週刊少年ジャンプ2015年36号掲載。
掲載順第4位
第129話 【獅子と獅子】
創真が逆転の一品として創り出したのは、大きな肉玉が乗った麻婆麺!
まずは創真が勧める通り、肉玉を崩さずに富田は食べてみることに。
その味は富田もよく知っている、昔から変わらぬ「ゆきひら」の味。
その安定感ある美味しさにしみじみと舌鼓を打ちます。
ですが、向かい側の中華研の圧倒的な店構えや料理を目にし、畏怖する富田。
こんな完全無欠の相手には敵わないのでは・・・と。
ですが創真は異を唱えます。
お客全員を100%満足させるのはその道十年のプロでさえ大変だというのに、果たして久我の店はそれを満たしているのだろうかと。
そんな創真の言葉を受け、改めて久我の店を見直す富田と恵。
久我の店の前に並ぶ長蛇の列。
その中には、ずっと立ちっぱなしで疲れを見せる老人。
子ども連れということで、長そうな待ち時間に躊躇する親。
待ちくたびれて不満を抱く人達が。
特に料理が出てから20分で退席しなければならないというのはイタイ!(><)
私は食べるのが遅い人間なので、こういう条件を出される店はもうどんなに美味しかろうがノーサンキューです。(しかも辛けりゃ尚の事★)
大変繁盛しているように見える久我飯店。
ですが、ゆっくり食事を楽しむ、というのには不向きな店でした。
ここで、富田に麻婆麺の肉玉を割って食べるよう促す創真。
割れた肉玉から溢れ出る香り。
そして中から現れたのは・・・月!!
・・・のような黄色い球体!!
その正体はカレー!!
カレーか~~!!
これはしてやられた!!
食べた富田は勢いよく服が破裂!
ひっさしぶりに「おはだけリアクション」がきましたね~~~。
ここ最近全然描かれなかっただけに、もうこのまま消失するのではとちょっと真面目に思っちゃってましたよ。
それは刺激的ながらも骨身に染み渡る美味さ。
そんな麻婆麺は、創真が四宮の店でのスタジエール研修で生み出した『ゆきひら・改』シリーズ第二弾!
『時限式麻婆カレー麺』!!!
その香りに魅了される、久我飯店の前に並んでいた客達。
富田さんの反応も都合のいい客引きになってるネ(笑)。
そして!
行列が半分以上創真の屋台へと流れます!!
きたきたきたーーー!!
この展開を待っていた!!(>▽<)
確かに並ばなくてもいい店が明らかに美味しそうな料理を目の前で売っていたら、そっちに移りたくなるよね☆
それでも、あんな小さい屋台で、しかもたった二人では客を捌き切れるわけがないと高を括る久我。
案の定、すぐに手が回らなくなってきます。
ですが、創真はそれを見越して“加勢”を頼んでいました。
その人物とは―――美作昴!
美作:「俺の方が先輩より十年ほど先輩っすよ」
創真:「そういうのいいから早くしろ」
ごもっとも。ムカつくから。
第126話で描かれていた、創真が鍵を渡していた人物も美作でした。
作業スピードを向上させるため、創真を[周到なる追跡(パーフェクト・トレース)]するべく、イメージトレーニングが必要だった美作。
そしてイメージトレーニングは創真のいた環境に可能な限り近づけるのがベストだったため、創真は実家の鍵を美作に渡していたのです。
実家の鍵を渡すって・・・!
まがりなりにも美作は叡山の手下だった奴ですよ!?
家探しでもされたら・・・とかいう思考はキミには無いの!?
・・・と言いたいところなんですが、そういう所が「創真」なんですよね~~~(苦笑)。
思えば当初から、創真は美作が叡山の手下と察していても尚、彼を信用してくれていましたから。(^^)
今回自ら実家の鍵を渡したことで、以前美作がやらかした家宅侵入罪も帳消しになっちゃった感じですね(苦笑)。
創真って、何気に他者の“罪”を改めてくれる子だと思います。
まあ、「ゆきひら」でイメトレしてる美作は警察に通報されてもおかしくありませんでしたが。
そして倉瀬ちゃん久し振り。
これまたアニメに合わせてくれて附田先生ありがとー。(^^)
そして佐伯先生もありがとー!!(>▽<)
美作が髪を結ってくれてる!!
第118話感想での私の要望が届きました!(いや偶然だから)
うん、やっぱり美作は髪を結っている方が格好良い!
そうして強力な協力を得て(シャレにあらず)、一気に巻き返しに出る創真達。
調理法や食材は違えど、「獅子頭(シーズートウ)」という料理に酷似していた創真の『時限式麻婆カレー麺』。
それと重ねて、創真に獅子のような畏怖を感じる久我。
私から言わせれば、創真は獅子以上のトンデモンスターだけどね。
・・・・・・・・・・え~っと・・・・・・・・・・。
この湧き上がる複雑な感情はどうすれば???
嬉しいやら面白いやらムカつくやらで超複雑です、ハイ。
創真が3日間ずっと観察し続けて見つけた、久我の店の“死角”が遂に判明。
それは繁盛しすぎる故に生じる問題。
スタジエール編前半の「洋食の三田村」が抱えていた問題と似たものでした。
久我の店の行列は客を引き寄せるものであると同時に、客に不満を募らせる諸刃の刃的なものだったわけですね。
これは繁盛店ならどこでも直面する問題です。
久我の店は決して回転が悪いというわけではありません。
大勢の客に対応するため、あらかじめ久我自らが部員達を鍛え上げ、自分と同じレベルの品を作れる精鋭達を十人以上も揃えていたのですから。
ただ、今回は月饗祭という大イベントで、中華研は事前から注目されていた有名株。おまけにこの日はさらに来場者が増加する土曜日。
どれだけ凄くとも、対応力の限界はあったというわけです。
逆転の引き金となった『時限式麻婆カレー麺』。
予想としては見事に大外れでしたが(苦笑)、この発想にはなるほど納得!!
第127話で提起された課題である「味の強いイメージ」と「辛味から興味を引き剥がせるようなインパクト」にこれ以上ないくらいドンピシャですよね!!
確かにカレーとくれば、誰もが容易に味を想像できて、なおかつ食欲もそそられる品です。
久我の料理の最大武器である“辛味”に対し、「カレー」というもう一つの“辛さ”の象徴たる料理をぶつけてきたと・・・!
そうやって辛味がしっかり活かされつつも、ちゃんと優しくまろやかな味わいという“創真の味”を保っています。
「辛味は痛み」という問題点もまた見事にクリアーしました!(>▽<)
中華にカレーという組み合わせも、「秋の選抜予選」で新戸が『羊肉四物湯カレー』を作った際、薬膳(中華)に扱われる生薬(スパイス)はカレーによく共通しているといったようなことが述べられていましたものね(第52話)。
そう考えると、この組み合わせは充分相容れられるものです。
そして 割れた肉玉から迸る香り。
これは選抜予選で用いた“香りの爆弾”的な工夫ですね。
選抜では「香り」の力を思い知らされた創真でしたが、今回はその「香り」を用いて見事集客の成功に繋げました。
マジですか・・・。
第122話感想で「辛味と中華が得意な久我が、葉山や新戸と関わる時が訪れるのが楽しみ」というようなことをちょびっとだけ述べたと思うのですが・・・。
今回の料理の工夫は驚かんばかりに葉山と新戸の料理に関係したものになってます!!
なにこの偶然。
ただの麻婆豆腐ではなく「麻婆麺」にしたのもこれまた考えられてますよね。
「麻婆麺」は日本生まれの料理ですから。
やはりこの料理もまた、上手い具合に“日本の料理”に携わる品になってくれました。
森崎先生ホント凄いです!!
・・・ただ・・・。
「カレー」や「麻婆麺」の発想は非常に納得しているのですが、唯一疑問に残るのが、どうして創真は「月」をイメージした料理にしたのかということ。
それを考えると、やはり私としては今回の品は創真の“母親”が反映された料理に思えるんですよね、どうしても。
・・・創真のお母さんって、名前に「月」が入っていたりするのかなあ~・・・。
光月[みつき]とか、結月[ゆづき]とか。
なんにせよ、今回の料理は日本人の麺好き&カレー好きという風潮を上手い具合に突いてくれたと思います!!
理論上でも、実際的にも見事!!
恐れ入りました!!
そして『時限式麻婆カレー麺』と同じくらいのインパクトを落としてくださった方が一人。
満を持して、『周到なる追跡者(パーフェクト・トレーサー)』こと美作昴参戦です!!
いや~美作が加勢してくれたのは嬉しいです。
そして熱いです。
こういう風に以前戦った相手が主人公の味方になって再登場してくれるのは少年漫画の王道でしょうが、それでもワクワクさせられます!!
美作も、ただ単に手伝うだけでなく、最大限に助太刀できるようにしてくれてたなんて良い奴ですよね~。(^^)
相手の「料理」だけでなく「相手そのもの」を模写するのが美作の真骨頂。
「猿真似」という悪印象でしか見られていなかった彼の能力も、こういう形で発揮されると非常に心強くも優れた能力へと大変換ですよね。
周囲とは違って、美作の能力は否定しなかった創真。
やはり彼の人を見る目は大変秀逸だと思います。
こうして頼もしい味方になってくれた美作でしたが・・・。
いつか創真を介して貞塚と出会うことになってしまったらどうしよう。
「キング・オブ・ストーカー」と真性のストーカーの邂逅・・・。
お、恐ろし過ぎて想像できない・・・!!(戦慄)
いよいよ反撃の狼煙が上がった今回。
これまで張られてきた伏線も発揮され始め、次回がかなり楽しみです!!
ただ、唯一気になるのが、今回が月饗祭の「四日目」だということ。
叡山や小林竜胆の事もありますし、最終日に何か大波乱が起きそう・・・。
そのことだけが心配です。