世田谷区「特攻平和観音法要」に初めての参加

　

　海軍特攻兵器「回天」の搭乗員だった田中さんの自分史をお手伝いしているときに、世田谷区下馬四丁目「世田谷観音」境内にある「特攻観音堂」の存在を知った。
　お彼岸中日の昨日、午後2時から第64回年次法要が執り行われるので出かけた。午後1時に自宅を出たが、千歳船橋駅と三軒茶屋駅でのバス乗換えに時間がかかったので、境内では法要が始まっていた。裏門の階段を登り、「靖国鳥居」をくぐり、境内に5～6枚張られていた「特攻観音奉賛会」のテントの脇を通って山門に出た。山門には都内で最古の仁王像があるのに、本堂は小さく、屋根瓦も新しい。空襲で本堂が焼失し、山門が焼け残ったのかと思っていたが、帰宅してから寺のホームページを見たら「昭和26年に睦賢和尚が独力で建立し、同年5月、金竜山浅草寺に請い、開眼の法を修したものです。」との沿革だった。
　お堂の前からスピーカーで読経と挨拶が聞こえてきた。保阪展人世田谷区長の挨拶は内容が良く聞き取れなかったが、19日に世田谷区民会館で開かれた「戦後70年　音楽は自由をめざす」で、司会の津田大介さんと対話した「戦争法」についての舞台挨拶とは落差があまりにも大きかった。詩吟の吟詠、トランペット吹奏、そして「空の神兵」「若鷲の歌」「海ゆかば」の全員合唱が続いた。「旧小田原代官屋敷」で待機していた「甲飛喇叭隊第十一分隊」が境内を行進し、お堂の前で「軍隊ラッパ」を奉納した。靖国神社境内の隅っこで「軍隊ラッパ」を練習していたのは彼らだったのかもしれない。特攻隊ご遺族、来賓からご焼香が始まったが、最後尾について管理人もご焼香をさせて頂いた。最後に「夢違観音」に向かって尊師読経と駒繋神社宮司祝詞があってから終了となった。前日本会議議長三好達氏の献杯の発声によって各テント内で直会が開かれた。管理人は「来賓席案内看板」や境内の写真をデジカメで撮り始めた。「偕行　世田谷」の旗があったので帰宅してから旧陸軍将校と幹部陸上自衛官の親睦団体「偕行社」のサイトで見たところ、各道府県に地方組織があるが、東京都は世田谷区にしかないことが分かった。東條英機の自宅は用賀二丁目にあったが、陸軍大佐だった金沢市の叔父も用賀に住んだことがあると親戚が言っていたが、高級軍人が多く住んでいたことが覗える。来賓席に最後の連合艦隊司令長官小沢治三郎娘と孫の名前があったことから、キッと世田谷区内に自宅があったのだろう。尚、慶応大学日吉キャンパスの地下壕は連合艦隊司令部跡である。

　この観音堂には特攻隊員6418名が祀られているが、靖国神社と違って戦争犯罪人は祀られてはいないので、参拝をして「戦争と平和」について思考する機会になることを願っている。但し、観音堂建立経緯や同奉賛会の趣旨に見られる“特攻を美化”し、アジア太平洋戦争を大東亜戦争と書いてある碑文等には歴史認識について大きな違和感がある。「世田谷区平和都市宣言」と「平和資料館建設の趣旨」から見ても相容れないと考える。よって、区長が参列することは「先例」になっているのかも知れないが、「平和区長」としての保阪氏が参列することには賛成出来ない。

保坂区長は三好氏とどんな会話をしたのか。


各特攻隊ご遺族と知覧町で「富屋食堂」を営み、“特攻の母”と呼ばれた鳥濱トメさんの関係者も参列。







靖国神社遊就館の複製








お堂の扉に十六弁の「菊の紋章」がある。建立時に宮内庁と何らかの折衝があったと考えられる。






さざれ石は靖国神社に二ヶ所、千鳥ヶ淵戦没者墓苑の他、全国に数ヶ所存在する








神仏習合のお姿は初めて拝見した。境内には靖国鳥居も、中国の獅子（狛犬）もある。






甲飛喇叭隊第十一分隊長の海軍肩章は星三つなので大尉だろう




前日本会議議長三好達氏


靖国神社境内「戦没者追悼中央国民集会」で挨拶をする日本会議議長三好達氏（2009年8月15日撮影管理人）


9月19日世田谷区民会館で開かれた「戦後70年　音楽は自由をめざす」


司会の津田大介さんと宍戸留美さん


会場から舞台に上がり戦争法や平和について熱く語る保阪展人区長


（了）