能力を磨く

AI（人工知能）革命の進展は、AI失業をもたらすという。

今まで、高度な記憶力や計算能力がある高い学歴の人材が優秀とされてきたが、
これらの能力はコンピュータに置き換えることができる。

知識を例にとれば、
スマホを持っている一般人と、知識が豊富な生身の人間が、
その知識自体を競っても、
スマホでウィキペディなどから得られる膨大な情報に、
いくら知識が豊富な人でも勝てない。

さらにAIでは高度な計算やシミュレーションにより、
膨大な選択肢のなかから最適な解答を導き出すことができる。

それは囲碁や将棋で最高位の人が、
悲しいかな、
もはやAIに勝てないことでも証明されている。

結果、今まで人間がやっていた多くの仕事が、
AIによって無くなると言われている。

この本では、そのような現実を踏まえ

われわれはどのように対処すればよいのか？
どのような能力を磨く必要があるのか？
AIが進展しても、人間にしかできないことは何なのか？

を、丁寧に分析し解説している。


特に心に残ったのは・・「共感力」

共感力を磨く、という意味は、

どうすれば人に共感してもらえるかを追求することではない。

まず、自分が相手に深く共感する力をつけることだ。

そしてこの共感力を磨くためには、いくら本を読んでもだめで、

仕事や人生において与えられる色々な苦労を、いとうことなく受け入れ、

その苦労から体験的に学んだことを積み重ねていく・・

それではじめて、人に共感できる人間になるのだ。


若いころの苦労は買ってでもせよ！・・という言葉がある。

私も歳を重ねてきて、やっとその意味がわかるようになってきた。

このように考えると、人生における苦労も、少しは前向きに捉えられる気がする。

	能力を磨く AI時代に活躍する人材「3つの能力」
	田坂 広志
	日本実業出版社