新宿戦跡見学会の感想文が寄せられましたので転載します。(管理人)
3月8日、練馬区協議会社保委員会主催の新宿区戦争遺跡見学会に参加した。講師は新宿平和委員会会長の長谷川順一さん。都立戸山公園や東京女子医大の一帯が尾張徳川家の屋敷跡であり、明治になって陸軍の用地になったことを今回初めて知った。
悪名高い731部隊の石井中将の自宅跡を見て国立国際医療センターへ。ここは陸軍第一病院や陸軍軍医学校の跡地で、校長だった森鴎外が使った机が展示してあったが、第5福竜丸の久保山愛吉さんが亡くなった場所でもあった。
この付近には731部隊との関係が指摘される陸軍防疫研究室もあったが、そこの教官だった内藤良一氏が中心になって設立された「日本ブラッドバンク」が薬害エイズを引き起こした「ミドリ十字」の前身だと聞くと何か因縁めいた感じがする。又、そこでは「凍傷」の研究も行われ、それが南極探検に一役買ったとのことで、科学は「両刃の剣」だとの思いを強くした。
また、国立感染症研究所には合同庁舎建設工事の際発見された100体以上の人骨が保管されておりその慰霊碑があった。731部隊の拠点の近くであり関連性について疑念はあったが、明らかにはならなかったそうだ。
最後に西武鉄道の「30遊名山」の一つになっている戸山公園の「箱根山」に登った。その頂上近くにある戸山教会の基礎の石垣は陸軍戸山学校の将校集会所の外壁だった。陸軍大臣東条英機も訪れていたとのことで機密の会議にも使われた可能性もあるようだ。
都心で、住宅と病院が集中している地域にこんな遺跡があるとは驚きだった。東京が日本陸軍の中心だったことを再認識し、この歴史は繰り返してはならないと思った。
(東京保健生協 練馬南支部 玉林定治郎)