二つの繭置所を見た後に、繰糸工場へ。南北方向に平行に配置された2つの繭置所を、東西方向につなぐような位置にあるのが繰糸工場です。これも大きい。これらの3棟で北に開いたコの字型ができています。
棟方向(東西)に長い越屋根(櫓)があるのが外観の特徴です。
中に入ってみるとわかりますが、越屋根はハイサイドライトではありません。ほかの蚕建築と同じように換気用です。明かりは下写真のように側面の大開口から入ります。白い色もいいですね。
蒸気機関を動力とする繰糸機です。何メートルくらいあるのでしょう。
(下写真)変則的であった繭置所のトラスと違い、こちらの小屋組みはちゃんとしたキングポストトラスです。
下写真の繰機が動き出すと相当な迫力だと思います。NISSAN製です。機械は富岡製糸所を片倉工業が所有していたころのものだそうです。実に驚いたことに1987年まで製糸をしていたそうです。またその後も建物や機械を壊さずに、きちんと保存していたということには驚きます。
工場として眺めても実に興味深いものです。下写真などは、ほかの地域の工場にも多く見られた風景ではないでしょうか。
工場の中の社宅。これも「あるある」ですね。
なんで工場というのは、どこを見ても見飽きないのでしょうか。工場や、小屋、倉庫など、特に見る人を意識して作ったものでないはずですが、ひとを感動させる空間(空間構成)がしばしばみられます。
ところで、富岡製糸場の展示や、紹介映像は大変分かり易く、感心しました。
富岡製糸場はモデルとして国がつくったものですが、「モデル」としてのやう割を十分に果たし、全国に機械製糸工場がつくられていたことが分かります。
高谷時彦
建築・都市デザイン
Tokihiko Takatani
architect/urban designer
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