まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

ミュンヘン・まちと川(2011視察17)

2011-10-15 13:53:06 | 海外巡礼 Europe

ドイツは近自然護岸や生態系に配慮した河川システムの研究や実践において世界を一歩先んじています。日本でも先進的な自治体や研究者は以前からドイツとの人的交流などを盛んに進めています。そのことを私は建築家であり水系研究者のKさんから何度かきいたことがありました。

そこで、今回ミュンヘンを訪れた際に都市内河川を自然の流れに変えた例として有名なイザール河畔ものぞいてみました。

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近年までほとんどのヨーロッパの河川は全ての部分で人の手が入った人工河川でした。船の通行、洪水コントロール、水力発電といった人間側の都合で、ダムが多く、垂直護岸によって固められた運河のようになっていたわけです。

ただ20世紀後半から大きな考え方の転換が行なわれました。洪水を調整する点でも、生態系の回復という点でも、人が川を楽しむという点でも自然に近い状態にしたほうが優れた効果が得られるとの認識です。次第にコンクリート護岸や不自然な土手が撤去され、河原のある川が復活してきたのです。

ミュンヘンのまちの中を流れるイザール川では1998年から取組みが始まっています。私は以前、川の中洲にあるドイツミュージアムでモノを徹底して収集・展示する精神に圧倒されたことがありますが、実はそのミュージアムの周りが今上の写真のように市民のリクリエーションの場所になっています。

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ここが大都会ミュンヘンの中心部で、上記の博物館以外にも劇場やミュンヘンフィルのホール、図書館、そして市民温泉(プール、Volksbad)の密集する文化、娯楽地区であることが信じられません。

そんな中に、奥多摩秋川渓谷のような河川リクリエーションの場所があるのです。以前の状態も日本人の目には自然豊かな緑地でしたが、川からいきなり緑地が立ち上がっていた状態だったものが改善されたようです。

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さてまちなかでのスナップを何点か紹介します。

本家ベロタクシーです。

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ところで、川のすぐ近くにあるイザールタワー(14世紀の城門)に併設された博物館(Valentin Museum)にはミュンヘンの歴史が紹介されています。

次の写真は20世紀初頭のまちの中のいわゆる長屋(lowhouse,nietrige hauser)です。4分割されて居住され、家畜も飼われていたとのことです。道路も汚なくでこぼこであった紹介されています。

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木造瓦葺のように見えます。このように柵で囲われた一軒家タイプの住宅が町家形式に変わりつつ街路に沿って並び、中央に空地を持つ街区が形成されて今に至るというのがドイツの町の標準的な姿です。

日本はもっと清潔でしたし、庭にはもっと樹木があったと思います。また、住居形式や住まい方も全く違っていました。しかし、一軒家タイプの木造住宅が都市の中に多く存在していたという意味では、上の写真と同じような状況だったのでしょう。その後ドイツは建築形式として集合化に向かい、日本はそのまま一軒家で都市を構成するという道をたどったわけです。


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