乗り場は北側に集約されたようだ。秋田駅など橋上駅の場合、トータルの工費は安く付くが、自由通路が長くなる。それが外観上アクセントにもなっているが、移動しにくい。
また、駅周辺の線路が高架になったため踏切がなくなり、渋滞が解消されて車の通行もスムーズになったそうだ。
 北側
駅北側は南側とは異なり、ドームが地面近くまで覆っている。

ところで、JR四国の主な駅には「ウィリーウィンキー」というJR四国系列のパン屋(ベーカリーやイートイン)が入っている。今回は買う機会がなかったが、以前食べたらおいしかった。(JR東日本秋田支社でも民営化直後にパン屋をやっていたがいつの間にかやめてしまった)
アンパンマン列車を走らせている会社だけに、
キャラクターをかたどった本物のパンを売っていた
アンパン、カレーパン、クリームパンはそのまま、しょくぱんはフレンチトーストみたいだけど、おむすびまんはどんなパンなんだ? 買ってみればよかった…


高知市は人口34万人、高知駅は1日平均乗車人員5000人ほど。秋田市の32万、秋田駅の1万2千人と比べると、高知は街の規模の割りに、駅舎がそれほど大きくない印象を受けた。
駅の周辺にビルは少なく、あるのはホテルとケーズデンキくらいでやや寂しいが、少し離れたはりまや橋から高知城の辺りの繁華街は賑やかだった。街の様子は後日ご紹介したい。

駅前広場の脇などでは、大河ドラマ「龍馬伝」と連動した「土佐・龍馬であい博」が開催(今年1月から1年間)されていて、観光客がたくさんいた。無料の部分をちょっと覗いてみたが、当然、龍馬一色の雰囲気。
ヒネクレ者かつ歴史にあまり興味がない者としては、遠慮させてもらうことにした。龍馬以外にも見たいものはたくさんあるんだから。

まだ午後早い時間なので、ホテルに荷物を預けてから市内を回りたい。天気は曇っていて、肌寒いほど。南国のイメージではない(この日、秋田市では雪が積もっていたそうだけど)。
駅南側から南下してはりまや橋に通じる「はりまや通り」を路面電車が走っている。徳島市同様、ヤシの木が街路樹になっている。
はりまや通りを駅から数百メートル、最初の電停にもなっている「高知橋」が架かるのが「江ノ口川」。
川沿いのヤシ並木
とても背の高い「ワシントンヤシモドキ?」が印象的。前回初めて高知に来た時、これを見てとても感動した。
今回、高知駅を降りてから、前回ほど南国へ来た実感と感動がわかなかった(2度目のせいか、寒いせいか?)が、この並木を見ると、やっぱり感慨深い。
 
上の写真の背の高い方のヤシ、幹どうしがロープで結ばれており、根元付近に重りのようなものが付いている。倒れるのを防ぐものだろうか。
桜とヤシの組み合わせが南国の春らしい。

川のそばのホテルに荷物を預け、高知駅へ戻って、路面電車のフリーきっぷを買って行動開始。
寒いといっても南国高知はもう春。特に植物を見ると、秋田の感覚では3月と思えない。
高知駅前の路面電車乗り場の植え込みは、
アヤメ科の「シャガ」
厚めの葉っぱと、ふりふりの付いた白い花が特徴のシャガは、秋田でも民家の庭に植えられているし、山形の山寺にも咲いていた。シャガは僕の感覚としては「初夏の花」。5月から6月頃、充分に暖かい時期に咲くイメージがあるが、もう咲いているとは!
それにしても、駅前の植え込みにシャガを植えるとは、なかなかシブイ選択です。駅舎新築時に電車乗り場も移設されたから最近植えられたはずだが、何かいわれがあるのだろうか。

駅から高知橋を渡って少し進み(電停では蓮池町通)、西へ曲がると高知城へ通じる「追手筋」。秋田市の「けやき通り」くらいの道で、日曜日には「日曜市」という露天市が開催される。
ここにも南国らしい街路樹が
おそらくクスノキ。ほかにもスダジイなど「照葉樹」の大木を見かけた。ケヤキなどの落葉樹がメインの北日本ではあまり見られないので、これも南国を感じさせる。
ここで雨が降り出してしまい、(路面電車に乗って時間をつぶして)小降りになるのを待っていたら薄暗くなってしまった。
高知城は花見のぼんぼりがあった
高知市はソメイヨシノが早く咲く土地だが、標準木のある高知城がよく報道に取り上げられる。今年も訪れた1週間ほど前に開花していた。
江戸時代から残る天守は前回入ったし、時間も遅いので引き返そうかと思ったが、桜だけは見ておこうと園内に入ってみた。ちょうど見頃かもしれない。

でも、桜の木がなかなか見つからない。
帰ってから調べてみると、高知城の桜の本数は400本。秋田市の千秋公園は700本だから、あまり多くはないようだ。
やっと、桜が植えられた一角を見つけたが、ほとんどつぼみ!
北東北では開花から満開まで1週間程度だから、その感覚で期待していたのだが、もっと時間がかかるようだ。残念。でも、
早咲きの桜があった
おそらく、高知市にゆかりのある「仙台屋」という品種ではないだろうか(これも別記事で紹介します)
さらに、石垣の所々では
ヤマブキが咲いていた
その石垣の上には
カナリーヤシ(フェニックス)
ヤマブキとフェニックスという、「温帯性植物と亜熱帯性植物」の取り合わせもおもしろいが、「お城の石垣とヤシ」という組み合わせがあるとは考えもしなかった。
フェニックスは江戸時代には既に日本に渡来していたというが、いつからここに生えている木なんだろうか?

ほかにも城内では、コブシやユキヤナギなど、北国でもおなじみの花が咲いていたが1か月は早い。そのそばではテカテカした葉っぱの木が生えているというのも不思議。やっぱり遠くへ来たんだ。

お城の中に高知県庁、向かいに高知市役所があり、その先が繁華街。帯屋町のアーケード前では、
シバザクラが咲いていた
春の花々の様子は後日改めて紹介します。次回は、高知市の路面電車のお話です。
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アンパンマンで高知へ

2010-03-28 13:48:12 | 旅行記
【四国旅行記8】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
フリーきっぷ2日目。岡山から再び瀬戸大橋を渡って高知へ向かう。
「バースデイきっぷ」を使って、JR四国の全線を「乗りつぶし」する方が多い。でも個人的には、“全線完全乗車”には興味がない(いろんな路線に乗ってみたいという願望はあるけれど)し、あちこち見るよりも特定の都市をじっくり見たい。
そんなわけで、高松や松山、高知県西部にも行ってみたいけれどそれらは次回以降に回し、今回は徳島市と高知市に重点を置くことにしたので、高知市は今回訪れる最南端。

瀬戸内から高知へ向かう列車は、岡山始発の特急「南風(なんぷう)」が1時間毎に運転されている。高松始発の特急「しまんと」は本数が少ない。
昨日と同様、フリーきっぷエリア外の岡山駅から児島駅までSuicaを使って先行の快速列車で先回りし、後から来る「南風」を待つ。

高知へ向かう土讃線(以前は土讃本線と呼んでいたが、JR四国では「○○本線」という呼称を使用しない)が電化されていないので、「南風」の車両はディーゼルカー。形式としては「2000系」と昨日乗った「うずしお」と同じ「N2000系」車両が使われる。(2000系を高速対応マイナーチェンジしたものがN2000系)
多くの「南風」は2000系が使われ、銀色に水色の帯の外観なのだが、僕が乗ったのは、この列車、
「アンパンマン列車」
2000系の一部は、高知県出身のやなせたかし氏の「それいけ!アンパンマン」のキャラクターを車体に描いた「アンパンマン列車」になっている。四国各地で走っているが、「南風」用には昨年リニューアルされた色違いの2本があり、毎日同じ列車に固定して走っている(検査等で変更の場合あり)。
グリーン車側の先頭車(1号車)
乗ったのはオレンジ色の編成(もう1本は緑)。3両1組のようだが、この日は普通の塗装の車両を間に1両増結していた。
ドアが開くと一部隠れてしまう
瀬戸大橋を渡って四国最初の停車駅までは、徳島行きの「うずしお」と一緒に走る(はやて・こまちみたいな感じ)数少ない便だったので、通常塗装のN2000系「うずしお」+アンパンマン列車の2000系+通常塗装の2000系と、外観上3種類の列車がつながっていた(形式が違うが一緒に走行できる)。
外観としては、ちぐはぐな印象
「うずしお」と分かれると、隠れていた反対側(普通車)の先頭が姿を現した。
こっちの方がまとまっていいデザインだと思う
なお、通常の(アンパンマン列車でない)「南風」のヘッドマーク(トレインマーク)は、
クジラの形の雲?
「うずしお」もそうだったが、JR四国の特急のマークは、列車名を連想させるやや抽象的なイラストがマークになっていて、国鉄時代とは雰囲気が違う。


今や国民的キャラクターとなったアンパンマン。(アニメの人気が出てきたのが、僕が中学生になった頃だったので、個人的にはあまり馴染みはないけど嫌いじゃない)
ホームでは親子連れはもちろん、子どもの頃に見ていたであろう20代の人、子どもや孫に見せるのか大人まで、たくさんの人がカメラを向けていた。でも、そのファンタジックな塗装の車内に乗り込むにはちょっと勇気が要るかも。
昨日は普通車にしか乗れなかったが、南風にはグリーン車があるのでやっとグリーン車にありつける。先頭の1号車の前側半分がグリーン車。
内装は至って普通
横1列に3席しかない(6列あるので定員18人)、どっしりとしたシート。1列4席の「こまち」よりもゆったり。
1人で予約すれば、優先的に1人掛け席に割り当てられるようで、僕も1人掛けに座る。隣に人が来ないのはいいが、ちょっとした荷物を隣の空席に置いたり、弁当を食べる時2席分のテーブルを出して使ったりできず、ちょっと不便かも。
幅広でゆったりしすぎて体にうまく合わず、なんとなく落ち着かなかった(貧乏性ですね)。格安で乗せてもらって文句は言えないが、正規料金を払ってまで乗る気にはならない。(「こまち」は少し狭いが、ふかふかのヘッドレストがあって寝ても首が痛くならないし、飲み物やスリッパがタダで出てくるから、そっちの方が価値はあるかも)

さて、1号車のグリーン車でない残り半分は、普通車指定席。秋田周辺の特急「かもしか」「いなほ」同様、“半室グリーン車”の“合造車”というやつだ。ただし、その半室普通車というのが普通の普通車じゃない。
シートにアンパンマン

 天井に、テーブルの影に、壁にもアンパンマン!
2号車以降の普通車は通常の内装だが、1号車の半室普通車だけは「アンパンマンシート」として、「パン工場をイメージした」アンパンマンの世界が広がっている。
指定席予約システムには、通常の普通車と分けて登録されているので、“狙って”乗ることが可能で、16席の大部分が子ども連れのお客で埋まっていた。
でも何かの手違いで、何も知らない大人がこの席に割り当てられたら、びっくりするだろうね。グリーン車のお客がトイレに行く時も、ここを通らないといけないのので、人によってはキツイかも。
 図柄にバリエーションがある
狙ったわけではないが、翌日、高知から戻る時も、同じ車両だった。結局、普通の塗装の南風には乗れなかった…


岡山から高知までは約180キロ、2時間。南国土佐は遠くて時間がかかりそうな印象があるが、秋田-青森間(約186キロ)と同じくらいだから思ったほどでない。正規のグリーン料金だけでも片道5000円近くかかるから、1万円のバースデイきっぷで乗り応えがある。

JR四国では、2003年に車内販売をすべてやめてしまった。と思いきや、途中の丸亀駅からワゴンが乗り込み、高松の駅弁やコーヒーを売りに来た。そして、車内を一巡し、わずか15分ほど先の琴平駅で降りていった。昨年から、このような短区間限定で車内販売が復活したそうだ。
慌ただしい車内販売だったが、「何も買わずに乗ってしまった」という人は助かるし、僕も小腹が空いていたので利用した。

土讃線は山間部を走る。前通った時も思ったが、四国がこんなに山深いとは意外。
こんぴらさんの「琴平」、一度徳島県に入って高校野球で名をはせた池田高校のある「阿波池田」、景勝地の大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)を過ぎれば高知県。
小歩危かな?
沿線の山肌には山桜が咲いており、途中駅のソメイヨシノも1部咲きくらい。高知市内で花見ができるか?
グリーン車のお客は6~7人ほどで空席が目立ち、多くの方が徳島県内・高知県内の途中駅で降りていった。この程度の乗車率だから、格安きっぷが成り立ってるんだろう。普通車の方はそれなりに混んでいたようだ。


アンパンマン列車では、始発駅発車後と終着駅到着前に、アニメのテーマ曲「アンパンマンのマーチ」とアンパンマンからのごあいさつ(ようこそ/またね程度)が放送された。
車掌の検札時に押されるスタンプにも(通常のスタンプを押した車掌もいた)
そして高松や宇多津・丸亀・多度津付近では、他のアンパンマン列車にも出会える。
予讃線松山方面「しおかぜ」「いしづち」用の車両で、アンパンマン以外のキャラクターをメインにしたデザインになっている。
宿敵現る?!
左の南風のアンパンマンの隣に、「ばいきんまん号」がやって来た。
 
側面に大きく「ANPANMAN」と書かれ、他のキャラクターたちが並んでいる。
「メロンパンナちゃん号」
ほかにも「カレーパンマン号」、「どんぶりまんトリオ号」など、全11種類あるようだ。JR四国の特急列車は、楽ではない経営の中、がんばって楽しませてくれている。
それは分かるんだけど…
アンパンマンでない特急車両の車外ドア横のLED表示
本来オレンジ一色の文字なのに、部分的に緑や赤がモザイク状に混ざって、サイケデリック?
LEDは、赤色LEDと緑色LEDを同時に点灯させることでオレンジに見せている。モザイク状になった部分では、片方のLEDが作動していないようだ。

それから、四国の特急では、「この列車は南風7号高知行きです。次は○○に停まります」といったような音声合成式の自動放送が流れる。(昔録音されたのか、つながりが若干不自然な箇所も多いけど)
僕が乗ったアンパンマン南風では、冒頭部分の音声が欠落し、突然「7号高知行きです」という放送が各駅で行きも帰りも流れていた。
他のアンパンマン列車に乗っていないので断言できないが、アンパンマンのあいさつを放送するために、放送装置をいじった(音声データを加えた)際、何らかの不具合が生じてしまったのではないだろうか。
LEDも放送も乗客への案内に使うものだから、不安定なままにせず、きちんと手入れしてほしい。

次回は、高知市内を紹介します。
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県庁の課名変更

2010-03-27 20:47:24 | 秋田のいろいろ
旅行記を中断して、秋田の新年度がらみの話題です。
来週半ばから新年度。多くの組織で多少なりとも変化があるはず。お役所もその1つで、今週の新聞には、連日、県や各市町村の職員・教職員の異動名簿が掲載されている(これも地方ならではかな)。

ほとんど報道されていないが、秋田県庁では、4月から一部の部や課の名称が変更されるらしい。
昨年11月6日付、県人事課の「組織の再編案について」(PDFファイル) http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1258603306111/files/saihen091106.pdf より

所掌事務を分かりやすく簡潔に表すため、部や課等の名称を次のとおり改める。」として、10の部や課などの名前を変える案が提示されている。業務の新設や統廃合ではなく、単純な改名だけのようだ。
当時、河北新報(11月24日付)で議会から多少の意見が出たことが報道されたが、それ以後は目にしていない。先日の県職員の異動をざっと見ると(全部確認したわけではありません)、案通り、新年度から名称が変わるようだ。

上の表を見て分かるとおり、文字数の多い名称から、漢字ばかりの短い名称に変わる傾向で、ぱっと見、取っつきにくそう。
「生活環境文化部」→「生活環境部」、「医師確保対策推進室」→「医師確保対策室」あたりは、新旧で意味がほとんど違わないし、短くしたのは妥当だろう。
今までは電話を取る時とか、手書きで書く時とか、大変だっただろうな~

一方、首をかしげたくなる変更もある。
●コチョコチョ課? 「情報公開センター」→「広報広聴課」
業務としては、情報公開・広報・広聴を行うセクションらしい。
でも、旧称では「情報公開だけ」をやっているように感じるし、新名称では逆に「広報広聴だけ」をやっていて情報公開をやっていないように取れてしまう。どっちにしても中途半端。

そして、「広聴」という言葉は、役所以外では使わないのではないないだろうか。秋田市役所では広聴担当部署を「市民相談室」と言っているように、役所でも表向きには「広聴」を使わない所もある。一般人には馴染みのない言葉だと思う。
goo辞書によれば「広く意見を聞くこと。特に行政機関が公衆の意見や要望を聞き募ること」とある。
ちなみに、僕は小学生の時から広聴という言葉を知っていた。それは教育テレビの小学校3年生社会科番組「たんけんぼくのまち」でチョーさんが調べてくれたから。
確か市役所の仕事を調べる回で、チョーさんが市役所を訪れ、職員と「ここは広報広聴課(広聴広報課かも)といいます」「えっ? コチョコチョ課? くすぐったそうですね~」といったやりとりがあり、広報と広聴について職員に説明を受けていた。さすが「たんけんぼくのまち」。ためになる!

それに、県の組織はよく知らないが、出先機関(総合教育センターとか花卉種苗センターとか)が「センター」なのは何となく分かるが、庁内の部署なのになぜ「情報公開“センター”」だったのだろう(「課」との違いは?)。
ちなみに、秋田県マスコット「スギッチ」主任も同センターに所属しているから、新年度から所属が変わることになる。

●おもしろ味減少 「環境あきた創造課」→「環境管理課」、「水と緑の森づくり課」→「森林整備課」
旧称は長くて覚えづらい。 ワープロ誤変換や郵便物の宛名の誤記入が多発しそうな名称だ。「あきた」をひらがなにする必要があったのか?
でも、一般県民にしてみれば、その課が何をやっているのか、イメージはしやすい名前だったと思う。新名称の「環境管理課」では、何となく職場環境の管理をしていそうにも思えるし、「森林整備課」ではひたすら植林と伐採を繰り返すだけの課のようにも思え、おもしろ味が感じられない。

●没個性 「秋田の食販売推進課」→「流通販売課」、「秋田スギ振興課」→「林業振興課」
秋田は農業県であり林業県。地産地消もいいけれど、いかにして県産品を全国に売り込むかが重要だろう。
それに関わると思われる2つの課も、おもしろくない名称に変わってしまうようだ。旧名称はどちらにも「秋田」が入っていたから、「秋田県庁の」と前置きしなくても秋田だと分かってもらえただろうし、「秋田杉」は一大ブランドだ。(「秋田スギ」というカタカナ表記は一般的ではない。なんでカタカナにしたんだ?)
どうして「秋田」を消して個性のない名前にしちゃうのだろう。


まあ、名前なんかより仕事の中味が大事だし、県は(一般県民よりも)国や市町村が主な仕事相手だろうから、奇抜な名前でない方がいいのかもしれない。
名称変更は「所掌事務を分かりやすく簡潔に表すため」というが、これは「一般人に分かりやすく」ではなく、「お役所どうしで分かりやすく」という意味だと思えば納得。
でも「名は体を表す」とも言うしね…

現行の課名は前知事時代の名称だったから、現知事としてはそれを消し去りたいのかもしれないし、現知事は元県庁職員だから昔の名前が懐かしかったのかもしれない。


●他県では
ちなみに、先日訪れた徳島県庁の課名を見てみると…
 
「林業飛躍局」「にぎわいづくり課」「県民との協働課」「とくしまブランド戦略課」「安全安心農業推進室」
誰にでも分かりやすいだけでなく、“飛躍”とか“ブランド”とか”“戦略”とか、力みなぎるというかやる気を感じる名称に思えないだろうか。

ほかにも高知県庁には「おもてなし課」がある。お遍路さんを“お接待”する精神で観光客を迎えようということだろうか。
お隣、青森県庁では「新幹線・交通政策課」「並行在来線対策室」「食の安全・安心推進課」「りんご果樹課」など、何に重点を置いているのかがよく分かる。
秋田県だって「コメ課」「韓流ドラマファン観光誘致課」「県道をしっかり維持管理する課」(?)なんてあってもいいんじゃない?
【4月2日追記】変更後の状況をこの記事最後で紹介しています。
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瀬戸大橋・岡山

2010-03-26 22:24:32 | 旅行記
【四国旅行記7】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
徳島から高松へ来て、次は岡山市へ行って1泊する。
なぜ岡山に泊まることにしたかというと……なんとなく。強いて言えば、四国に来たからにはやっぱり瀬戸大橋を渡りたいのと、久々に岡山の街を見たいから。かな。
岡山県の児島駅までは「バースデイきっぷ」エリアなので、その先の児島-岡山間の480円を別払いすればいい。

高松-岡山間を結ぶ列車は、特急はごく一部で、メインは快速「マリンライナー」。1時間に2本運転され、高松-岡山間は約50分。
四国では珍しい電車(ディーゼルカーでなく、電力によるモーターで走る車両)が使われており、2003年からは「5000系」や「223系」という(JR四国所有か西日本所有かで名前が違うだけで同型車)新型車両が走っている。
下り列車(高松側)の先頭車1号車
独特のデザインで、僕はキン肉マンに出てくる「ウォーズマン」を連想してしまう。車両中央部が2階建てになっており、1階が普通車指定席、2階と運転席直後がグリーン車指定席になっている。
側面に「桃太郎ネットワーク」のロゴマーク
雰囲気としては首都圏の普通列車グリーン車と似たような物だと思うが、地方の普通・快速列車にグリーン車があるのが珍しい。
反対側(岡山側)の先頭車は大阪近辺の「新快速」で見慣れたお顔
1号車以外はこのような普通車自由席の車両で、JR西日本の新快速に準じた車内。リクライニングはしないが2人ずつ(一部4人)座れるシートがある。

マリンライナーは5両編成が多いが、時間帯によって2両から7両で運転されている。最近、減車が行われたそうで、ここにも高速道路1000円の悪影響が出ているようだ。
この時の列車は5両編成(うち1両が指定席車)だった。今回は指定を取らずに自由席に乗る。

JR北海道では、列車の行き違いを「行き会い」と表現するなど、同じJRグループでも言い回しが異なることがあるが、四国では列車の車両数を案内する時、「この列車は5両つないで運転しております」とか「5両つなぎで~」と表現する。
JR東日本では「5両編成で~」と言うのが一般的なので、耳慣れない表現だし、「数珠つなぎ」みたいでなんとなくおもしろい。考えてみれば「○両編成」っていうのは、一種の専門用語的なものにも思えるから、四国式の言い方の方が一般向けと言えるかもしれない。

列車は、香川県内・岡山県内とも、いくつかの駅に停車する。
車内は旅行客もいるが、夕方なので仕事帰りの人が圧倒的に多い。座席も、ドア横にある折りたたみ式の座席もすべて埋まっていた。四国最後の停車駅、坂出駅でもほとんど変化なく、そのまま瀬戸大橋へ向かって行く。県境と瀬戸内海を越えて、四国と本州の間で通勤している人が多いのには驚いた。
坂出駅を出て5分ほどで海沿いに出る。
島並みに沈む夕日。この時間の列車でよかった! 瀬戸大橋へ進んでいく。
先頭車に乗っていたので、運転席の後ろへ(以下、ガラスに照明や車内が写り込んでいます)。
 
瀬戸大橋というと眺めが良さそうだが、鉄道は道路の下を通るため、視界が開けているわけではない。だから、正面の眺めはそれほどでなく、横の眺めの方が見応えがある。橋の内部構造などの迫力はあるけれど。
 
横側の眺めは橋の構造物でやや遮られるが、すき間からは美しい瀬戸内の夕暮れが見える。橋は5つの島を結んでいるため一直線ではなく、意外とカーブが多い。
島の中の陸上部分では側面の鉄骨がないので、眺望が開ける。
船も浮かぶ
本州に入り、児島駅に到着。
停車中に乗務員が交代
瀬戸大橋を通る列車は、JR四国とJR西日本の境界の駅である児島駅で必ず乗務員が交代する。僕もきっぷの都合でいったん下車。
上の写真の駅名標がJR西日本のものであるように、児島駅はJR西日本の管轄。したがって、バースデイきっぷの使用可能エリア(の端)ではあるが、窓口でその購入や指定券を取ることはできない。自動改札機は通れた。
児島から岡山側はICカード乗車券「ICOCA(イコカ)」のエリアなので、僕はSuicaで入場し、30分後の後続のマリンライナーで岡山駅へ。
岡山駅中央改札口前
岡山駅は以前来た時と大きく変わっており、建物はそのままに、内部の大規模なリニューアルが2006年に行われていた。
1972年の山陽新幹線岡山開業時に建設されたので、盛岡駅など東北新幹線各駅とよく似た、国鉄末期の新幹線駅らしい横に長い駅舎で、かつては1階と地下に改札口があったはず。
リニューアル後は1階の改札口がなくなって2階に移り、橋上駅舎に変わったようだ。盛岡駅も2005年に似たようなリニューアルがされたが、岡山は落ち着いた雰囲気がした。
翌朝の岡山駅
結局あまり時間がなく、岡山には泊まっただけといった感じだったが、少し岡山市内を紹介します。
岡山市街は岡山電気軌道(岡電)の路面電車が走っている。国内に現存する路面電車の中では、いちばん運行距離が短いが、岡山駅から岡山城周辺までは100円(それ以降も140円)で本数も多くて乗りやすい。岡山駅からは2系統出ているので注意が必要なのと、JRの駅からは地下道で乗り場に行かなければならないのが不便。
同社の車両には個性的なものがある。
低床電車の「MOMO」(9200形)
今でこそ各地の路面電車にバリアフリーに配慮した乗り降りしやすい電車が導入されているが、岡電は熊本市交通局と並んでそれを早期に採用した事業者。
カナダのボンバルディア社(飛行機ではお騒がせのメーカーだが)製の部品と日本製のモーターなどを使って日本で組み立てたもので、富山や熊本にほぼ同型の“兄弟”といえる車両が走っている。

ところで、岡電の系列会社は経営難に陥った和歌山県の私鉄の経営を引き継いでいる(和歌山電鉄)。その駅にいる三毛ネコの「たま駅長」が有名になったが、その縁で岡山の路面電車にも、たまのイラストを散りばめた「たま電車」がある。しかもその電車、1965年に廃止になった旧秋田市交通局の路面電車(秋田市電)の車両の機器を流用して作られた車両(外装・内装とも更新されており、ほとんど面影はないと思うが)だという。
ネコ好き・秋田市民としてはぜひ見てみたかったのだが、発表によれば1月下旬から「点検整備のため、当分の間運行を見合わせ」とのことで、残念。そろそろ復帰するかもと期待していたのだが…
岡電にはもう1両、一緒に秋田市から譲渡されて改造された同型車両が走っているようだが、それも今回見る機会はなかった。おそらく秋田市電の血を引く最後の車両だと思うので、いつか見て・乗ってみたい。


岡山と言えばやっぱり「桃太郎」。上で紹介したマリンライナーのロゴ、路面電車のMOMOのほかには、
岡山駅前の銅像

マンホールにも
写真は下の右側に「城下筋」と通りの名称が表示されているが、他では同デザインで「げすいどう」となっていたものがあったので、これは下水のマンホール。他には、
水道局のはかわいらしい
積雪地秋田にはほとんどない、地下式の消火栓のマンホールは、
桃太郎消防士! 水じゃなく泡を飛ばしてる?
3つとも岡山市関係の組織のものだが、表情やデザインに個性があって楽しい。
そして、駅前のポストの上
銅像じゃなく、色つきの像は珍しい
一瞬誰だか分かりにくいが、はちまきには桃の絵が描かれているから、この人も桃太郎。
筆を持って寝っ転がっているという、個性的なスタイル。銅像と競合しないように配慮したのかな。
 

最後に、信号機の色。さすがに桃色、というわけはなく、
メタリックグレー? いぶし銀?
まだ新しそうな信号機で歩行者用はLED式ではあるが、薄型の“お弁当”ではなく、従来型の厚いボディ。新方式の採用に踏み切るかどうか、県によって判断が分かれるのかもしれない。
これはシブイくてカッコイイ!

しばし本州に戻った後、南国土佐・高知へ向かいます
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高松へ

2010-03-25 19:52:36 | 旅行記
【四国旅行記6】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
鳴門から徳島駅に戻り、やっと鉄道での移動を始める。まずは今回使ったきっぷについて説明させていただく。
●がんばれJR四国
四国全土と瀬戸大橋線(岡山県の児島駅まで)をエリアとする、四国旅客鉄道(JR四国)。
JR各社のうち、本州以外の3社は経営が厳しいが、中でも四国は新幹線がなく、大都市(札幌や福岡のような)近郊輸送もない上、面積や道路網の関係で高速バスが発達しているなど、特に苦しいようだ。
3月19日には、高速道路一部無料化・上限制導入等で、33億円の減収・22億円の経常赤字が見込まれるとの発表があった。本当に国は自家用車以外の交通手段を必要とする人やその交通事業者のことをもっと考えてほしい。

●誕生月は四国へ
そうした厳しい経営の中、少しでも利用してほしいからか、JR四国では、自社全線が乗り放題になるきっぷを何種類(グリーン車用・自由席用・週末用など)か発売してくれている。
その中で、ひときわお得なのが、「バースデイきっぷ」。
簡単に言えば「その月生まれの人が、連続する3日間、JR四国内の全列車のグリーン車に、1万円ポッキリで乗り放題」のきっぷ。
 ※利用日については、厳密には「利用開始日が誕生月の場合に発売」(→3月生まれの場合、3月31日から4月2日までの3日間はOKだが、2月28日から3月2日などはダメ)
また、同料金のきっぷを3人分まで、誕生月の人と同一行程で旅行する条件で発売してくれる。

実は秋田から四国へ鉄道だけで行く場合、このきっぷを使ったとしても、トータルでは劇的には安くならない(周遊きっぷなど他にも安いきっぷがあるから)。
また、四国の特急にはグリーン車が連結されておらず、申し訳程度の普通車指定席だけがある列車も少なくない。だから、いくらグリーン車乗り放題のきっぷを所持していても、普通車に乗らざるを得ない場合もある。
そうしたことを踏まえても、1万円で3日間ほぼ確実にゆったりと座って移動できるのは魅力的。経営が苦しいJR四国をささやかながら応援したい思いもあって、今回の旅行先に選んだわけだ。(1万円で乗り回されちゃ、かえって迷惑?)

四国外に住む者が気をつけたいのは、バースデイきっぷを購入できる場所。JR四国の各駅と四国内の旅行会社でしか買えないから。利用開始当日でも買えるのであまり問題はないかもしれないけれど。
四国外で買えるのは、大阪駅構内にあるJR四国の旅行代理店(東日本でいうびゅうプラザ)「ワープ梅田支店」とJR四国がやっている「夢四国」というサイトの通販(送料要)だけ。
きっぷの利用可能エリアの端である、岡山県の児島駅は、JR西日本の管轄なので、購入できない(指定券の発行も不可)。

今回は、前日のうちに徳島駅のみどりの窓口で購入した。
運転免許証を提示し、その場できっぷに氏名を記入させられた。なお、旅行中も誕生日の分かる証明書類の携行が必要。
バースデイきっぷ
徳島駅はインクリボンで印字するタイプのきっぷ発行機(マルス端末)だったので、保存するには好都合。高松駅や高知駅は、秋田駅と同様の感熱紙タイプの端末だった。

●高松へ
徳島を後に、香川県の高松へ向かう。徳島-高松間は「うずしお」という特急がほぼ1時間毎に運行している。所要時間は約1時間。
徳島駅に着くと、ちょうどいい時刻。「うずしお」にはグリーン車がないので、自由席にこのまま乗ろうかなと思ったが、みどりの窓口が空いていたのでバースデイきっぷを提示し「次の『うずしお』で高松まで!」と言って普通指定券を発券してもらった。日頃ケチな者としては、これだけで贅沢!
徳島駅ホーム
駅名標の「徳島」の左にあるのはプロ野球四国・九州アイランドリーグ「徳島インディゴソックス」のロゴ。
改札は自動化されておらず、ホームも昔ながらの造りの駅だ。四国は高松から松山付近以外は電化(電車や電気機関車が走れる設備)されていないから、徳島はすべて気動車(ディーゼルカー)だが、普通列車用は環境に配慮した新型車両が多かった。
特急「うずしお」の「N2000系」気動車
山陰で乗ったJR西日本のキハ187系と同様のコンセプトの車両で、カーブを高速で通過できるようになっており、需要に応じた短い編成で走る。
キハ187系よりもこのN2000系の方が先に設計された車両だけど、多少色気のあるデザインというか、187系ほど無愛想じゃなくて、好き。エンジと紺のアクセントがカッコイイ。

この時の「うずしお」は2両編成。大部分が自由席で、指定席は1号車の座席番号1番から4番までの16席だけ。
1号車車内
天井に表示があり、座席の枕カバーを指定席部分だけ青くして(他は白)区別しているが、仕切りなどはないので、やっぱり間違って座っていた人がいた。
指定席の客は僕ともう1人だけ。だけど自由席はなかなかの乗車率。指定券を取っておいて良かった。

快調に走り出して最高速度130km/hでぐんぐん飛ばしていくが、停車駅がわりと多い。自宅そばの駅に止まる気軽な特急として自由席メインなのだろう。
車窓は特にいいわけでもないが、僕は初めて通る区間であるし、遠くに来ていると思うと目を離せない。香川県に入ると、ため池が見えた。
高松に到着すると、正面の“トレインマーク”が「うずしお」から「回送」に変わるため、ぐるぐる回り出した。他の列車名が次々に出てくる。
色違いの「うずしお」マークが
通常は赤い背景に白抜きのマークだが、一瞬、緑の背景に水色で渦が描かれた「うずしお」が見えた。
緑のマークは、旧型車両(キハ185系)で運転される一部の「うずしお」用のマークらしいが、新しい車両にもそれがセットされているようだ。
高松駅ホーム
かつて、宇高連絡線の乗り換え駅であった名残で、ホームは行き止まりの構造(頭端式)になっている。(2001年に現在の位置に若干移動した)
そして、ホームがフォークや櫛のように末端がつながっていて、そこに改札口があるので、段差や階段なしに移動できるのが特徴。(上野駅の低いホームみたいな感じ)
ホームには宇高連絡船内にあったうどん屋の味を引き継いだ、「連絡船うどん」という立ち食い讃岐うどん屋(以前食べたけどおいしかった)などもあり、活気がある。1日平均乗車人員が1万3千人ほど(秋田駅よりも少し多い)で、四国の他の県庁所在地の駅(いずれも1万人以下)を大きく引き離す、四国最大の駅。「四国最北端の駅」でもあるそうだ。
改札口前
2001年に新築された駅舎内は広くて天井が高い。JR四国で自動改札機が設置されているのは高松と高知だけ。
駅前広場も広い
近くに高松港、高松城趾・玉藻公園などがある。今回は高松には乗り換えで立ち寄っただけだが、せっかくなのでちょっとだけ歩いてみた。
高松市は人口42万人の中核市。私鉄の高松琴平電気鉄道(ことでん)が走っている。
高松駅からことでん「瓦町」駅にかけてはいくつかの商店街があり、それらが「高松中央商店街」としてアーケードでつながっている。このアーケードは2.7キロに及び、日本一長いアーケードとのこと。
高松駅に近い兵庫町商店街
自転車も歩行者も多い。やはり高松の市街地も衰退しているとはいうが、賑やか。
兵庫町を抜けると、三越や中央郵便局などがある「丸亀町商店街」。
 内部
ドーム状のものは直径26メートル、高さ32.2メートルで「日本一高いアーケード」。詳細はよく分からないが、2007年頃にでき、「丸亀ドーム」と言うらしい。夜間に内側に灯りが点くと、きれいに見えるようだ。
あんまり意味はなさそうだけど、インパクトはある。

商店街のすぐそばは、「高松中央通り」と呼ばれる大通り。国道11・30号線の重複区間。
その歩道
徳島市同様、歩行者と自転車の通行区分が明確に区分されていた。徳島県道のような“分離柵”や告知看板はなく、路面に着色しているのは自転車側だけだが、これでも充分。
もっとも実際にはアーケード内を通る自転車の方が多かったけれど…(禁止されていない)
路面はザラザラした舗装
2005年9月の国交省四国地方整備局香川河川国道事務所と高松市の発表によれば、ここでは自転車区分の明示だけでなく、バリアフリーに配慮した段差・勾配の緩和およびブロック(インターロッキング)老朽化・水はね、水たまり対策として、ブロックを廃止して透水性舗装への変更が行われたそうだ。しかも、その舗装材には、既存の陶器ブロックを再利用したそうだ。きっとブロックを砕いて舗装したのだろう。
これなら、秋田市の県道・竿燈大通りでもできるんじゃない? あんなデコボコしたへたくそなブロック敷きをしなくても済むし。

最後に、
高松駅周辺の信号機
その色は、
メタリックブルー? ネイビー?
歩行者用薄型信号は
光を反射して輝く。「歩行者自転車専用」の看板の裏面も青くなっていて芸が細かい
この歩行者用信号機は、“お弁当箱”型というより、若干カーブがあり“枕”型といった感じかな。メーカーが違うためで、秋田市でも五丁目橋などに同型の茶色のものが設置されている。
後日紹介する、高知市でも同じような色合いの信号機があった。個人的に好きな色だし、南国らしくていい色だと思う。
一方、徳島市では一般的なこげ茶色のしか見なかった。徳島は藍染めが盛んだから、青い色の信号があってもいいかも。
こちらで紹介した通り、秋田市内には鈍く光る濃い緑色、松江市ではゴールドの信号機があったが、最近は光沢感のある信号機が流行ってるのだろうか。材質とか塗装技術などのためかもしれない。

次は、一度本州へ戻ります
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アルヴェ14階・その後

2010-03-24 23:47:06 | 秋田のいろいろ
旅行記を中断して、秋田の話題です。

昨年11月の記事の通り、秋田駅東口直結の「秋田拠点センター“アルヴェ”(ALVE、アルベ)」の14階にあった飲食店が閉店し、改装工事が行われていた。
年が明けても、飲食店があった部分は閉じられており、やけに長期間の工事だったが、それがやっと終わったとの話を聞いたので、行ってみた。
エレベーター内
レストラン閉店の貼り紙が大きくなっているが、「14」のボタンの横には「オフィス」とある?!
14階へ到着。従来通り正面に太平山が見渡せる
右に目を転じると…
 
飲食店入口だった部分にガラスのドアがある。そして、
無情な警告
「これから先は大塚製薬グループに御用がある方以外の入室はご遠慮ください」

飲食店跡地はオフィスとなり、そこに入居しているのは大塚製薬・大塚製薬工場・アース製薬という、大塚グループの企業のようだ。
「大塚製薬工場」というのは初めて聞いたが、ここに工場があるわけではなく、そういう会社名で、医薬品からオロナインやオロナミンCまで、様々な製品の開発・製造・販売を行っている(販売は別会社がしている製品もある)企業らしい。
ネットで調べると、ここには各社の「秋田出張所」が置かれており、以前は3社とも泉北二丁目(グランマートの向かい、コメリのそば)に秋田出張所があったので、揃って駅前へ移転してきたようだ。
このご時世に秋田駅前に進出してきて、1フロアを占有するとは、なかなかやりますな。ちなみに大塚の創業地・現在の拠点は、旅行記で紹介中の徳島。
14階のフロアガイド
青い部分が各社のオフィスなので、ガラスドアの向こうも東側には窓際に廊下があるようだ(薄いグレーの部分)。下の赤い四角で囲った部分しか一般人は立ち入れないわけだが、ちょっと見にくいが、その名称が「エレベーターホール」になっている。ん?
改装工事中の同じ図(工事部分は隠されていたので省略)
この図では、「展望ロビー」となっている。
場所自体はまったく変化していないのに、以前は「展望ロビー」だった部分が、飲食店閉鎖・オフィス化後は「エレベーターホール」に名前だけ変わったわけだ。
次に、
各階にあるご案内(抜けている階はビジネスホテルの占有フロア)
14階には「オフィス(エレベーターホールは展望可)」とある。
なんとなく「オフィスだけど景色を見たけりゃ見ていいよ」と恩着せがましい気がしてしまう。今まで通り「展望ロビー」じゃいけないの?

これらの言い回しによって「あそこはあくまでもエレベーターホール」「展望したければ見ていいよ」すなわち、「積極的には展望しに来てほしくない」と言っているようにとれてしまうのは僕だけだろうか?
たしかにオフィスの前をいろんな人がうろうろしていては迷惑なのかもしれないけれど。


アルヴェは、官民共同で建てられ、秋田駅前の拠点として、いろんな人が交流できて賑わいのある施設を目指していたはず。
だからこそ、展望スペース(かなり貧弱だが)があったのだろうし、お金を払って飲食店に入れば、誰でも14階からの各方位の景色を楽しめたのだろう。
そんな場所を、大塚製薬の関係者という、ごく限られた人だけしか景色を眺められない空間に変えてしまったというのは、いかがなものか。

この部分はおそらく民間所有で、公的資金は投入されていないのかもしれないし、ビル運営会社にしてみれば、いつ潰れて出て行くか分からない飲食店よりも、大手企業が店子さんになって家賃を納めてくれた方が安心で確実なのも分かる。
でも、ここは上記の通り、秋田駅周辺の賑わい創りを目的に建てられたビル。単なるオフィスビルや雑居ビルじゃないんだ。そこに製薬会社の事務所が入っても、新たな賑わいにはならないだろうし、駅前を訪れるほとんどの一般人(市民や旅行客)には何のメリットもない。
うまく言えないが、本件には秋田市民としてはがっかりしてしまったし、日赤病院跡地にできるという建物もこのようになるのではと、とても心配になってきた。


東側しか見えず、かつ「エレベーターホール」という名に成り下がってしまった場所だが、僕がいた2・3分の間に、若い女性2人組と年配のご夫婦が来て景色を眺めていった。秋田に帰省している人だろうか、旅行客だろうか。
やっぱり景色を見たいという需要はあるんだ。オフィスとして閉じてしまった空間を少しでも開放することはできなかったのだろうか。
ガラスは先日の黄砂で汚れていた
単なる「エレベーターホール」となってしまった以上、このガラスがきれいになって“展望”できる日は来るのだろうか。
【4月27日追記】この記事アップ後、久しぶりに14階に行ったところ、ガラスはきれいに拭かれて黄砂の汚れは取れていたことを、いちおう付記しておきます。
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鳴門の渦潮

2010-03-24 20:27:03 | 旅行記
【四国旅行記5】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
四国2日目。天気はいい。
さっそくフリーきっぷを使って、JRであちこち移動したいところだが、徳島に来たからには「鳴門の渦潮」を見ておきたい。昨日、高速バスで大鳴門橋を渡った時に、渦潮らしき流れが見えたから期待できそう。

鳴門市は徳島市の北隣。渦潮見物をする「鳴門公園」は、橋を渡った大毛島という島にある。淡路島へ渡る大鳴門橋のたもとでもある。
公共交通で徳島市から鳴門公園に行くには、次の2つの方法がある。
 1.JR高徳線~鳴門線で鳴門駅まで(毎時1本程度。350円)→鳴門駅前から鳴門市営バスまたは徳島バスの路線バス(それぞれ毎時1本程度。300円)
 2.徳島駅から徳島バスの路線バス(毎時1本。690円) ※このバスは、途中鳴門駅前を経由するので、1の徳島バスと同じもの
僕としては、JRのフリーきっぷがあるのだから、安く付く1の手段を使いたい。
だが、これははっきり言って使い物にならない。まず、徳島-鳴門間のJRは距離にして20キロ弱だから、30分程度で着くのに、途中駅で長時間止まって1時間近くかかってしまう列車がある。
さらに鳴門駅でのJRとバスの接続が悪く、時間つぶしが難しい鳴門駅で30分以上も待たされる場合がある。バスは2社がそれぞれ毎時1本(つまり1時間に2本)運行しているが、時刻が近接していて、実質的には1時間1本の時間帯もある。

JR四国は、高速道無料化などによって利用者が減り、経営が厳しいと言っている。
その言い分はとてもよく分かるし、鉄道が好きな者として応援したいのはやまやまだが、鳴門線に限っては、せっかく鳴門観光の需要があるのに、利用者を無視したダイヤで自らみすみす客を逃がしていると言わざるを得ない状況だ。
バスの方も、(徳島から直通である徳島バスは別として)鳴門市の市営バスなんだから、地元の観光振興のため、もうちょっと考えてほしい。

そんなわけで不本意ながら徳島駅前から路線バス1本で行くことにした。
“徳バス”こと徳島バス
「鳴門本線」という路線名だから同社の主要路線なのだろうか。「小鳴門橋」行きなど途中止まりの便は毎時数本あるが、先の鳴門公園まで行くのは1時間に1本。
秋田市でいうところの新国道経由のような路線だ。セリオンや飯島発着の便は多いが、男鹿や五城目まで行く便は少ない。

渋滞気味の徳島市街地を抜けて吉野川橋を渡り、旧国道と国道28号線を走り、松茂町に入って徳島空港のそばを通って鳴門市に入るが、ずっと住宅地が続く。沿線に大学やショッピングセンター、競艇場があるため、若者やお年寄りがたくさん乗っていて乗り降りが多いが、皆さん比較的長距離乗っている。
僕は途中まで立った。渦潮を見に行く、フランス語らしきものを話す若者グループも乗っていて、彼らも立っていたが、熱心に席を譲っていた。
車両は新しめのノンステップバスだったが、降車合図の「とまります」ボタンを押すと、チャイムやブザーでなく、「チン」と控えめにベルが鳴るのがおもしろかった。

徳島駅から40分ほどで鳴門駅前に着く。JRとは経路が違って、バスの方が近道とはいえ、所要時間では互角だ。終点まではさらに20分ほど。つまり徳島駅からちょうど1時間かかる。
海沿いに出ると、
浜でワカメの水揚げをしていた
軽トラに風呂釜みたいなのを乗せ、そこで茹でて(湯通し)いるようだ。鳴門は三陸に次ぐワカメ産地で、今が収穫期。

さて、渦潮観光は、陸上から見る方法と船上(観潮船)から見る方法がある。観潮船はやや値が張るので、僕は陸から見ることにした。
陸から見る場合は、バスの終点で降りればいいが、観潮船乗り場は手前の「観光港」停留所。運転士がしっかり案内してくれた。フランス人グループなど数人が船乗り場で下車。残り数人が終点で降りた。

終点のバス停からは上り階段があり、その先の丘の上が渦潮見物エリア。
事前に地図で見ても、実際に現地を見ても、高低差が激しく、広大に感じられたが歩いてみるとそれほどではなかった。足腰の弱い方でなければ大丈夫だろう。
周辺には美術館や大鳴門橋の記念館などもあるが、今回は渦潮見物に集中する。
まずは、大鳴門橋に向かって右側、少し距離と高さがある「お茶園展望台」へ。
 
白っぽいのが渦潮かな? 四国放送のリモコンカメラがここに設置されていた。

戻って大鳴門橋の下をくぐり、
橋を挟んで反対側には土産物屋が集まる
ここが「千畳敷」という、もう1つの展望スポット
千畳敷からの眺め
この2か所が、陸からの渦潮見物のメインスポット。パンフレットなどの写真もここから撮ることが多いそうだ。とはいえ、橋の姿は美しく見えるが、肝心の渦潮はあまりよく見えなかった。
でも大丈夫。
大鳴門橋の真下へ

大鳴門橋遊歩道・徳島県立「渦の道」に入場
料金は500円(オリンパスのカメラユーザーの特典「クラブオフ」会員は400円になるのだが、印刷するのを忘れていて残念!)。なお他の施設との共通入場券を買っても割安になる。
2000年にオープンしたこの施設は、大鳴門橋の車道の下にある遊歩道。大鳴門橋は瀬戸大橋と同様、道路の下に鉄道が通る空間が用意されているのだが、鉄道運行計画が当分ないため、そこを観光用歩道に転用したもの。施設内での飲食は禁止。
大鳴門橋は長さ1626メートルで、うち徳島側450メートルが「渦の道」になっている。海面からの高さは45メートル。
始めはこんな通路。途中にベンチがあった
壁がガラス張りもしくはガラスのない網なので、海の様子や橋の構造が分かり、風を感じられる。さらに進むと、
おおっ! 下に渦潮が!!
そして、
床に窓があり、その真下に渦潮が!!
窓の上はジャンプ禁止だったが、上に立つのは大丈夫。
遊歩道の末端は広くなっていて、展望室になっており、きれいなトイレもある。
展望室。下を観潮船が通った
観潮船はいくつかの会社がやっているようで、大きい船も小さい船もいた。

ところで、ダイナミックな渦潮を見るには条件がある。
まずは、潮汐。満月と新月の前後1週間の「大潮」の日がいい。特に春と秋、とりわけ3月下旬から4月下旬が最もダイナミックとのこと。
次に時間。満潮と干潮(どちらでもいい)時刻のそれぞれ前後1時間半から2時間の間がベスト。
潮汐や干満の時刻は、渦の道や鳴門市観光協会のサイトなどに掲載されている。
もっとも、天候や風の影響もあるだろうから、運もありそうだけど。

訪れた時は、ちょうど干潮の時刻。
満潮と干潮では、渦潮が出る位置が異なり、干潮の時は徳島側から見て大鳴門橋の下から右側辺りだそうだ。たしかに、反対側は穏やかな海だ。ところが、
橋の真下、橋脚付近
上の写真は、徳島側に向かって撮っているのだが、右から左に向かって、川のように海水がざーざー(音も聞こえた)流れていた。この水の動きが渦潮を作るのだろう。
大潮の時間を知ってか知らずか、入場者が増えてきた。渦潮が出ている側の窓が人だかりができていて、あまりじっくり見られないが、隙を見て撮影。
 
立派な渦になっている!
事前のイメージでは、洗濯機みたいな大きな渦が独立してぐるぐるとずっと回っているような気がしていたが、(少なくともこの日は)いくつも渦が連なって出たり消えたりしていた。
海の中に“潮の流れの筋”があって、その筋の中で散発的に渦が発生しているといった感じだろうか。
撮影するにしても、きれいな渦が出ている場所とタイミングを狙うのが難しいし、露出補正も必要。レンズは広角がいい。ケータイで撮影している方も多かったが、きれいに撮れるのかな。

船から見るともっと迫力がありそうだが、橋の上の「渦の道」から見るのでも大満足。高所恐怖症の人は怖いだろうが、揺れも感じなかったし、日程と時刻さえ合えば、とても楽しめると思う。
船は果敢に渦に入っていく
昔、北海道で流氷を見た。流氷は仮に人類がいなくても、同じ姿で存在していたはずなので、完全な自然の力による現象なわけだ。自然の偉大さに感動したものだった。
この渦潮も(大鳴門橋など人工の構造物はできているが)同様に自然の力によるもので、同じように感動を覚えた。


30分ほど渦潮に見入った後、荷物を預けてある徳島駅へ帰ることにした。鳴門市営バスに乗ってみたいのと節約するため、帰りこそは鳴門駅から列車に乗りたいが…
鳴門公園のバス乗り場には、バスが2台待機してた
右は行きに乗った徳島バス、左は鳴門市営バス。
市営バス正面の鳴門市の市章。渦潮だ
鳴門市営バスは鳴門市企業局運輸事業課が運営している。徳島県内には徳島市、小松島市、鳴門市と3つの公営交通事業者がある。
鳴門市営バスはあまり規模は大きくなく、徳島市には乗り入れていない。だが、鳴門駅周辺で市街地循環バスを運行しているほか、県境を越えて香川県まで行く路線(高速バスなどではなく一般路線)もある。さらに2002年までは兵庫県の淡路島へ行く路線もあり、3県にまたがって運行する公営バスだったそうだ。

上記の通り、鳴門市営バスは1時間に1本だが、この13時台だけは2本ある。徳島バス発車のわずか6分前に鳴門市営バスが発車するダイヤになっている。
時期によっては混雑するのかもしれないが、この時は明らかに供給過剰。せめて、2社の運転間隔を15分くらいに開ければいいのに。
そして鳴門駅でのJRへの接続が最悪。先発の市営バスで行った場合、50分も待ち時間がある。

ということで帰りも徳島バス1本で徳島駅へ戻ることにした。6分前に市営バスが行ったので、お客は少ないが、行きのバスで乗り合わせた人たちがちらほら。僕と同じ考えで徳島まで戻るようだ。
鳴門駅以降は、再び生活路線になり、立ち客がいる状態で徳島駅に着いた。
次回は、やっと列車での旅を始めます
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所変われば・徳島編

2010-03-23 19:27:51 | 旅行記
【四国旅行記4】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
徳島市関連最後の記事として、交通事情・通信事情をご紹介します。秋田市民としてはうらやましく感じたことが多かった…
なお、徳島市は人口は秋田市よりやや少なく中核市でないが、両市とも県人口の3割前後が集中する県庁所在地であり、公共交通はバスがメインであるなど共通点が多く、徳島市の中心市街地の活気は秋田市以上だと感じたので、「秋田市と同程度の都市」としても差し支えないと考えています。

1.路線バス
(1)徳島市営バス
徳島市内で路線バスを運行する主なバス事業者は、公営企業の「徳島市交通局(徳島市営バス)」と民間の「徳島バス(通称“徳バス”)」の2つ。
松江市やかつての秋田市同様、市営バスが市内を細かく運行し、民間バスが郊外路線を担当していて、競合しながらもある程度棲み分けされている。
徳島バスについては、次の鳴門の記事で紹介するつもりなので、ここでは市営バスについて。
徳島駅から一斉に発車する市営バス
市営バスは銀色に青ラインの車体。ノンステップ車を始めとするいすゞ製の大型車が圧倒的に多く感じたが、他の3メーカー製のものもあるとのこと。
上の写真の左側に、銀色にピンク色ラインのバスが写っているが、これも市営バスで、市内中心部の「循環バス」専用車両。

一般路線の運賃体系は市中心部が200円均一で、その外側が対距離制になっている。「初乗り料金が高めな代わり、初乗り距離が長い」と解釈してもいいかもしれない。バスカードなどはなく、秋田同様、紙の回数券(徳島バスと相互利用)のようだ。
市街地の近距離乗車では(他の地方都市と比べて)割高感があるが、便数が多く、利用しやすかった。

循環バスも大型バスを使用した200円均一運賃なので、他都市のような小型バスによるコミュニティバス的性格の路線ではなく、「既存バスでは行き来できないエリアを結ぶ新たな路線」のような位置づけなのだろうか。毎時2本の運転だが、右回り・左回りとも、徳島駅を同時に出発するダイヤになっており、使い勝手に改善の余地があるように感じた。
貸切事業も行っているものの、交通局の経営状態・徳島市の財政状況は良くなく、今後の交通事業のあり方が検討されているという。

乗ってみて気付いたことは、ほとんどの車両のシートの布地が、かつての秋田市営バスのワンステップ(低床)バスと同じ、黄緑のチェック柄で、きれいに整備されており、懐かしく感じてしまった。
また、優先座席が「公徳シート」という耳慣れぬ名称だった。「公徳」とはgoo辞書によれば「社会生活をする上で守るべき道徳。公民としての道徳。」ということだが、「徳島」の“徳”と掛けてあるのだろうか?(ちなみに秋田市営バスでは「善意の席」と呼んでいた)

(2)もう1つの市営バス
上の写真を再度ご覧いただくと、循環バスの後ろに、赤と肌色っぽいバスが、なんとなく肩身が狭そうに写っている。
これは秋田市でいえば羽後交通に相当する、周辺の町から徳島市に乗り入れているバス事業者のもの。南隣の小松島市から来ているのだが、その事業者は
小松島市運輸部(小松島市営バス)
徳島市内に隣町の市営バスが来ているのだ!
基本的に、公営交通事業者は、その自治体内だけを運行するもの。旧秋田市営バスの場合、秋田市外に空港があった関係上、空港リムジンバスが旧雄和町に行っていたのと、道路が秋田市外との境界線ギリギリを通る都合上、金足高岡線が旧天王・昭和両町を少しだけ走っていた程度だし、完全な青森市外に路線を持っていた青森市営バスは、現在は市外路線から撤退している。

だが、小松島市営バスは、大部分の路線が市境を越えて徳島市に乗り入れているという。とても珍しいと思うし、徳島市では、1つの街に2つの市営バスが走っているというのがおもしろい。
貸切事業に力を入れており、徳島バスに次ぐ県内2位のシェアとのこと。
【2016年1月11日追記】2015年3月をもって、小松島市営バスは廃止。徳島バスに移管されたとのこと。

(3)小松島から来たタヌキ
上の画像の小松島市バスの車両は、小松島市水道部のラッピング広告車両。車体の地色を活かしたやや控えめな広告だし、公共水道の広告で徳島市内を走っても宣伝効果はあまりなさそう。
その広告の中で、緑とピンクの生き物らしきものが水中を漂って(?)いた。
まん丸タヌキ?
水道部の公式サイトにも、この2匹が散りばめられている(名前は不明)。なんでタヌキなんだ? と思っていると…
「たぬきバスPon! Poko号」登場!!
これも小松島市営バス。三菱製のノンステップの中型車かな? 徳島市内は大型バスが多く、中型バスは珍しかった。
濃い黄色とピンクで目立つ

後部にはしっぽ?!
小松島市がタヌキにこだわる理由を調べたら、「金長たぬき」(『平成狸合戦ぽんぽこ』にも登場したそうだ)というタヌキの伝説が小松島にあるからだそうだ。
小松島市から徳島市に通ってくるタヌキ。小松島市のPRに一役買っているだろう。

(4)乗り場の時刻表
徳島駅前の路線バス乗り場は、2列(高速バスは別)になっており、1列が徳島市営、隣が徳島バスと分かれている。小松島市営は、徳島バスの片隅が乗り場。
それぞれの列ごとに案内所窓口があったので、各事業者の職員・社員が案内を担当しているのだろうか。(かつての秋田駅前の案内所は、現在と同じく1か所で全路線の案内をしていて、秋田県バス協会の人が案内をしていたはず。)
バスの入線・発車時に、「○番乗り場○○方面○○行き到着です/発車です」と、その都度肉声での放送があり、さらに「ぷぉーーーーっ」と船の汽笛のような、おならのよおうな“発車ブザー”が鳴り響くのがおもしろい。

さて、秋田の某バス会社は、とんでもなく見にくい時刻表を掲示しているが、徳島はどうだろう?
徳島市営バス
見上げる高い位置に掲示されていた。左は路線図で、経由地・停留所名が分かりやすい。右が時刻表で、路線別に時刻毎に横に見るオーソドックスなタイプ。
一方、
徳島バスのバス停のポール
デザインは違うが、市営と同じ趣旨のものだ。青森の弘南バスのものによく似ている。
そして、ポールから離れた柱には、
方面別の表内で、運行順に、途中停留所の時刻も掲載された時刻表
松江市のものと同じ趣旨で、多くの路線が走る場所に行きたい人が「県庁に行く次のバスは…」と簡単に見つけられる。さらに到着時刻も分かる。

秋田のバス会社には、こんな親切な時刻表を作ることはできないだろうが、特に新国道方面や牛島方面(行き先が多数あるが、分岐する手前の途中で降りる客が多い)にこんな時刻表があれば、どんなに分かりやすいことだろう。
ただし逆に徳島では、秋田にあるような、市全体の地図兼路線図のようなものが見当たらなかった(僕が見落としただけかもしれない)のは、分かりづらいと思った。3社が走っているのだから、まとめて1枚の図があっていいと思う。

2.自転車通行区分
2008年1月に国土交通省が「自転車通行環境整備のモデル地区」として全国98か所を指定し、秋田市中心部も対象になっているが、特に秋田県道はテキトーに白線を引いた程度だし、各道路管理者と警察も自転車利用者への啓発をしているようには見えないのが現状。

徳島駅周辺も同様にモデル地区に指定されていた。
秋田市より歩道の幅が広いし、積雪地でないから、有利ではあるのだろうが、徳島はとてもしっかりとモデル地区としての責任を果たしていると感じた。
徳島駅近くの徳島県道
路面の色を変え、なおかつ境界に「分離柵」を設置している。これなら「うっかり間違えてしまった」ということはまずないだろう。
秋田では柵を設置するほどのスペースはないが、路面の色を変えるのは、融雪装置の更新に合わせてできたのではないか。

そして自転車に乗っている皆さんは、ほぼ全員が走行場所を守っている。これも幅広さと区分明示の効果もあるだろうが、
路上の何か所かに、啓発の看板
これこれ。秋田にもこれを設置してほしい。
秋田でも広報紙などで多少の告知はしているが、道路を通る全員が見ているわけはないから、区分分けの意味を理解せずに通行している人も多いのだと思う。でも、その道路上に設置してPRすれば、見落とすということはあり得ないから、効果絶大だ。
香川県の高松市も同じような状況(看板は見なかったが)だったし、国交省徳島河川国道事務所が本件についての意見交換会を開催したり、意見募集をしたりしたので、国交省四国地方整備局の尽力なのだろうが、素晴らしい。

国交省によれば、モデル地区では自転車走行空間を「概ね2年間で、戦略的に整備」するのだそうだが、もう2年経ったよ。どうする秋田??

3.テレビ
今は、地方の県でも民放テレビ局が4局あるところが多いが、それ以下の県もある。わが秋田県は3局しかなくTBS系列局がないので、ケーブルテレビ(区域外再送信と言って隣県の局の放送を流している)に加入するか、県境部で隣県の電波を受信しない限り、TBSは見られない。

ところが徳島県には民放局は日本テレビ系の「四国放送」1局しかない!
今時そんな県がある…というわけではなく、からくりがあって、実は秋田などよりはるかにテレビ事情に恵まれている。
ホテルのテレビの地デジ番組表
右側に「MBS毎日放送」「ABCテレビ」「関西テレビ」が表示されている。これらは大阪のTBS、テレ朝、フジ系の準キー局。
つまり、徳島では瀬戸内海越しに、対岸の大阪・兵庫・和歌山の電波を受信できるという仕掛け。
このホテルはケーブルテレビだったので、ケーブル局側の都合上(区域外再送信の地デジ化には手続きが難しい)まだ実現していないようだが、理論上は大阪(関西)の日テレ系「よみうりテレビ」やテレ東系「テレビ大阪」も視聴できる。
 ※なかなか話が進まなかった秋田ケーブルテレビのTBS系列局の地デジ化問題も、岩手放送の同意が得られたことがこの旅行中に発表され、やっと地デジ化が決まった。徳島でも同様なのだろう。

こうした事情で、四国放送は日本テレビ系列ながら、フジの「ライオンのごきげんよう」を夕方に放送するなど、他系列の番組も多く放送していた。徳島県民にとっては、先に関西の局で見てしまい、四国放送を再放送的に見ることがあるそうだ。

距離的に近いだけでなく、こうして文化面でも関西と密接に結びついているのが徳島の特徴のようだ。
でも裏を返せば、徳島の地元情報入手手段が限られているわけでもある。徳島ローカル番組はNHK徳島放送局と四国放送しかないのだから。
四国放送では、朝は「ズームイン!!SUPER」をネットせず、独自の情報番組を放送していた。
「おはようとくしま」バックは大鳴門橋
1971年から続く、歴史ある番組。少し見たが、気象庁を退職して気象予報士になったという、年配の男性の天気予報コーナーが落ち着いていてよかった。

ここで気になることが。
NHK総合の朝のニュース「おはよう日本」の7時45分からのローカル版は、「おはよう秋田」のように「おはよう+県名」の番組名(というかコーナー名)になっている。
岡山ではひらがなの「おはようおかやま」だった
NHKの「おはよう日本」は1993年開始だそうだから、「おはよう徳島」では完全にタイトルがかぶってしまう。どうなってるんだろう?
「おはよう日本 徳島」ですか。こちらのバックは眉山
なるほど。おはよう日本の中の徳島版っていうことだろうか。NHKさんも遠慮したのね。

【2012年7月26日追記】四国放送の「おはようとくしま」(最後の1年は「おはようとくしまプラス」)は2011年3月で放送を終えて、全国放送「ZIP!」のフルネットになったとのこと。
それに伴い、2012年4月からNHKの番組が「NHKニュースおはよう徳島」に改題したそうだ。


所変わればいろいろ変わる。こういうことを知るのも旅の楽しみ。
次は、鳴門の渦潮を見に行きます
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徳島市といえば

2010-03-22 21:04:08 | 旅行記
【四国旅行記3】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
徳島市らしいものをご紹介します。
●阿波おどり
徳島市といえば「阿波おどり」。街中でもいろんな場所に“阿波おどりアイテム”があった。
・ポストの上
まずは、おなじみポストの上のオブジェ。徳島駅前のポストは、
 
駅から眉山の麓へ向かう新町橋通りの東新町商店街前の中央分離帯上のポストにも、
 駅前のとはポーズが違う

・橋のたもと
新町川にかかる両国橋のたもとには大きな像

・橋の路面?
新町橋の歩道(駅から眉山に向かって右側の歩道のみ)
路面に何かデザインされているが、一見、意味不明。
赤矢印に注目
実は、路面を直接見るよりも、欄干の柱を見ると分かる。湾曲した鏡面の柱には、路面のデザインが、正しいバランスになって映って見えるようになっている!
男女それぞれの踊り手が描かれていた

・からくり
紺屋町の広い道路
車がたくさん走る街に阿波おどりのお囃子が鳴り響いていた。音の出所は、
「阿波おどりカラクリ時計」
10時から20時まで、2時間毎に作動するそうだ。また、18時と20時には影絵も見られるようになっている。上の写真でも、「阿波おどりカラクリ時計」と表示している部分の上(半透明の屋根)で影絵が上映されているのだけど、この日はまだ明るかったのでちょっと見にくい。

・信号柱・街灯
徳島駅前の信号柱などには阿波おどりのレリーフ
背景は鳴門のうず潮かな?

・体操まで!
地元ケーブルテレビ局「ケーブルテレビ徳島(テレビトクシマ)」の自主放送チャンネル(秋田ケーブルテレビでいう所のアナログ10ch・デジタル121chのコミュニティチャンネル)で何かエクササイズのようなものをやっていたが…
「阿波踊り体操」!!
徹底したこだわりだ。

●LED
徳島県阿南市はLED技術の拠点だが、徳島市内でも各所で積極的にLEDを活用しているようで、イルミネーションイベントが行われたりしているようだ。
市内の車両用信号機は大部分がLED化されていた感じだった。(ちなみに秋田市内の車両用信号のLED化率は31.7%:19日付け魁新報より)ただ、歩行者用信号機は駅前のもの程度しかLEDでなく、大部分がまだ電球式で、こちらは秋田の方が進んでいるようだ。

ほかにも、上のカラクリ時計にも使われているし、駅周辺の歩道の路面の交差点付近にも青色LEDが埋め込まれていた。
駅前の徳島市営バスのりばも
他のバス会社に先駆けて、市営バスのりばがリニューアルされたようだが、のりばの番号表示が青色LEDになっている。
「徳島市交通局/市営バスのりば」という看板もオレンジのLED。文字が自由に表示できそうなタイプの表示器だったが、ずっと同じ文字を表示していた。なんかもったいないというか贅沢。

もう1つ、徳島市の交通・テレビ事情を紹介します。
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徳島市

2010-03-22 17:00:15 | 旅行記
【四国旅行記2】前の記事はこちら
高速バスであっけなく四国に上陸し、いよいよ四国の旅が始まるけれど、フリーきっぷの有効期間の3日間をフルに活かすため、行動開始は明日。今日は徳島市に“前泊”する形になるが、まだ16時前なので徳島市内を見てみた。
 ※天気がとてもよく、逆光での撮影になってしまった写真があり、お見苦しい点をご了承ください。

四国というとどのような印象をお持ちだろうか? 四万十川、お遍路、瀬戸内海など、のどかな“田舎”と思われるかもしれない。
たしかに列車で移動すると山間部は山深く、そういう面もある。でも、僕が今まで訪れた3県の県庁所在地(松山・高松・高知)は、とても賑やかな街だった。街中に人が多く、路面電車や私鉄が走っていて活気があった。

徳島市だけは訪れたことがなかったが、同様に賑やかな街というイメージを何となく持っていたが、他の3県庁所在地と異なり、JR以外に鉄道がなく、中核市でない(人口26万人)。
僕が徳島市で連想するものは、阿波踊り、眉山(びざん)、吉野川、ジャストシステム(本社が市内にある)くらいかな。
朝ドラ「ウェルかめ」の舞台は主に美波町だし、うず潮は鳴門市、LEDの開発・生産拠点は阿南市だからいずれも市外。秋田県外の人に「秋田市」と言ってもなまはげ(男鹿市)やかまくら(横手市)を連想されてしまうようなものか。


徳島市は水都(水の都)と呼ばれ、吉野川以外にもたくさんの川が市内を流れている。特に徳島駅や徳島城跡、市役所がある市の中心部は、吉野川の支流に囲まれた島状になっており、「ひょうたん島」と言うそうだ。保険料100円だけで乗れる、島の外周を一周する遊覧船があるそうだが、乗る時間がなかった。
JR徳島駅
駅自体は、(高架や橋上でない)地平駅だが、駅前は百貨店のそごうがあるなど、立派で賑やか。
駅の裏(北側)には車両基地・城山(徳島城跡)・助任川があるため、自由通路などはないようで、すべての施設が南側にまとまっているようだ。
そのため、駅の裏手にある徳島大学などへ行くには遠回りになりそうだ。城跡にも行く時間がなかったが、バスから見たら立派な石垣が残っていたし、「千秋閣庭園」と呼ばれる庭が保存・公開されているとのこと。
駅前の歩道橋の上から
駅前の南側には、大きな「新町橋通り」が南西方向に延びており、新町橋を渡った先にそびえるのが「眉山(びざん)」。眉の形の山であることが由来で標高277メートルの徳島市のシンボル的存在。
駅から1キロ弱の新町橋通りの突き当たりにある「阿波おどり会館」から頂上までロープウェーが運行されている。頂上にはテレビ塔があるようだ。
夕暮れの阿波おどり会館。「阿波“踊り”」ではなく「阿波“おどり”」が正式な表記のようだ
1999年に開館した阿波おどり会館では、阿波おどりの実演を見られるほか、「徳島県物産観光交流プラザ“あるでよ徳島”」がある。
「あるでよ徳島」は秋田県産業会館みたいな県内の物産を購入できる場所だが、スダチ加工品、ワカメ、お菓子、藍染め製品などいろんなものがあり、買いやすかった。

新町橋通りから南に進むと、「秋田町(あきたまち)」。一丁目から六丁目まであり、大きな歓楽街になっている。ここもメインストリートは広く、多くのバス路線が通る。
町名の由来は我が秋田と関係あるのだろうか?
近くにはアーケード街も
大賑わいではないが、シャッター通りではない。少なくとも秋田市中心市街地よりは活気がある。
街路樹のヤシ
駅前や新町橋通りに植えられていたのは、細くて背の高い「ワシントンヤシモドキ」か? これはフェニックスとも呼ばれる「カナリーヤシ」だろうか。
これを見て、つくづく南へ来たんだなと実感した。
なお、東海道新幹線の車窓からも見える、静岡県の浜名湖沿いにも背の高いヤシが植えられているが、四国のものと比べると元気がなさそうに見えた。

新町川は、西から東へ向かって流れており、川沿いはボードウォークや公園になっている。JR牟岐線を越えた辺りはこんな光景。
川沿いのヨットハーバー
奥に眉山が見える。駅前から見るのとは角度が違うが、ここからも眉の形に見える。
そして、左側に見えるビルが徳島県庁。
全国唯一の県庁前にあるヨットハーバーであり、「ケンチョピア」と愛称が付けられているそうだが、特に表示板などは見当たらなかった。
徳島県庁
この角度から見ると秋田市立総合病院にどことなく似ている。県庁は1986年竣工とのことで、できたのが同じ頃だからか。
県庁の最上階、11階が展望スペースとして開放されている(平日の開庁時間帯のみ)。
「展望者ロビー」
“展望者”というのはなんかヘンな言葉だが、「景色を見る人のため専用のロビー」だっていうことかな。殺風景でベンチがあるだけの空間だったけど(同フロアに自販機はあり)。
北方向
手前がケンチョピアのある新町川。左奥が駅裏の城山。
東方向
ひょうたん島を囲む助任川(?)、さらに先に吉野川の河口、そして海や島(淡路島?)が見えた。
残念ながら北側しかロビーになっておらず、西側の眉山は見られない。ただし、南側が一般人も利用できる食堂になっているので、営業時間内は違った景色が見られるだろう。「阿波尾鶏ササミカツ丼」などの地産地消メニューもあるとのこと。
徳島駅から県庁へは歩いて行かれなくもないが、路線バスを使うか、JR牟岐線で1駅の「阿波富田」駅から歩いた方が便利。

駅北側の県道に架かる「吉野川橋」にも行ってみた。
橋の上から
大きい! 雄物川よりも広い川幅。「四国三郎」と呼ばれる大河の貫禄充分。

当然橋も長く、吉野川橋は長さ1070メートルと伊勢大橋より少し短い程度。
この橋も尾張大橋・伊勢大橋と同じ、増田淳の設計によるもので1928(昭和3)年完成だが、デザイン的には一般的なトラス橋。ただ、今でも美しい姿を保っているし、水色に塗られているのが珍しいが四国らしい。また、トラスが17個も連続(旧秋田大橋は6連)しているのでその連なりもきれいだった。
北岸から。右に眉山
もう少し、徳島市の話を続けます
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四国へ

2010-03-21 21:01:48 | 旅行記
【四国旅行記1】旅行から戻りましたので、旅行記をアップしていきます。長くなると思いますが、ご覧ください。

●なぜ今、四国へ?
四国へは2度行ったことがあったが、最後に訪れてから5年ほど経つから、久々に行きたかった。
僕の場合、ぜひとも3月に行きたかったのだが都合が合わず、やっと今回機会に恵まれた。
なぜ3月に行きたかったのかというと、誕生月だから。JR四国では、誕生月の連続する3日間、同社全線のグリーン車が1万円で乗り放題になる「バースデイきっぷ」を発売しているのだ。僕は3月生まれだから、四国に行くなら3月というわけ。

●四国までどうやって行く?
四国では乗り放題だから、瀬戸内海を渡るまでをいかに安く上げるかが問題。
秋田から四国へ行く手段は、僕は飛行機は考えてないから、JRで行くとして、岡山から瀬戸大橋で香川県へ渡るルート。過去2回もそうしていた。
でも、そのルートでは、新幹線の移動距離が長くて、費用もけっこうかかる。

それならばフェリーを使えばいいのかとか調べたが、神戸から淡路島を通って徳島へ渡る高速バスが早くて安くて便利なことが分かった。
鉄道でなくバスを使うのは僕としては珍しいし、最初に踏み入れる四国の地が香川でなく徳島県というのが意外だったが、時間と費用がだいぶ節約できるので、次のようにきっぷを手配した。
・秋田から「周遊きっぷ・京阪神ゾーン」を使って、神戸市の舞子駅まで
  秋田-京都間の運賃が、普通きっぷの2割引
  京都以西は普通列車の移動になるが、「新快速」は速いので問題なし
・「高速舞子」バス停-徳島駅間は、高速バス「阿波エクスプレス神戸号」
  この高速バスは、新幹線新神戸駅や在来線三ノ宮駅周辺も通るが、そこで乗り降りすると若干料金が高くなる。本州側最後のバス停である「高速舞子」を利用すればさらに安い。
  周遊きっぷでは、三ノ宮駅よりもさらに西の明石駅まで乗り降り自由だから、高速舞子バス停最寄りの舞子駅まで行っても料金は同じ。これを使わない手はない。
・高速バスはネット割引&早期割引
  JRバス系の「高速バスネット」という予約サイトがある(「発車オーライネット」とは別)。
  阿波エクスプレスの場合、ネット予約・事前決済すれば料金が2%引き、さらに2週間前に予約すれば20%引き、1週間前で10%引きと大変お得。早めに予約すれば往復でも5000円以下。
  プリンタで「乗車票」を印刷して持参(もしくは携帯電話画面表示)すれば、窓口やコンビニに出向く必要もない。
つまり、神戸まで行ってしまえば、プラス5000円程度で四国(徳島)に行かれてしまうということだ。
【2021年5月8日・その後、いろいろ調べて考えて、いつかの次回来訪時のため追記】
和歌山~徳島の南海フェリーが運航されている。時間、費用的には大差なさそうだし、和歌山観光やゆったり船旅も良さそう。JRの周遊きっぷがなくなり、JRで長距離乗って運賃(の割引)をかせぐ必要もなくなったので、次はこれかな。

●ということで出発
太平山と日赤病院。秋田市内の田んぼは雪が消えていた
内陸に入り、角館付近では、
田んぼはまだ真っ白
旅行中には、秋田市内でも再び雪が積もったそうだ。
途中は省略して、
山陽本線・舞子駅に到着
舞子駅は、神戸市の西端、明石市寄りにある駅。「新快速」は停車しないので、京都・大阪方面から向かう時は三ノ宮駅または神戸駅で「快速」か「普通(各駅停車)」に乗り換える必要がある。
上の写真の駅名標の右隣にも表示があるし、駅到着時には車掌も「高速バスはお乗り換えです」と案内があり、正式に高速バス乗り換え場所として扱われている。
なお、JRの駅の隣には、山陽電鉄の「舞子公園」駅もある。
駅の上から明石海峡大橋と淡路島
この駅は、淡路島に渡る高速道路の明石海峡大橋のたもとの真下にある。そして駅真上の高速道路上に、バス停がある。
駅からバス停へは案内に従って行けば迷うことはないが、橋の上まで上るので、駅から10分弱かかった。また、きっぷ売場はない(一部路線は舞子駅のみどりの窓口などで購入可能)。
駅から明石海峡大橋と反対側を見る
X字型のがエスカレーター。中央の縦線がエレベーター。上のガラス張りのフロアに待合ベンチやトイレ、自販機がある。さらにその上がバス乗り場。
長いエスカレーター
この明石海峡大橋-淡路島-大鳴門橋のルートは、関西各地と淡路島内・四国各地を結ぶ高速バスの幹線になっている。
四国方面の時刻表
松山や高知に行くバスもあるし、ここを通過する便もあるから、ひっきりなしに高速バスが走っている。
徳島方面。複数のバス会社により1時間に何本も運行されている
乗り場は、上り車線と下り車線で車線を挟んで分かれているので、注意が必要。(素直に歩けば間違うことはないと思うが)
神戸側はトンネル。下り線側には乗り場前にも待合室がある
「舞子トンネル」と明石海峡大橋の間のわずかな部分がバス停。高速道路会社の名称としては「舞子バスストップ」だが、バス会社では「高速舞子」と呼称している。
淡路島側。橋がすぐそばに見える
下り側乗り場には、警備員風の服装でハンドマイクを持った係員がいて、トンネルから出てくるバスを見ては「××行き○○号が到着でーす」と教えてくれていた。
予約した便が到着
僕は予約して本格的な高速バスに乗るのが初めてで、しかも途中停留所からの乗車でやや不安だった。
この阿波エクスプレス号は、全席指定だが、空席があれば飛び込みで乗ることもできる。運転士が降りてきて「予約している方から先にどうぞ」とのことなので、乗車券と決済したクレジットカードを提示(カードはあまり見てないようだったが)すると、乗車券にスタンプを押してくれた(降車時に回収される)。荷物をトランクに預けたければ、申し出れば開けてくれる。

関西-徳島間のバスは、複数のバス会社が運行しているが、2グループに分かれて共同運行(予約や往復割引が共通でできる)している。1つは阪神バス・徳島バスなどの民間バス会社勢で、もう1つが今回利用した「阿波エクスプレス」。西日本ジェイアールバス・ジェイアールバス四国バス・本四海峡バスの3社で運行している。今回乗った便は、本四海峡バス担当便。同社は、明石海峡大橋開通に伴う、船舶関係者の離職対策として設立された企業だそうだ。

高速舞子からは5人くらい乗ったが、予約なしの人もいた。高速舞子以後は降車専用になるが、座席は7割方埋まっており、盛況。
発車してすぐ、世界最長の吊り橋(3911メートル)の明石海峡大橋をあっという間に渡り、淡路島へ。
竹林や段々畑が多い淡路島内。島とは思えないほど大きい
40分強かかって島を抜け、1629メートルの吊り橋、大鳴門橋を渡って徳島県へ。大鳴門橋からは渦潮らしきものが見えたが、それは後日ご紹介。
徳島駅まではさらに30分ほどかかるが、途中の3か所のバス停で降りていく人も多かった。その1つには運転手付きの黒塗り自動車が待っており、バスを降りた男性と付き人が乗っていった。企業の重役か自治体の首長かなんかだろうか。そういう人も利用するほど、この高速バスは浸透しているんだ。
徳島市内に入って渋滞していたが、ほぼ定刻で徳島駅前に到着。
徳島駅前。ヤシの木が南国らしい
約1時間半の高速バスの旅だった。隣の席にも人がいて、やっぱり窮屈ではあったが、まあ快適だった。あっけなく四国に来てしまったという感じだが、初めて訪れた徳島市が興味深い。
続きます
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バーモントカレー

2010-03-16 06:40:36 | その他もろもろ
子どもの頃、我が家で作るカレーはルウにはあまりこだわりがなかった。その都度安いのを買っていたのだろう。商品のラインナップ自体が限られていたのかもしれない。
その後、ここ十数年はいろんな新商品が出てきたので試したが、中には口に合わないものもあり、結局行き着いたのがカレールウの代表的商品「ハウスバーモントカレー(中辛)」。
我が家の好みが“お子様”なのかもしれないが、我が家の定番になった。スーパーの特売では、12皿分できる大きい方の箱(250g)を128~138円で売っていることが多かったが、昨年あたりからやや価格が上昇した傾向があった。

ところが、2月末くらいから、複数のスーパーで128円とか138円での特売が復活したので、うれしくなって買いだめしてきた。
買い置きしていたのと、今回買ったのを比べると
上が以前購入分。下が今回購入分
今回購入分には「新・濃縮加熱製法でおいしく、ヘルシー」と表示がある。
油脂量を減らし、おいしさを凝縮し、じっくり加熱したヘルシーな製法
箱の裏面の一部レイアウトが変わっているし、記載内容をよく見ると原材料の順番が入れ替わっていたり(例えば以前の「食塩、砂糖」がリニューアル後は逆)、
内容量が250gから238gに減っている!!
消費期限が2011年7月13日のものは250g、7月29日のものは238gだった。
また、両者でバーコードの番号が異なっており、現在ハウス食品のサイトには238gのものしか掲載されていない。サイト上では「フレッシュアップ」、イシカワリョウのテレビCMでは「New」と表示があるので、リニューアルしたということだろう。

昨年の今頃、ヨーグルトの容量が減って実質的な値上げになったことを記事にしたが、これも同じことだろうか?
(そういう意味合いもなくはないのかもしれないが)作り方の欄の他の材料や手順などは新旧とも同じだから、(1皿当たりの量が減るとかではなく)できあがりは同じようだ。「濃縮ナントカ製法」によって、ぎゅっと濃縮度合いが強くなったということのようだ。
栄養成分表示を比較・下が旧、上が新
大きな文字で記載されたのは、煮込む前の固形状態でのもの。エネルギーが113kcal→105kcalなど、各項目とも減っている。
欄外に、表示の分量で作った場合のできあがりのエネルギーと食塩相当量も記載されている。食塩相当量は変わらないが、これもエネルギーが267kcal→259kcalとわずかに減っている。
ちょっとだけヘルシーになったのかな?
もっとも、各家庭で作り方が違うし、水加減火加減で差が出ると考えられるから、あまり違いはないのだろう。(まだ新しいのを食べてないけど)


新旧の外箱を比べてみると、最初の写真でも分かるように箱のサイズは新旧とも同じだが、新しい方が明らかに軽く、箱を動かすと中で中箱が大きくカタカタと動くのが分かる。
外箱を開けて中のトレイは
下が新しい方
微妙に小さくなっている。

わずか12gの減量だけど、大量になれば輸送コストと環境負荷が少なくなりそうだから、エコになるかもしれないし、それが値段に反映されて再び安く売られるようになったのかもしれない。
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秋田の袋

2010-03-14 18:08:33 | 秋田のいろいろ
秋田にちなんだ「袋」の話題を2つ。
スギッチのエチケット袋
観光バスの座席の前には、車酔いした時に使ういわゆる「エチケット袋」が入っていることが多い。(「ちびまる子ちゃん」によれば「ゲゲゲ」だから「鬼太郎袋」と言うのだとか)
最近の秋田のバスにはこんな袋が入っていた。
半透明の袋
昨年から「NBA」の新ステッカーを盛んに車体に貼っている「日本バス協会」の下部組織、「秋田県バス協会」名義の袋で、秋田県のマスコット「スギッチ」が大きく描かれている。
運転してます
背景の世界地図が塗りつぶしなのに、主人公のスギッチが白抜きであまり目立たないんじゃないかな。

なお、「秋田県マスコット「スギッチ」使用取扱規程」によれば、営利目的でない場合、県の承認を受ければ無料でスギッチを使用できる。
でも、第6条に「(5)原則として、物品等には「秋田県マスコット スギッチ」との表記を付すること。」とあるのだが、この袋には「スギッチ」とは一言も書かれていない。
「原則として」だからいいのだろうが、知らない人が見たら、幹が隠れているから、イカとかただの三角に見えないかね?


こまちのコンビニレジ袋
こちらで紹介したように、JR東日本のコンビニ「NEWDAYS」の秋田にある店舗は、「JR東日本リテールネット」による直営の店舗と、JR東日本秋田支社の関連会社「ジェイアールアトリス」経営の店舗がある。
そのレジ袋。直営の方は全国共通の袋だったと思うが、アトリス経営の方は袋が違う
秋田新幹線「こまち」の絵が描かれている
下はジェイアールアトリスのマーク
先行試作車でなく量産編成の方だ。
新幹線開業と同時期くらいからこの袋を使い始めたと記憶している。新型車両になったら、この袋はどうなるだろう?
【4月21日追記】秋田駅の「ぽぽろーど店」で、4月4日にはこまちの袋をくれたが、21日には、通常の「NEWDAYS」ロゴの袋に変わっていた。こまちの袋はやめてしまったようだ。

こんな袋もあった

*          *          *

ところで、今週、旅に出てきます。
きっぷは京都までですが
海を渡って、四国へ行ってきます。
コメント (8)
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