その曲を初めて聴いたのは13歳のときだった。
脳天に雷が落ちた衝撃とはまさにこのこと。
イントロなしでヴォーカルから始まることは45年前には考えられないこと。
ジョンのリッケンバッカーのリズムギターが印象的。
あまりにも有名な曲なのにシングルのB面なんだ。
ビートルズって本当にいい曲を作るんだなと思った。
そう、45年前の話だ。凄く凄く昔の話だ。
恋をするのはいいんだぜ。胸がときめいて毎日手紙を書いちゃうのさ。
子供の俺はドキドキした。大人は恋をするんだね!と思った。
3年前、ポールが来日してドームに行った。
ちょうど大西でウエーブの後、ばたばたと道具を片付け電車に乗った。
確か2曲目か3曲目に「Close your eyes」といきなりポールが歌いだした。
観客の絶叫と多くの大人たちが顔をくしゃくしゃにしていた。
13歳のときに聴いた曲は30年近くたったそのときも俺の脳天に雷を落とした。
30年の月日が走馬灯のように頭を駆け巡った。
俺は俺なりの歴史を持っていたのだ。
この曲は携帯電話の彼女からのメール着うたなんかになっちゃったりした。
恋は新鮮なものなんだ。この曲の新鮮さのように。
大人になったらその恋の新鮮さにうぬぼれたりうつつを抜かしてはいけない。
早いところ信頼関係に育てていかなくちゃいけない。そう思った。
ところがこの曲が永遠に続く間柄もあることを知った。本当だ。
そしてそれがとても稀であることも知った。
別にそれが真実か幻かはどうでもいいことだとも悟った。
とにかく、恋は「してるときだけ」いいんだぜ!とポールがこっそり教えてくれた。
ここだけの話だけどね、とついでに言っていた。