松本清張さんの本って何十年ぶりではないだろうか。
と言っても、
読んだのは『砂の器』1冊だけですけれど、
ブロ友さんのご紹介で読んでみることに。
最初から物語に引き込まれました。
小説って、
こういうふうに書いていくのかと思ったくらいです。
小説を書きたいなんて思ったことは、
一度として無いのですが、
話の組み立て方が良いせいか、
ぐんぐん引き込まれました。
月辰会という新興宗教団体に出入りした、
宮中女官の話から始まるのですが、
満州国のことなども同時に描かれてます。
(満州国は1932年から1945年の間、満州に存在した国家)
古事記や卑弥呼まで登場し、
卜占、霊媒、御神籤の「神言」に、
大麻だ青麻だ阿片だのと、
何だか、
怪しげなニオイの中に引っ張られたかと思うと、
男女の睦ごとにまで遭遇で、
読者を飽きさせない展開なのです。
ですが、
この本は、
松本清張さん最後の作品で未完とあります。
(清張さんは1992年没)
上下巻の中だけで4人殺されてますが、
最終章部分は、
読者が推理していかなくてはなりません。
たぶんですが、
教祖の実質的妻の斎王(台)は、
斎女である実の娘に嫉妬して殺してしまうのでは?
内偵のために入った若い神主も、
新興宗教の教祖(平田)にとっては邪魔者となり、
消されてしまうのでは?
過度の野望や、
極端な嫉妬は恐ろしいものですね。
なお未完とはいえ、
清張さんは、
編集者に最終部分は語っていたようです。
御所で大暴れして、
皇宮警察に取り押さえられる。
やがて来る平田の死。
月辰会は壊滅へと向かう。
ところで、
この本の中にもある「不敬罪」というのは、
明治13年に規定されたようですが、
昔だったら、
こんな小説を書いたならば、
清張さんご自身が危なかったんではないでしょうか。
(*^^*)
不敬罪(ふけいざい)は、
国王や皇帝などの君主・王族・皇族の一族と宗教・聖地・墳墓などに対し、
名誉や尊厳を害するなど、
不敬とされる行為の実行により成立する犯罪。
日本国内においては、
1947年(昭和22年)の刑法改正により、
天皇・皇后および皇族に対する不敬罪は廃止された。
社会派推理小説を書かれた、
清張さんの本。
堪能しました。