留守中に溜まりに溜まった野暮用を片付けなければならないというのに、まずはレコード観賞からとのこと(なんという意志薄弱!)で、件のベルリンのレコード店Robert Hartwigで入手したものから、カール・ベーム指揮シュターツカペレ・ドレスデンによる「フィデリオ」(1969年)を聴いている。選んだカートリッジは先代光悦メノウだ。
この録音は勿論グラモフォンのレコードやCDでは聴いたことがあったけど、エテルナ盤だとまるで別の音楽に聴こえる。
今までは、どこか乾いた響に乏しい音だと感じていたのだが・・・。
これぞSKDという、なんと深い音色にライヴのように活き活きとした息遣い! これぞエテルナ・マジック!!
レコード蒐集家垂涎の旧東独エテルナの黒レーベル、しかも、未開封盤。 まるで缶詰めを開けたように47年前の音が最新録音のように目の前で鳴っている、という歓びこそは何ものにも代え難い。
ライプツィヒでしこたまレコードを買っていたなら、ベルリンのお店を訪れることもなかったかも知れず、これもまた天のお導きと呼べるだろう。
因みに、この稀少な未開封盤も市場価格からみると破格の安値にてお譲り頂いた(具体的な金額は内緒)。
「ディーラーには適正な価格で売るけれど、君はアーティストだから特別だ」とのこと。
まこと、聖トーマス教会で指揮したということが、このバッハ好きの店主には水戸黄門の印籠のような絶大な効果を与えたようである。ありがたいことだ。
ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』全曲
ギネス・ジョーンズ(S)、ジェイムズ・キング(T)、エディット・マティス(S)、テオ・アダム(Bs)、マルッティ・タルヴェラ(Bs)、ペーター・シュライヤー(T)、フランツ・クラス(Bs)
カール・ベーム(指揮) ドレスデン国立歌劇場管弦楽団&合唱団