東海村文化センターでは,従前より「ワンコイン劇場」というのがあります。邦画・洋画の名作が500円で見られるという有り難い企画。ホールのキャパも約800と大きいので,これもシネコンには無い環境です。そんなわけで,15日の日曜日は「八甲田山」を観てきました。主演は先ごろ没した高倉健。上演時間168分。日本映画の傑作にして大作です。
日露戦争を想定した雪中行軍演習。実際の雪の八甲田を舞台にした映像はこれ以上ない写実性と迫力。約3時間のあいだスクリーンに釘付けになりました。
キャストは高倉健,北大路欣也,緒形拳,栗原小巻,秋吉久美子,大滝秀治,小林桂樹,丹波哲郎,三國連太郎など超重量級。
いやはや。いたく満足しました。こういう映画はいくら4Kだって,テレビじゃあダメです。大きなスクリーンで観てこその映画ですよ。
とゆー事で,今日も仕事が休みだったので,映画館へ行ってきました。
正直言って僕は,「アニメ?子どもが観るもんでしょ?」ぐらいにしか考えてなかったのですが,人の勧めもあって,生まれて初めて宮崎作品を観てきました。
ゼロ戦を設計した堀越二郎をモデルにしたこの作品。
ストーリはさて置いて,とにかく映像が綺麗なのには驚きました。
時にあまりに写実的で,「いや,すごいね。これ…」と思うことも…。
ドイツの軍用機の描き方は細部まで非常にリアルで,宮崎さんはホントに飛行機が好きなんだなーというのが良く分かりました。また,何度も出てくる山野の風景は遠近感がすごく良く出ていて驚き…。
とにかく,大きなスクリーンで映像を観ているだけでも,「これ,今日は来た甲斐があったなあ~」と思ってしまいました。
今さらですけど,2011年に観た番組の中からベスト作品をあげてみたいと思います。それは正確に言うと2009年にNHKのBS‐hiで放送されたもので,映画好きな僕に,職場の或る人が,「これ,観てみない?」と貸してくれたものです。
タイトルは「グレース・ケリーの素顔を探して」。
(斜体部は,NHKのアーカイブス保存個による紹介文を引用)
女優からモナコ公妃に転身したグレース・ケリー。52年の生涯を通して、その美しさは世界の人々を魅了した。写真や証言、最後の映画などをもとに、その生涯をたどる。
ハリウッド女優グレース・ケリーが、モナコ大公と結婚したのが1956年。その華麗なる転身に世界中が興奮した。女優時代はクールビューティと呼ばれる美しさで魅了し、公妃時代は大公と家族に尽くすつつましやかな女性としてたたえられた。だが、美しい笑顔の裏にどれほどの努力と苦悩があったのか、その素顔を知る人は少ない。生誕80年を迎えるのを機に、証言や写真、最後に出演した映画などを通して、その生涯をたどる。
グレース・ケリーといえば,ハリウッドの女優から一転モナコ王妃となったことで,非常に華やかなイメージがありますが,実はそれは一面的な見方=ステレオタイプなものでした。
むしろ彼女は,モナコの王室に入ったことで,或る意味で「カゴの中の鳥」となりました。
つまり,所与の環境の中で生きることが定めとなった訳です。
それはハリウッドの女優時代よりも,はるかに自由の無い生活であったことは想像に難くありません。
あるいは,時に失望や失意の中で苦しむこともあったようです。
しかし彼女は,自分の置かれた環境の中で,時に自分の役割とは何なのか?ということに苦悩しながらも,自らができることを誠実にやっていくのです。
王妃としての役割をきちんと果たし,夫と三人の子供を愛し,幸福な家庭を作りました。
いっぽうでは,恵まれない人たちのために,赤十字の運動など,社会活動にも力を入れたそうです。
女優として最後の作品となった映画のあるシーンでは,グレース自身が自らの全てのセリフに手を入れたそうです。
その中で,「失望(diappoint)さえ人生の糧」。
というセリフが出てきます。
この言葉にこそ,彼女が自ら紡ぎ出した人生観が表れているような気がして,僕は深く心を動かされました。
この作品を撮った監督は,
「彼女は,痛みの無い人生なんて価値の無い人生ということを言いたかったのだと思います」。
「彼女は人を許し,人を幸せにすることで,自分が痛みを受け入れたのです」。
と語っていました。
番組は,グレースと一緒に仕事をした関係者の証言や,貴重なプライベート映像なども織り込みながら進行します。
秀逸なのは,グレースの残した長男,つまり現在のモナコ大公であるアルベール2世が,グレースが愛した美しいバラ園の中で,その母の人柄を語る時間です。
終始静かで美しい音楽とともに,その時間は流れていきます。
控えめな人柄と見える大公も,「母は非常に我慢強く寛大で,優しい心にあふれた人でした」とおっしゃっていました。
本当に美しくて,温かいものが深く心に浸み入る番組でした。
グレースを撮り続けたカメラマンが残した,彼女の様々な表情を収めた写真も,素晴らしいものでした。
時間をおいて,是非また最初からじっくりと観直してみたいと思います。
内容はナチスのスパイの娘とFBI捜査官の恋物語を描いたサスペンス。「映画史上最も長いラブ・シーン」といわれたバルコニーでのキスシーンをはじめ,諜報と恋愛の見せ場がいっぱい。フィルムのプリントもきれいな仕上がり。
バーグマンの好きなところはその品のある端正な顔立ちと,きれいな英語の発音。彼女はスウェーデン生まれなのに,どうしてあんなにきれいな英語を話すのだろう?
週刊「女性自身」に長期にわたり連載された松本清張原作による恋愛サスペンス。政治ブローカーの夫を持つ妻・頼子と青年検事・小野木は,偶然の出会いから恋仲に。そんなある日,小野木は担当する汚職事件の鍵を握る男が頼子の夫だと知る
松本清張の小説は「社会派ミステリー」とも評されるが,この作品はそれに男女の激しい恋愛を織り交ぜたもの。夫(←これが悪徳)ある女性(有馬)とうら若き青年検事(津川)との恋仲を描いたという点ではよろめきドラマと言えなくもないが,映画を観るとその一言では片付けられない。
とにかく,撮影時28歳の有馬稲子が美しい。津川雅彦の出張の帰りを有馬が上野駅で待つというシーンがあるのだが,津川を出迎えたときの有馬の「おかえりなさい!」という笑顔。恋にときめく女性の嬉しさが表情から溢れ出ている。これが演技とすればすばらしい演技だ。その表情は本当に可愛らしく,そして素敵だ。僕はDVDを何度も巻き戻して見入ってしまった。
日本陸軍の諜報員養成機関「陸軍中野学校」をモチーフとした市川雷蔵主演のスパイ映画シリーズ5部作。現在はDVDで全て観れます。個人的には,第1作目が秀逸だと思います。「日本にもこんなすごい映画があったのか」。「諜報員の世界とはこんなにも非情なのか」という驚きとともに,息を飲みながら観た覚えがあります。
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