これは大会の組織委員会などが10日、記者会見して発表しました。
🏉👥 中止になるのは、いずれも12日に予定されていた1次リーグの試合のうち、愛知県豊田市のニュージーランド対イタリアと、横浜市のイングランド対フランスの合わせて2試合です。
組織委員会などでは大型で猛烈な台風19号の進路によっては、12日の土曜日から13日の日曜日に組まれている1次リーグの試合について開催が難しくなるおそれがあるとして、会場の変更などを含めて対応策を検討してきました。
その結果、選手や観客などの安全面を第一に考え、気象の専門家などの助言を踏まえて、12日の2試合を中止にすると判断しました。
ワールドカップで試合が中止になるのは9回目の開催となる今回が初めてで、大会の規定に従い延期はなく、引き分け扱いとなって両チームに勝ち点2が与えられます。
このためグループBはニュージーランドが勝ち点16となって1位での決勝トーナメント進出、イタリアは勝ち点12で3位となり、敗退が決まりました。
また、グループCでイングランドの1位、フランスの2位での決勝トーナメント進出が決まりました。
🏉 12日に福岡市で予定されていたアイルランド対サモアは予定どおり行われ、
13日に予定されている横浜市の日本対スコットランドなど4試合については、
開催に向けた努力を尽くしたうえで、当日の朝に最終的な判断をするとしています。
堀江選手「試合はあってほしい」
今月13日のスコットランド戦への台風19号の影響について、日本代表の堀江翔太選手はきょうの練習後の会見で「大きい台風なのでみんな気をつけてほしい。試合はあってほしいし、勝ってベスト8に行きたい。それ以外は考えていない」と話しました。
またあさって予定されていた1次リーグの2試合が中止されることについては「どの選手も用意してきたことがあるので、絶対に試合をしたいと思っているだろう。試合をさせてあげたい気持ちもあるが、その辺の判断は上の方に任せたい」と話しました。
ブラウンコーチ「われわれの準備は万端だ」
日本代表のトンプソン ルーク選手は10日の練習後の会見で、「ワールドカップはいちばんレベルが高く、大きなチャレンジであり、中止になったチームの選手はめちゃくちゃ残念だと思う。でも、しょうがない」と話しました。また、今月13日のスコットランド戦については「天気は分からないけど、僕もめちゃくちゃ出たい。ただ天気はコントロールできない」と話しました。
また攻撃を担当するトニー・ブラウンコーチは会見で、「強風の中ではスキルを遂行するのはより難しくなる。キックするにしろパスを回すにしろ、精度を高くやらなければいけない。天候によっていろいろ調整していきたい。ただ言えるのはわれわれの準備は万端だ」と意気込みを話しました。
11日の「ファンゾーン」中止 静岡県
静岡県では11日袋井市でラグビーワールドカップ日本大会のオーストラリア対ジョージアの試合が予定されています。
これに合わせて静岡市と浜松市では、試合のパブリックビューイングや飲食などを楽しむことができる「ファンゾーン」が開催される予定でしたが静岡県は、このうち静岡市の駿府城公園の「ファンゾーン」について、台風19号の接近に備えて中止を決めました。
一方、JR浜松駅近くでは、予定どおり開催する予定だということです。
試合中止の2グループ
グループBはここまで、4試合すべてを終えた南アフリカが勝ち点15ですでに決勝トーナメント進出を決めていて、勝ち点14のニュージーランドと勝ち点10のイタリアが、12日の直接対決で決勝トーナメントに進む残り1枚の切符を争うことになっていました。
イタリアがニュージーランドに勝てば、イタリアが決勝トーナメントに進める可能性がありましたが、試合が中止となり両チームに勝ち点2が与えられたことで、
ニュージーランドが勝ち点16となり、1位で決勝トーナメントに進むことが決まりました。南アフリカが2位で、イタリアは勝ち点12の3位で1次リーグ敗退が決まり、9回目の出場だった今大会も決勝トーナメント進出はなりませんでした。
一方、グループCはすでにイングランドとフランスの決勝トーナメント進出が決まっていて、1位通過をかけて12日、直接対決することになっていましたが中止となったことで、イングランドが勝ち点17で1位、フランスが勝ち点15で2位となりました。
イングランド ジョーンズHC「しょうがない」
12日のフランス戦の中止が決まったことについてイングランドのエディー・ジョーンズヘッドコーチは「台風はコントロールできないのでしょうがない。全然がっかりしていないし、逆にわくわくしている。準々決勝に向けてこれだけ準備できるのはすばらしいことだと思う。今の95%の状態からさらに5%をあげていって決勝に向けて整えていきたい」と話しました。
フランス連盟「みんな残念」
12日のイングランド戦の中止が決まったフランスのラグビー連盟は日本時間の10日午後、ツイッターで「台風の影響を受けるサポーターの皆様は、地元当局やフランス大使館の指示、大会の組織委員会の情報にしたがってください」と呼びかけました。そのうえで「サポーターやファンの皆様が無事であるよう、応援しています。残念な気持ちは同じです」とコメントしました。
NZ 南アフリカは日本と対戦の可能性
グループBを勝ち上がったニュージーランドと南アフリカは、日本が入るグループAを勝ち上がったチームと決勝トーナメント初戦の準々決勝で対戦します。
日本がもし、グループAを1位で通過した場合は、グループBの2位となった南アフリカと、今月20日に対戦します。
日本が2位で通過すると、グループB1位で、史上初の3連覇を目指すニュージーランドと、19日に対戦します。
どちらの試合も、会場は東京・調布市の東京スタジアムで、試合開始は午後7時15分の予定です。
なぜ中止の判断?
ラグビーワールドカップを主催する国際統括団体の「ワールドラグビー」と大会の組織委員会は、台風で大きな影響を受けるおそれのある2試合について日程や会場の変更などを含めた対応策を検討したうえで最終的に中止にする判断をしました。
「ワールドラグビー」と組織委員会は大型で猛烈な台風19号の進路によっては、12日と13日に行われる1次リーグの合わせて7試合が大きな影響を受けるおそれがあるとして対応策を検討してきました。
この中では、試合の日程を延期することや別の会場で行うこと、さらには、運営スタッフを集められないことなどを想定して、無観客試合での開催も選択肢に入れて議論してきました。
しかし、各チームの宿泊施設や移動手段の確保が難しいことや会場運営の点でもボランティアをどう集めるかなど警備計画を改めてつくるのが困難だったということです。
また、無観客試合についても、ほかの試合と公平性を保てるかという点が課題になったということです。
一方、大会の規定では1次リーグで中止になった試合は延期せず、引き分けとするとなっていて、最終的にこの規定に従って2試合の中止を決めました。
大会の統括責任者を務める「ワールドラグビー」のアラン・ギルピン氏は「すべての選択肢をこの数日間検討した。試合を公平に扱う必要がある。できることならやりたいと思ったが、開催都市などとともにすべての手立てをうって実施できないということになれば、開催できないという判断にならざるをえない」と話し、万策尽きての決断だったことを明かしました。