何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

悪妻の夫、良妻の夫

2015-12-13 22:08:45 | ひとりごと
「ドンネルの男 北里柴三郎」(山崎光夫)を読んでいた者としては、北里大学からノーベル賞受賞者が出たことも嬉しいが、「真面目・誠実・真摯の根っこ 夢」でも書いたように、大村氏の研究がワンコの寿命を延ばしてくれるものだったので、その喜びは倍増している。(参照、「祝ノーベル賞受賞 ブラボー北里研究所!」 「ドンネルのワンコも祝福」

<犬の長寿化に貢献=大村さんの薬、寄生虫駆除> 時事通信12月9日(水)4時59分配信より一部引用
過去35年間で、犬の平均寿命は大幅に延びた。
今年のノーベル医学生理学賞を受賞する北里大特別栄誉教授の大村智さん(80)は、その立役者の一人だ。大村さんが開発に貢献した薬「イベルメクチン」の登場で、犬の主な死因だった寄生虫「フィラリア」が大幅に減った。
フィラリアは蚊が媒介し、犬の心臓に巣くう寄生虫。幼虫段階で駆除するには、以前は毎日の投薬が必要だったが、1987年にイベルメクチンが発売され、月に1度で済むようになった。
東京都日野市で動物病院を営む須田沖夫獣医師は、~中略~これまでに診た千数百頭の犬が死んだ年齢と死因を調べている。統計を始めた80年は若いうちに死ぬ例が多く、平均で約4歳だった。その後徐々に延び、90年代後半に約14歳に達した。
長寿化の要因は、他の病気でワクチンが普及したことや栄養状態の改善、治療法の向上などさまざま。中でも死因の2割を占めていたフィラリアに有効な薬が登場し、今ではゼロに近くなった効果は大きいという。


我が家のワンコ、寄る年波には逆らえず、幼児帰りか昨夜も家族総出で丑三つコーラス大会の聴衆に・・・眠い。
が、二度童のぬくぬく生活を楽しめるのも、大村博士の研究のおかげである。
三月半ばになると、ワンコ病院から「今年もフィラリア予防の時期ですよ」と葉書が届き、血液検査を受けたうえで5月から11月まで月一錠のフィラリラ薬を欠かさず飲んできた、ワンコ。

ワンコの長寿は大村博士のおかげだが、大村博士の研究は奥方のおかげだという。

ノーベル賞級の研究など理解できる頭ではないので、関係者の方々には迷惑千万な話だとは承知しているが、やはり受賞者のお人柄やご家族の秘話などを嬉しく読ませて頂いている。
これは家人がワイドショーなどで仕入れた話。定時制高校の教師をしながら研究を続けていた若き大村青年との縁談が持ち上がった時、後に妻となられる文子さんの父は、経済的に厳しい生活になると考え大反対だったそうだが、文子さんは「この人(大村氏)はノーベル賞をとる人になる」と父を説得して結婚されたということだ。
この言葉を実現させるため、というわけではないだろうが、結婚後の文子さんが大村氏を支え続けたエピソードは数多くあるようだ。
(大村氏のよると)安月給のほとんどを研究と書籍の購入に費やしてしまうので生活はいつも苦しく、文子さんは裕福な実家を頼ることもあったそうだが、自らも学習塾や家庭教師をして家計を支え、大村氏が夜通しで実験をしているときはデータ計算を手伝ったりと研究のサポートまでされたそうだ。それどころか文子さんは、89年に開院した北里メディカルセンターの開設に一役も二役もかっておられるそうだ。
2015年12月5日21時05分配信の毎日新聞によると、こうだ。
『大村さんは82年ごろ、自身の開発で得た特許料を使って「病院過疎地」とも呼ばれた埼玉県の北本市に病院を建設しようと考えた。しかし、地元医師会は「患者が奪われる」と猛反対。話し合いもできず、暗礁に乗り上げかけた。
そのとき、文子さんが病院建設を訴える住民の署名活動を始めた。北本市の周辺市も含め、集まった署名は2万5000人以上。ついに地元医師会も折れ、病院建設を認めた。北里大メディカルセンターは89年3月に開院、現在は病床数372床、30科の診療科がある地域の中核病院だ。
建設準備からかかわってきた広瀬隆一病院長は「現在は、地元医師会とも極めて良好な連携関係にある」と話す。医師会による講演会や研究会、会議などにも病院の施設を利用するとともに、検査や診療でも地元のかかりつけ医と協力しながら地域住民の健康を守る拠点となっている。』

そして、何よりノーベル賞受賞研究のイベルメクチンは文子さんが大村氏を拉致した結果だというから驚きである。
12月11日(金)10時31分配信の女性自身によると『 引用開始~ 「そういえば、一度、女房に“拉致”されて精神科に連れて いかれたことがありました。ちょうど30代半ばで、北里大学で助教授に昇格したころ。それまで一心不乱に研究をしていましたが、行き詰まっていたんですね。めまいがして、何も手に付かない毎日が続いていたんです。精神科の先生からは『仕事のやりすぎだから、パチンコかゴルフをしなさい』と言われ、ゴルフを始めたんです」 医師の助言が、静岡県の川奈ゴルフ場の近くの土壌で微生物を見つけることにつながる。そして、この発見がアフリカなどの熱帯地方で猛威を振るった「河川盲目症」の特効薬「イベルメクチン」開発のきっかけに。文子さんの“拉致”がなければ、今回の受賞もなかったかもしれない--。
URL http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151211-00010004-jisin-soci

奥方の数々の支えがあってのノーベル賞受賞
<大村智さん亡き妻の写真胸に授賞式へ> 毎日新聞2015年12月5日21時05分より一部引用
ノーベル医学生理学賞を受賞する大村智・北里大特別栄誉教授(80)が5日午前(日本時間5日午後)、授賞式が開かれるストックホルムに到着した。10日の授賞式に、大村さんは2000年に亡くなった妻文子(ふみこ)さんの写真を胸のポケットに入れて出席する。研究に没頭する大村さんを支え続けた文子さんに「感謝の気持ちを伝えたい」との思いからだ。


「真面目・誠実・真摯の根っこは 夢」でソクラテスについて触れた。そのソクラテスは、「悪妻をもつと夫は優れた哲学者になれる」と言っているが、良妻を娶らば科学者が誕生するのか、そのあたりで思い出した本については、つづく

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