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宝塚 雪組公演 「JIN―仁―」・「GOLD SPARK」を観て

2012年11月02日 | 宝塚

11月2日(金)午後1時からの雪組公演「JIN―仁―」・「GOLD SPARK―この一瞬を永遠に―」を観てきました。
いつもは土日の11時公演を観劇しますが、今回チケット入手のタイミングが遅れて金曜日の観劇となりました。その分帰宅が遅くなりますが、ゆっくり昼食をとってから観劇できるのでこれもいいかなと思いました。
席は14列の下手寄り。最近ではかなりいい席でした。


まず「JIN-仁-」ですが、タイムスリップものですね。

話は、私たちのように原作もドラマも見ていなくても、展開は早いものの、よく知られた史実を舞台に、登場する人物像もよく特徴が掴まれていたので(類型的とも言えますが)(笑)、普通についていけました。
登場人物が多いので、役もたくさんあったのもよかったです。
ただ詰め込むだけ詰め込んだ脚本なので、各場面の掘り下げが足りず、説明不足な印象も目立ちました。長編の原作なので一本ものでも難しいのに、ショーとの二本立てになって時間の制約から各所に描写不足が出てきたのは仕方ないですね。

プログラムから↓

今回の観劇でトップ音月桂の力量、改めて思い知らされました。
まったく力まず素のままで見事に「南方仁」を演じ切っていました。詰め込みすぎの脚本でも、突然過去に放り出された戸惑いや不安、苦悩を抱えて生きる主人公を等身大に演じていました。
そして、その時代に蔓延していた虎狼痢(コレラ)対策に着手、さらにペニシリンの製造に手を染めて、歴史を変えれば元の世界に戻れなくなるのを知りながら、目の前の人々を救う道に踏み出す苦悩の決断がちゃんと表現されていました。
歌はさすがにうまいです。さわやかな風貌とは裏腹なスケールの大きい歌にいつも驚かされます。今回は歌ウマ同期トリオでさらにその魅力が倍増されていました。
ナチュラルなのに確かな演技力と、スケールの大きい歌唱力を兼ね備えた、こんなトップがもういなくなるかと思うと、本当にもったいないです。

ちなみに虎狼痢対策の場面で劇中出演者が客席に飛ばす紙飛行機は、虎狼痢対策のチラシになっているようで、裏にはサインまで書かれている?、なんとも凝ったものでした。

今回の公演のもう一つの楽しみは初の専科出演の北翔海莉。私たち夫婦の贔屓生徒がどんな風に演じているのか興味津々でした。
勝海舟役で、ベランメエ口調でよく知られた豪放磊落な人物を演じていましたが、ちょっとやりすぎ感があり気になりました。絵にかいたような「豪放磊落」ぶりが前に出すぎで、見ていてちょっと恥ずかしいところも。でも彼女は現雪組での居心地は良さそうで、しっくりなじんでいましたね。いつも思うのですが、彼女、舞台化粧をもう少し何とかできないものでしょうか。容貌が損なわれている感じがいつもします。

同期の未涼亜希は、今回は歴史の流れに逆行して生きなければならない自身の立場に苦悩する橘恭太郎役を真面目に演じていました。
対立する敵方の言い分がわかるだけに、余計上司の命令が不条理に思えて悩む複雑な役どころをよく演じていました。不器用な実直な人物がよく伝わってきました。
今回の芝居はこの三人で成り立っていると思いました。

あと主なところでは、橘咲と結命の二役を演じる舞羽美海がよかったです。一途に「神の手」を持つ仁を慕う咲がかわいらしく、ひたむきさがよく伝わりましたが、原作がそうなのか、脚本が窮屈すぎるせいか、芝居では二人の恋愛感情が十分描写されていないのが残念ですね。せっかくのサヨナラ公演なのに最後の場面は少しあっさりしすぎで、橘咲と結命、仁の関係もよくわからず???でした。

あと坂本竜馬役の早霧せいな。頑張っていましたが、初めは軽いだけのキャラクターになっていて損をしています。もうすこし竜馬の歴史的な役割が描かれていたらよかったのにと残念でした。あと歌ももう少し伸びてほしいところです。
それとこの人、沙央くらま夢乃聖夏と同期で、以前同じくスカステでレポーター?役を務めていたのでよく覚えていますが、そのころに比べて少しやつれ気味に見えたのが気になります。いずれはトップになるのでしょうが、今からスリムになっていたら体が持つのか、全く余計なお世話ですが、心配です。

目を引いたのがお駒を演じた大湖せしる。美人ですね。スリ役が板についています。(笑)
着物姿も目立っていてインパクトがありました。ただ、いつの間に悔い改めたのか、千吉(夢乃聖夏)と一緒になる結末はちょっと説明がほしかったところです。私はいつギャフンといわされて真人間になるのか期待していたので。(笑)

北翔海莉以外の専科出演は緒方洪庵役の飛鳥裕と、新門辰五郎の夏美ようで、いずれもよくキャラクターが役にあっていて好演していました。こういう脇の巧者のおかげで、話に厚みが出ますね。

背が高くそれだけで目立ったのが、野風と結婚するジャン・ルロン役の鳳翔大。名前の通り頭抜けて大きく、フランス人がピッタリはまっていました。
そうそう、その野風役の愛加あゆも、今回は花魁役を堂々と演じていて、貫録さえ感じました。ちょっと見直しましたね。

芝居のほうが終わってショーまでの休憩の間にプログラムを買いました。ブログに書くために最近はまた毎公演買っているので、ヨメさんはあきれています。
プログラム表紙です↓


この休憩のときに、芝居があまりにも盛りだくさんだったので、「あれまだショーがあったのか」と思ったりしたほどでした。


ショーはストーリー性のある構成でしたが、とにかく時間の制約があって物足りない印象でした。
初めのほうに客席降りがあり、うまく通路に近かったヨメさんは喜んで生徒に手を振っていました。
ショーでも気を吐いたのが音月と未涼、北翔の歌。短くても耳福なので良しとします。
「オルフェとユリディス」の場面での3人が秀逸。歌ウマがそろい踏みで、最近になく感動しました。ただ、そのために歌が舞羽とか早霧になると少し差が目立って気の毒でした。まあ美形なので、それも許容範囲としましょう。
あとはお約束の大階段を使った黒燕尾と、最後の音月&舞羽のデュエットダンスが見ごたえがありました。デュエットダンスはオーソドックスでただただ綺麗でした。
今回はリフトも頑張っていましたね~。少しはらはらしましたが。(笑)

プログラムから↓


それと、今回の主題歌が両方とも耳に残るいい曲でした。

何度も言いましたが、今回の公演、サヨナラ公演としてはちょっと退団するトップ二人には気の毒な感じがしました。無理やり縮められた芝居と、そのあおりで短くなったショーでは、二人のトップとして歩んできた魅力が生かし切れないと思いました。
結局、見終わって帰る車の中で私たちが達した結論は、前作『ドン・カルロス』と『Shining Rhythm!』をサヨナラ公演にし、今回の作品はショーなしの一本ものでその前に上演したら良かったというものでした。

でもこれが最後の公演です。ぜひ未見の方はお急ぎください。




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