(日本付近のプレート模式図(気象庁))
① ""南海トラフ「紀伊水道と日向灘でM5あいつぐ」四国ではスロースリップ続く 気象庁""
2019年04月05日 18時44分
駿河湾から日向灘にかけて、日本列島の下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフでは、今後30年以内に70〜80%の確率でマグニチュード(M)8を上回る巨大地震が発生するおそれがある。
気象庁は、南海トラフでの最近の動きを検討し、3月13日に和歌山県沖の紀伊水道と、27日には宮崎県沖の日向灘を震源とするM5クラスの地震があいついでいたと発表した。
② 異変なのか?
(南海トラフ地震の想定震源域で最近発生した動きをまとめた地図(気象庁))
気象庁によると、紀伊水道で先月13日に発生したM5.3は、震源の深さが43キロで、フィリピン海プレート内部の断層が横にずれたことで発生したものだった。この影響で、和歌山県や徳島県で最大震度4を観測したほか、近畿から中国、四国地方の広い範囲で震度3〜1の揺れがあった。
さらに、先月27日には日向灘を震源とするM5.4が2回発生した。これらの地震はプレート同士の境界で発生した逆断層型で、後に発生した震源が深い地震では、最大震度4を観測。気象庁によると、日向灘では1922年以降、M5以上の地震はひんぱんに起きているが、M6.5以上になると1997年以降は発生していないという。
③ 四国中西部のスロースリップは5カ月ぶり
(四国中西部で発生したスロースリップ活動(防災科学技術研究所))
プレート境界付近を震源とする地震は、紀伊半島や四国で繰り返し観測されている。2月下旬から3月3日までは、紀伊半島の北部でM5.6〜5.7、その後、3月29日から4月2日にかけては、震源域が西部に移り、M5.4の微小な揺れが続いた。これらは、プレートの境界深くを震源とする、人体には感じないほど周波数が低い地震で、地殻変動も観測されている。
また四国中西部でも、3月初めから中旬にかけてM5.6〜M6.2の深部低周波地震が発生した。これらはいずれもプレートがゆっくりすべるスロースリップだとみられるが、四国での活動は、昨年9〜10月以来、約5カ月ぶりだという。
これらの現象は、過去にも観測されてきていることと、13日の紀伊水道、27日の日向灘の地震は、その規模などから、南海トラフ沿いのプレートに、特段の変化が起きているわけではないと結論づけている。