goo blog サービス終了のお知らせ 

明鏡   

鏡のごとく

「夜間外来」

2016-10-31 22:23:05 | 詩小説


熱が赤みを帯びてくるたびに
皮膚を這いずり回るミミズ腫れの発疹が
夜にむくりと起き出した
乾いてくるたびに赤いミミズが爆発的な広がりを見せたので
耐えきれず夜間外来に行く
ここに来ているものは
熱のあるものと乾いているもの
咳を拗らせているもの
骨にかろうじて刺さっているような点滴の終わるのを待っているもの
終わったら言ってくださいと立ち去るもの
先生のいるであろう4番の扉から呼ばれるのをじっと待っているもの
ジェラルミンのカバンを持って柱の陰で待機しているもの
車椅子に乗ってうろつきまわるもの
布に包まれた柔らかい熱体
聴診器を忘れた体内音度
触らずに薬を出すもの 
ジェネリックしかないというもの
機械で精算するもの
駐車券を折らないように骨を折るもの
24時間営業のドラックストアで調合されたもの