週刊少年ジャンプ2016年14号掲載
掲載順第7位
第157話 【鮭は踊る】
※今回の感想の後半部分は、この漫画の最大の特徴について思いっきりツッコんだ内容となっております。
そこをどうかご了承の上でご覧くださいませ。
先に料理を完成させたのは楠。
早速判定へ。
その際に、茜ケ久保ももにも試食を頼む楠。
どうやら楠の料理には「スイーツ」を使ったギミックが仕込まれているとのことで、菓子職人である茜ケ久保ももにもその出来を評してもらいたいようです。
そしていざ食べてみることに。
って茜ケ久保もも!ヌイグルミ(ブッチー)を台にするのは止めなさい!!(汚れるっての!!)
まあモグモグ顔は可愛かったけど。
同じくらい大泉のお爺ちゃまも可愛かったけど。(反論は受け付けません)
そして楠が茜ケ久保ももに勧めたギミック(付け合せ)は一体何かというと、なんと鮭のアイスクリームでした!
ああ、そういえば前々回ラストでスチームコンベクションと共に、確かに凍結粉砕機も運ばれていましたものね。
何に使っていたのか不明でしたが、こんな形で用いていたとは・・・!
これには素直にビックリです。
そんな鮭のアイスクリームは単に意外性を狙っただけでなく、コンフィの温かさを引き立たせるという効果も担っていました。
温かさと冷たさが、一皿の上で見事に演出された手法、それは“サーマルセンス”。
そう、アリスが秋の選抜予選のカレー料理で用いた手法でした!!
熱と炎の使い手とは言ってましたが、確かに「熱」は「熱さ」だけとは限りませんものね。
熱さも冷たさも同じ「温度」。
う~む、これはしてやられた☆
楠のその料理の旨さに、茜ケ久保ももは「おはだけ」発動。
結構ご無沙汰だった感がありますね。
特にこれほど際どいのは。(ていうか、そこにもブッチーかい★)
創真の「連たろ先輩」呼びにツッコむ楠。
お~待望の反応きた♪(やっぱり楠は下の名前で呼ばれるのは不本意の模様)
一方で、黒木場の料理も遂に完成!!
その料理は・・・
『クーリビヤック』!!
どやっ(( ̄ー ̄) =з)
・・・図に乗ってゴメンナサイ。
でも久し振りに予想大当たりで嬉しかったんだもん。
そんな黒木場のクーリビヤックはやはり楠に負けず劣らず絶品でした。
夢中で頬張る審査員達の様子に、観衆達も食欲をそそられます。
同じくそそられていた恵に、どうぞと(勝手に切り分けて)差し出してくれるアリス。
うん、ここでもう察しは付きました。
そういうわけで、今度は恵が「おはだけ」発動。
なんかもう大盤振る舞いやな★
共に実食者の舌を唸らせた楠と黒木場。
そんな二人の判定に注目が集まりますが―――
なんと審査員の一人が、優劣を付けられないと困窮してしまう事態に。
これはあれですか?
秋の選抜準決勝の葉山VS黒木場のパターンの再来ですか?
と思ったら、もう一度食べ比べれば分かると言う大泉のお爺ちゃま。
両者の品の決定的な差に。
食べ比べることで分かる差、とな。
葉山VS黒木場のパターンではなく、タクミVS美作のパターンの再来でしたか☆
あの時は悪役全開だった美作の方に軍配が上がりましたが、果たして今回は・・・?
今回はテンポの良い展開でしたね。
楠と黒木場、両者の料理披露から実食、そして判定とサクサク話が進んで読みやすかったです。
なにより黒木場の料理予想が当たったのが一番嬉しい♪
今回の注目どころは二つ。
一つ目は勿論楠と黒木場の料理。
前回の創真の賛辞でぐっと料理人としての格を上げてきた楠ですが、想像以上にその料理も奥深いものでした。
最新機器を自在に扱い、「熱さ」だけでなく「冷たさ」も“温度”として巧みに操ったその手腕。
そしてなんと鮭をアイスクリームに調理してしまうという斬新な発想。
アリスの料理を髣髴とさせるような、見事に「最新調理科学」が発揮されている品だったと思います。
そんな見た目の美しさと高い技術性を備えた楠の料理に対し、黒木場の料理は外見は素朴ながらも強く食欲を湧かせる品でした。
楠の品は「火の芸術」、そして黒木場の品は「脳天を揺さぶる」。
大泉のお爺ちゃまがそう例えていた通り、丁度二人の品は鮭という素材を「芸術性」と「本能性」という対照的な形に調理していたと思います。
別の言い方をするならば、楠の料理はメイン素材一点の洗練。
黒木場の料理は多くの素材を用いての旨さの増幅。
特に黒木場の料理は雑多感がありましたね。
創真の料理と同様に。
そんな二人の甲乙付け難い品は、実食のリアクションもほぼ同レベルだったという。
ハイ、これが今回の注目どころの二つ目です。
一話の中で二回も「おはだけ」が披露されたのは随分と久し振りのような気がしますね。
しかもどちらも1ページ丸々使って。
堂々と。
・・・これって“師匠さん”への対抗意識からですか佐伯先生?
ですが今回の「おはだけ」を目にして、気付いた事が幾つかあったり。
まずは茜ケ久保ももの「おはだけ」ですが・・・。
秋の選抜での新戸の「おはだけ」と似てません? (by第75話)
ポーズといい、カメラアングルといい、かなり重なるものが。
(ちなみに今だから言わせてもらいますけど、当時新戸はスッポンのハンバーガーを出していましたが、それってリアクションの「すっぽんぽん」と掛けていたんですね・・・★)
っていうか。
そもそも茜ケ久保ももと新戸って似てますよね。かなり。
これは第152話を何度か読み返している時にふと感じたことでした。
ラストにかけて、偵察部隊として新戸が青木&佐藤と出立するシーンがありましたよね。
そこからページを捲ると、丁度茜ケ久保ももが新戸が居た位置に重なる場所に描かれているんですよ。(さあ、ジャンプ本誌第9号をまだお持ちの方は確認してみましょう!)
しかもカラーイラストによって既に判明しているように、二人とも紫髪だし。
連載を長く続けているとキャラクターのデザインが多少は似通ってくるのは仕方ないことと思います。
ですが、この作品の最大の特徴といえる「おはだけ」までが似ているのはさすがに引っ掛かりが。
そういうわけでして、茜ケ久保ももと新戸には何かしらの“共通点”があるのではと推理してみます。
創真と四宮、伊武崎と一色先輩が似ているのと同じように。
もしこの深読みが当たったとしたならば、十傑陣は想像以上に創真達「玉の世代」と関わっていくことになりそうですね。
・・・ふ~む・・・私としては茜ケ久保ももと関わりが深くなるのは郁魅と思っていたのですがねえ・・・。
だって郁魅は小説版第二弾でスイーツに関わりが・・・・・・・・・・。
ん゛!?
そういえば。
当の小説版第二弾の表紙って、郁魅と新戸がメインで描かれてましたよね!?
えええええ~!?!?附田&佐伯先生!?
と、とりあえず気を落ち着けて、次は恵の「おはだけ」について。
以前黒木場の品を食した時は強い抵抗心からリアクションに耐えた恵でしたが(秋の選抜第一回戦ラーメン対決時)、今回は素直にリアクションを取ることに。
鮭型の宇宙船による波動砲・・・もといビームによって服が裂かれました。
そういえば秋の選抜のカレー予選でも黒木場は千俵なつめを海老型ロケットで宇宙空間に飛ばしてましたよね。
・・・今回のこのリアクションでようやく気付けました。
黒木場の料理によるこれらのリアクションに「機械」が用いられているのは、アリスのスキルである「最新科学」を反映しているということを。
まったくもう・・・単なるギャグ&お色気インパクトと思われがちな実食リアクションですが、見直せば見直すほど奥深い意味に気付かされてしまうというのだから侮れません☆
ですが。
実はこのリアクション、アリスだけでなく“もう一人の人物”によるリアクションも意識されているんですよね。
黒木場の料理によって、恵は背後から「旨さ」という“攻撃”を受けているわけですが・・・。
過去にも恵は背後からの“攻撃”によって、リアクションを取っています。「香り」という攻撃を。
そう。
今回のリアクションは丁度、葉山のカレーを食した時のリアクションと対になっているんですよ。(さあ!単行本をお持ちの方は第6巻120ページ(第45話)を見てみましょう!!)
構図的にも丁度シンメトリー(左右対称)が意識されている造りになっているのが何とも巧妙なところ☆
このことから見ても、黒木場と葉山がどんなに深い因果関係にあるかが容易に窺えるってもんです♪
実際、黒木場と葉山って創真とタクミの関係性に凄く似ているんですよね。
お互いによく似た背景を持ち、一見正反対な性格でありながら実は根底的部分が似通っているところが。
もっとも、創真とタクミの関係を「白」とするならば、黒木場と葉山は「黒」ですけども(苦笑)。
微笑ましく見守れる「最良のライバルであり親友」な創真とタクミに対し、苦笑を禁じ得ない「最凶のライバルであり悪友」といった感じ。(^m^)
そんな黒木場と葉山の“共通点”はこれからどんどん掘り下げられることでしょう。
その時に、一体どんな衝突や交流が繰り広げられるのか。今から色々予想を膨らませております。
ちょっと話が横に逸れちゃったかな?
「おはだけ」についての考察に戻りましょう。
こうして楠は茜ケ久保ももを、黒木場は恵を見事?にはだけさせたわけですが、両者を比較した場合茜ケ久保ももの方が露出が多いため、楠の方が勝利の可能性が高く思えます。
ですが・・・。
それに対して黒木場は、片方だけですが恵の三つ編みも解けさせているんですよね。
なので少なくとも今回は、リアクションからだけでは勝敗は推し量れないかな、と。
ですが、私としてはやはり楠が僅差で勝利すると予想します。
その理由は、前回にて大泉のお爺ちゃまが述べておられた、「鮭の旨味をどれだけ逃していないか」という審査ポイント。
それならば鮭を包み込んでいる黒木場の料理の方がそのポイントを満たしているように見えるものの、ストレートに察しが付くだけに、逆に楠の方が更に上をいくような工夫を施しているのではないかと思えるんですよね。
まあどちらが勝ったとしても、読者も納得できるような理由が準備されていることを希望しています。
ちなみに、恵はこれまで「完全おはだけ(全裸)」させられたことは何気に無いんですよね。
創真以外からは。
(さあ!!単行本をお持ちの方は第1巻147ページ(第5話)を見てみましょう!!!)
(なんとこの時点で創真は恵の三つ編みさえも・・・!!)