田舎主婦の日日是好日

今日も生きてることに感謝かな。

新年の読書 葉室麟『孤篷のひと』

2021年01月05日 | 趣味・本

年末年始にお泊り客が居なかったなんて、

我が家では初めてのこと。

 

二日より葉室麟さんの『弧篷のひと』を読みました。

茶人・建築・造園家の小堀遠州の物語なのですが、

(こほう)の(ホウ)の文字は、

草冠の(ヨモギ・ホウ)ではなく、

竹冠の(トマ・ホウ)という文字なのですね

よ~く見たら竹冠のトマだったんです。

 

篷(トマ・ホウ)とは、

菅(スゲ)や茅(カヤ)を菰(コモ)のように編み、

和舟の上部などに用いるのだとか。

 

そして遠州の号である「孤篷」とは、

旅人の意味もあるようですね。

 

下記青文字は遠州の永訣の言葉。

 

わたしは、

川を進む1艘の篷舟(とまぶね)であったと思う。

さほど目立ちもせず、

きらびやかでもないが、

慎み深いさまはわたしの性にあっていた。

されど、

孤舟(こしゅう)ではなかったぞ。

(中略)

ひとはひとりでは生きられぬ。

 

遠州は茶人だけではなく作事奉行もやっていたこともあり、

登場人物は、

そうそうたるメンバーなのです。

 

利休、織部など茶道の師、

後陽成天皇、後水尾天皇、信長、秀吉、家康、秀忠、家光、伊達政宗・・・

将軍足利義輝、石田三成、上杉謙信、沢庵和尚、本阿弥光悦・・・

天草四郎、スペイン人の宣教師、聖書の中のカインとアベル・・・

明智光秀の娘(ガラシャ夫人)や徳川秀忠の娘(東福門院和子)・・・

そして家光の乳母(春日局)や織部の娘(琴)、

桂離宮を作られた後陽成天皇の弟君である八条宮などと。

 

回想シーンとして静かに語られるのですが、

何が正しい生き方なのか、

考えさせられます。

 

当時のお茶というものは文化でもあったのでしょうが、

政にも使われたのですしね。

 

独眼竜正宗が、

遠州に茶の手ほどきを受けるところなど面白いのです。

正宗は「退屈だな」というのですもの。

でも、

その退屈の意味合いが深いものなのです。

 

沢庵和尚が徳川の天敵である、

石田三成を葬った理由を語るところも味わいがありました。

 

石田様は心中に欲を買わず、

何もない無であった。

 

忠義の果てに、

おのれが何ものも失うであろうことを、

覚悟しておられた。

 

褒めそやされることを求めず、

ただひたすらおのれのなすべきことをされた。

それゆえ、

わたしは葬ったのだ。

 

われら禅僧も及ばぬ境地だとおもったゆえな。

 

この本は、

茶を介しての壮大な歴史小説ですね。

 

ブロ友loveさんのご紹介ですが、

ドジな私は以前買った本に、

『孤篷のひと』の紹介があったのに忘れていたのです。

おかげに、

こちらも再読できました。

 

loveさんありがとうございました。

 

まだまだ沢山の本が待ってます。

追々紹介いたしましょう。

 

TV&読書

いい三が日でした。

 

 

 

コメント (24)
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