ZYX のヘッドシェル Live18 - S(シルバー)が思いもよらず手に入ったので、ライラ: タイタンを装着したところ、実に美しい! なかなかお似合いのカップルではなかろうか? 見た目同様、音的にも相性は良いようで、タイタンの解像度がワンランク上がった気がする。
今週中はゆっくり聴く時間がないが、週明けに聴くのが楽しみにしよう。エージングが進むとさらに違う表情を見せてくれるに違いない。
「英雄の生涯」の感動の余韻の消えないティーレマン&SKDを横目に見ながら聴きに出掛けた王子ホールに於けるミケランジェロ弦楽四重奏団のベートーヴェン・チクルス初日。
全6回のうちの前半は、今月24日、26日、28日の3公演で、残りの3公演は来年となる。
前評判はよく、既に今期のチケットは完売状態で、入手するには大きな努力を要したものである。否、コネなどはなく、「チケット譲ります」のサイトを日夜チェックしつづけてようやく手に入れた次第。
終演後、その満員の聴衆からは大きな喝采が起こっていたが、天邪鬼であるわたしの心は醒めていた。どうにも自分の趣味には適わない演奏だったからだ。
理由はひとつ。
ヴィオラ奏者今井信子の域に、ヴァイオリンの二人が全く達していないことによる。
第1ヴァイオリンのマルティンは、いつでも雄弁に歌いすぎたり、ヴィブラートをかけ過ぎたりして浮いている。目の前の楽譜は立派に音にしているけれど、作品の精神に肉薄していない。一方、最も若手である第2ヴァイオリンのアウストリッヒは音量も乏しい上、音楽的にも浅すぎる。もっとも残念だったのは、神の庭で遊ぶように神聖にして軽妙であるべき16番が一般的な地上の音楽となっていたことだろう。
休憩時間のロビーで、中野雄さんにそんな感想を語ったところ、
「そうですか? 僕には期待していた以上に良かったですよ。福島さん、カペーやブッシュを聴くような耳で聴いてはいけません。現代にそんなものはもうないんだから」
と窘められてしまった(笑)。わたしは、「いや、ある筈だ」と信じているのだけれど・・・。
さて、休憩後の「ラズモフスキー第1番」は、作風のせいか、演奏がこなれていたせいか、前半ほどの違和感は覚えなかったが、わたしの胸には「ああ、このチケットを無駄にしてでも、サントリーホールに行くべきだった」との悔恨は消えなかったのである。結果論なので、どうしようもないのだけれど・・・。
ミケランジェロ弦楽四重奏団
ミハエラ・マルティン(第1ヴァイオリン)
ダニエル・アウストリッヒ(第2ヴァイオリン)
今井信子(ヴィオラ)
フランス・ヘルメルソン(チェロ)
ベートーヴェン全曲演奏会(全6回)Vol.1~3
<Vol.1>2/24
弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 Op.18-4
弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 Op.135
弦楽四重奏曲 第7番 へ長調 Op.59-1 「ラズモフスキー第1番」
<Vol.2>2/26
弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 Op.18-3
弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 Op.132
弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 Op.59-2 「ラズモフスキー第2番」
<Vol.3>2/28
弦楽四重奏曲 第11番 へ短調 Op.95 「セリオーソ」
弦楽四重奏曲 第1番 ヘ長調 Op.18-1
弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.13
会場:王子ホール