田舎主婦の日日是好日

今日も生きてることに感謝かな。

葉室麟『山月庵茶会記』本

2021年01月16日 | 趣味・本

葉室さんの黒島藩シリーズ三部作の一つ。

既に『陽炎の門』と『紫匂う』は読了済みなので、

この『山月庵茶会記』も読み始めた。

先日の小堀遠州の物語は、

戦国時代から徳川三代目の家光までの時代であったが、

この本は八代将軍吉宗あたりである。

 

自刃した妻を失い茶人になった、

主人公の心の葛藤や、

成長に焦点を当てている物語。

何だかミステリーのような作品でもある。

 

妻の死因に拘り過ぎて、

少しくどい感じもした小説だが、

心に響く箇所もたくさんあった。

 

千利休さまが茶をたてられたころは戦国の世であった。

今日、

茶を差し上げた客が明日には命を失い、

家が亡びておるかもしれぬ。

たったいま、

茶を飲むひとも明日は飲めないかもしれぬのだ。

 

利休さまにしても、

太閤の怒りにふれて、

明日の茶を点てることはかなわなかった。

中略

それでもわたしは茶を点てる。

なぜなら、

茶を点てる心は、

相手に生きていてほしいと願う心だからだ。

 

今日の茶を飲み、

明日の茶も飲んでほしい、

と思えばこそ、

懸命に茶を点てる。

 

そして、

茶を点てるおのれ自身も生きていようと思う。

 

新型コロナウィルスは、

まだ猛威をふるっているけれど、

温かな一服のお茶を飲めることに感謝して、

生きていきたい。

 

土日コメント欄閉じてます。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする