「集団的自衛権、4月にも素案 行使容認へ安倍政権 」朝日デジタル
「安倍政権は、憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認する新たな政府見解の素案を4月にもまとめる方針を固めた。自民、公明両与党に示し、行使容認の範囲などを協議する。政権は与党の理解を得たうえで通常国会中に閣議決定や安倍晋三首相の答弁などで行使容認を打ち出すことをめざす。行使容認を受けた関連法改正は秋の臨時国会以降に着手する考えだ。」
『自民方針案「靖国参拝受け継ぐ」明記 「平和国家」削除』 朝日デジタル
自民党は8日、2014年の党運動方針案を決めた。「靖国神社への参拝を受け継ぐ」と明記し、党の憲法改正草案を説明する対話集会を開いて改憲の機運を高めることを狙うなど、保守色の強い内容となった。19日の党大会で正式決定する。
靖国参拝について、当初案では「不戦の誓いと平和国家の理念を貫くことを決意し、靖国神社の参拝を受け継ぐ」と例年通りの記述だった。だが、7日の総務会で「靖国神社は不戦の誓いや国家の平和を祈るところではない」などの異論が出た。一方で「自衛隊員にもしものことがあった場合、靖国神社に奉る覚悟を示すべきだ」と表現を強めるよう求める声も出たため、総務会での了承は見送り、石破茂幹事長に一任された。
最終的に「不戦の誓い」と「平和国家」の文言を削除し、「日本の歴史、伝統、文化を尊重し、靖国神社への参拝を受け継ぎ、国の礎となられた方々に対する尊崇の念を高め、感謝の誠を捧げ、恒久平和への決意を新たにする」との文言に落ち着いた。
憲法改正については、「党是である憲法改正の実現に向けて、党全体として積極的に取り組む」と踏み込んだ内容にした。
年明け早々、この二つの報道から見えてくることは、安倍政権と自民党は、本格的にこの国を戦争が出来る国に変えようと進み始めたことである。昨年の特定秘密保護法は第一弾で、靖国神社参拝は第二弾であった。
一方、国民の反撃第一弾は、名護市長選挙であり、東京都知事選挙が第二弾であろう。
靖国神社ガイドの立場から、自民党運動方針案を考えてみたい。確かに、靖国神社は「不戦の誓い」をするには相応しい場所ではないと管理人も同じ意見となる。『自衛隊員にもしものことがあった場合、靖国神社に奉る覚悟を示すべきだ」と表現を強めるよう求める声も出た』と言うことだが、正にその通りである。
イラク戦争の時「非戦闘地域」である、「サマーワ」に陸上自衛隊が派遣されたが、ミサイルが撃ち込まれるなど現地では緊張が走った。南スーダンでは370丁の小銃をもった自衛隊員がいるので死亡事故は避けられない。当時の隊長がひげの佐藤正久三等陸佐で、現在は自民党参議院議員である。もしも自衛隊員が銃弾で死亡した場合、「戦死」ではなく「公務死」として陸上自衛隊市ヶ谷基地東端高台にある「自衛隊殉職者慰霊碑」に名前が刻まれるが、慰霊が出来るのは自衛隊関係者と市ヶ谷台ツアーの見学者のみで、一般国民は慰霊に訪れることは不可である。そこで政府内部では、密かに靖国神社への合祀が検討されたそうである。
靖国神社の遊就館展示室9「招魂齊庭」に展示されている「御羽車」の説明文に「靖国神社への合祀に当たっては、天皇陛下のお手許に必ず戦没者合祀名簿が天覧に供された。・・・・戦没者合祀は今に到るまで必ず天皇陛下の叡慮を受けているのである」と。(傍線は筆者)
靖国神社では、死亡年月日が明らかになった場合や、病死の原因が調査の結果「戦病死・戦傷死」だった場合などの事由で、毎年何人かの合祀が例大祭で行われている。その場合も合祀名簿は、皇居に運ばれ「天皇の裁可」が密かに行われているのだろうと、管理人は想像しているが・・・・。「自衛隊員にもしものことがあった場合、靖国神社に奉る」ような事態が、万一起きたとき、宮内庁はどのように対処するのだろうか。昭和天皇と今上天皇は「国論が二分されているA級戦犯合祀」がなされた靖国神社に参拝をしていないが、合祀名簿への裁可は、宮内庁も口出しが出来ない「宮中祭祀」の一環として行われるのではないかと、これも想像しているところである。
これまでは、憲法九条によって自衛隊員は一人も「戦死」をしなかったが、憲法を改正することなく、憲法解釈によって集団的自衛権を行使し、「戦死者」のでる新しい戦争を可能にしようとしている安倍政権を「打倒する」スローガンを掲げなければならない2014年である。