まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

アウグスブルグにもアーバンセンター(2011視察16)

2011-10-15 13:24:33 | 海外巡礼 Europe

9月10日は公共交通整備を通した歩いて楽しい街中づくりを進めるアウグスブルグを訪れました。

アウクスブルクはミュンヘンから鉄道で40分ほどの距離にあります。この路線はドイツの中でも幹線ということになり大変便利です。

日本人から見るとミュンヘンの郊外都市のようにも思えますが、実は都市としてはドイツでも最も歴史あるローマン古都です。ちなみにミュンヘンは12世紀にヘンリーライオン王によってつくられた中世都市を起源としています。アウクスブルクの人口は26万人ほど、私たちの関係するところでは照明メーカーのOsramのあるまちです。

この町は中世からルネサンスへと繁栄を続け、15から17世紀のフッガー家の時代に隆盛を極めます。

そのまま残っていればウルビノと同じくルネサンス建築のまちとなったのでしょうが残念なことに第2次世界大戦により、中心部が破壊されます。驚いたことにまちの観光の中心でもある市庁舎も再建されたものだとのことです。

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上の写真は市庁舎外観と黄金の間の天井です。

閑話休題。モダニズム建築は天井面を照明や空調の吹き出し口を治めるたいらな面にしてしまったのですが、天井をもう一度考えることが、デザインのブレイクスルーになるような気がしています。

さて、市庁舎の前はやはり市民の集まる広場です。

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路面電車やバス、郊外電車、駐車場を計画的に配置し中心部を歩行者ゾーン(Fussgangerzone)にしているのです。

次の写真を見ると歩行者空間とまさに路面電車が共存しているという雰囲気が分かると思います。

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実は今市庁舎を中心とした歩行者ゾーンと路面電車やバス路線の接するゾーンを総合的に改善しようという計画を市では進めています。

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乗り換えやバスレーンなどで交通が混雑している部分を見直すためにBプランが提示されています。上の写真のタイトルは500番という番号が付いたBプランであることを示しています。Bプランは土地利用計画であるFプランを空間的、建築的な規定にまで詳細化したもので、日本の地区計画のお手本となったものです。故日笠端先生、日端先生たちが70年代に日本に導入をしようということで研究されたいたことを思い出します。

このBプランでは電車とバスの乗り換えのためのシェルターつきの駅を作り同時に歩行者空間を拡大しようという計画が示されています。

私が感心するのはここでもその計画を市民に説明し理解を得るために一種のアーバンセンターを設置していることです。

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上の写真のように一時的なものですが、これから変えていこうとする現場のすぐお隣に設置しています。以前路面電車の拡張計画案が住民投票で否決されたことがあるようですが、それだからということではなく常にきちんと住民に自治体が何をやろうとしているのかを説明していくという姿勢が徹底しています。しかも、パンフレットやその中の図面も美しくデザインされています。美しく読みやすい資料で、計画の目標、スケジュール、課題、代替案などをきちんと提示することが行なわれています。これはドイツやフランスのどの都市に行っても感じることです。

ところでアウクスブルクは古くはモーツアルトのお父さん、新しくはブレヒトの出身地として有名だそうです。昼ごはんを食べたレストランのメニューにもモーツアルトが親戚と一緒に来たという記述がありました。

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中心部でも表通りから一歩はいると大変静かで気持ちの良いまちでした。

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