『暗殺教室』が、本誌16号をもって遂に終了。
「毒を以って毒を制する」を持ち味とする松井先生の、まさに代表作といえる作品だったと思います。
第177話はもう読んでてガン泣きでした。
ボロ泣きなんてものじゃなくてガン泣き。ティッシュひと箱消費しました(マジ)。
本当に3年E組だけでなく、私も色々教えられた素晴らしい作品でした。
これほどの名作をリアルタイムで追うことが出来たこと、幸運に思います。
まだ番外編やファンブック等で殺せんせー達に会える機会はありますが・・・ひとまず
松井先生どうもお疲れ様でした!!
(余談:スピンオフでの、仲間になりたそうな魔王サマめちゃかわいかった・・・v)
週刊少年ジャンプ2016年16号掲載
掲載順第3位
第159話 【成長】
またもやセンターカラー。
しかも奇しくも“師匠さん”の作品もセンターカラー。
佐伯先生としては同紙に同時連載というだけでも非常に刺激を受けておられるでしょうが、これをチャンスに、お互い切磋琢磨出来たら良いですね。(^^)
そんな今回のカラーイラストはというと、なんとも和やかな祖父と孫の思い出の一枚。
温かで幸せな時間が感じ取れる素敵なイラストですが、不満が一つだけ。
佐伯先生、仙左衛門殿の顔色ちょっと悪くしすぎです(爆)。
顔色悪いキャラはどっかの手袋紳士だけで充分ですよ。
そういえば、えりなの「印象的な思い出」には象徴的に“桜”が登場しているような気がします。
今回の扉絵もそうですし、新戸との思い出にもありましたものね。(by第109話&小説版第二弾)
その思い出には必ず、彼女が心を許せる人が傍にいました。
そして、“桜”と聞いて私が真っ先に思い浮かべるのは・・・
[春の嵐]でもある、“彼”との対峙です。 (by第4話)
本編はそんなえりなの現在の様子からスタート。
極星陣が全員偵察に出掛け、一人で極星寮に残っていたえりなですが・・・
(・o・)プラプラ → (・_・) → (・o・)プラプラ
うん、かわいい。
そして今度はちゃんと創真の言葉を考えていますね。
うん、えらいえらい。(^^)
と、そこへ突然の闖入者。
あろうことか婦女子の部屋にその入り方はないだろとか
普通に扉から入れやとか
ていうかまだその行動改めてなかったんかいとか
ツッコミは数知れず。
ほんとにもうこの人は。(^^;A)
そしてわざわざ縄を使って降りてきた一色先輩から、えりなは今回の残党狩りにアリスも関わっている事を知ります。
驚くえりなに、穏やかに促す一色先輩。
現地へ赴くことを。
やっぱり一色先輩も創真と同様に、えりなに教えてくれそうですね。
自ら動くことの大切さを。
そして場は創真やアリスのいるD会場へ。
楠が気付いた、黒木場の『クーリビヤック』の中に入っていた緑色の層。
それはほうれん草のクレープでした。
へ~!確かに『クーリビヤック』の具にはほうれん草がよく用いられますけど、まさかクレープにしてくるとは考えが及ばなかったな~!
しかも、「クレープ」として用いていることで、楠の「アイスクリーム」という“スイーツ”とも関連性が出来ているという見事な造り!!
森崎先生お見事です!!
黒木場の工夫はそれだけに留まらず、更に「ある物」をクレープに施していました。
それは「シーズニングスパイス」。
「スパイス」という言葉に反応する創真。
でしょうね。私も思い浮かびましたもの。
“あの人物”が。
ちなみにそのシーズニングスパイスに用いられていたのは、魚介類と非常に相性の良いタイム(参照:第82話)、そしてオレガノ・・・。
そういえば、オレガノはまだこのブログで説明してませんでしたよね?
ということで
オレガノ・・・タイムと同じく、シソ科の多年草。
オレガノはそんなシソ科のスパイスの中でも最も香りが強い部類に入る。(そのため、使用量には注意が必要)
ややほろ苦い、清涼感のある香りが特徴。
生、もしくは乾燥したものが使われ、トマトやチーズと相性が良い。
そのためイタリア料理やメキシコ料理によく用いられ、トマトケチャップやチリソースには欠かせないスパイスである。
乾燥させた物の方が香りが強く、茎や葉はスパイスに、そして花はポプリの材料として利用される。
そんな各スパイスや調味料と共に、黒木場はシーズニングスパイスに粉末ベーコンも加えていたという。
ほほ~~!
「スイーツ」の使用だけでなく「ベーコン」という食材、そして「フランス料理」という料理ジャンルまでと、この料理対決は「鮭」というテーマ食材のみならず非常に共通項目が多かったわけですね。
だからこそ、その料理人の姿勢の違いがより明白になっているという。
そうして、両者の品の差が審査員から説明されるわけですが・・・。
鍵となったのは「不均一さ」。
これは説得力が凄い。
日常生活に根差している理論なだけに、めっちゃ理解できます。
ちなみに私も卵かけご飯はざっくり混ぜる人間です。
納豆かけご飯もざっくり混ぜて食べます。(←聞いてない)
そして大泉のお爺ちゃまは、第156話で自身が述べていた「審査の最大のポイント」という観点からも評論を述べましたが・・・。
正直なところ、ここにはう~む?と首を傾げたり。
「一見楠の方が優れているようだが・・・」と仰っておりますが、いやいや。
その点においてもストレートに、鮭を完全に包み込んでいる黒木場の料理の方が勝っているように見えるんですけど?
こうして完全に黒木場が形勢逆転となった中、観衆の間を移動する人物が。
あれ?キミも来てたの?
旨味同士をぶつけ合うだけの粗暴な料理人。
黒木場をそう捉えていた楠にとって、故意に不均一にさせたスパイスの効果を配慮するなどという繊細な発想は、以前の黒木場からは考えられないことでした。
ですが、秋の選抜後、黒木場は体験していたわけです。
実地研修[スタジエール]を―――
・・・えっとね?
結構その格好サマになってますよ黒木場くん。(※皮肉にあらず)
第116話で描かれていた様子からは自分の本領を大いに発揮できていた黒木場ですが、やはり彼も創真と同様に、自分の苦手分野というか未知の分野というか腹立つ分野(おいおい)の職場にも赴いていたわけです。
研修が始まる前は「楽勝」と高を括っていたものの、いざ始まってみて思い知らされる、未知の世界の難しさ。自分の未熟さ。
しかもそれが自分に苦汁を味わわせた相手の得意分野というのだから尚更。
でも、そんな屈辱に耐えられたのは他でもない
アリスという、敗北の悔しさを分かち合える相手がいたから。
アリスと話した後の黒木場くんの後ろ姿、かわいかったです。(^^)
そして。
新たにもう一人、ここに同じ敗北を分かち合う人物も現れたわけですね。
そうして見事、軍配は黒木場に!!
お~ここの黒木場かっこいい☆(バーサクモードより普段モードの方が好き)
・・・あれ?
ここの観衆の女の子・・・。
どう見ても“師匠さん”の作品に登場している「あの子」ですよね?
これはアレですか佐伯先生?特別出演というヤツですか?
ということは隣の男子は“師匠さん”ですか???(なーんちゃって☆)
こうしてセントラルに一矢報いたことに盛り上がる創真達。
っていうか、いつの間に皆さんこんなに仲良くなったの?(いや嬉しいけど)
これもやはり「敵対する相手」が共通しているからでしょうか。
とそこへ、彼らに拍手を送る者が。
その人物こそ、彼らの「共通の敵」である薊。
「連たろ先輩」呼びに続き、創真の「中村先輩」呼びに入るツッコミ。
私としては創真が薊を「中村」と呼ぶことは作劇上大事な意味合いがあると思っています。
ま、創真からしてみればえりなもアリスも「薙切」なので、単にややこしいからという理由でしょうけども(笑)。
それにしても創真が叡山に勝利した時は極星寮を訪れ、今回もわざわざ声を掛けてきたりと、薊って逐一勝利に沸いている場に水を差してくるよな~。(地味に匂う小者感)
一変して険しい表情になるアリス。
今回の扉絵が語っている通り、仙左衛門やえりなはアリスにとって大切な家族。
そんな二人を失脚、そして虐げた薊は敵以外の何者でもないでしょう。
さて、もう一人の「薙切の一族」であるアリスは、果たしてどんな衝突を薊と繰り広げるのでしょうか?
そしてきっとその様子を目にすることになるであろうえりなの心情も合わせて、次回も目が離せない展開になりそうです。
今回の話は第116話【成長という果実】と照らし合わせながら読むと、より味わい深いですね。(附田先生もきっとそれを意識して、今回のサブタイトルを付けたのでしょう)
こうなってくると、他のキャラも随所でスタジエールの様子が描かれてくるに違いありません。
特に私が気になるのは伊武崎とタクミの研修模様。
彼らが現場でどんな試練に遭い、どんな成長を果たしたのか大変興味深いところです。
それにしても、今回はとりわけ料理に関する説得力が秀逸でした!!
いつも料理関係の工夫には唸らされるのですが、今回はそれこそ文句のつけようがないレベル。
改めて、感覚的にだけでなく論理的にもこれほど見事な料理を毎回考え出す附田先生&森崎先生って凄い。凄すぎる。
本当に良い料理漫画に出会えたと思います。
でも・・・一方でこんな意見も見られたんですよね。
「最先端料理研究会の代表として出した黒木場の料理が『クーリビヤック』という古典料理なのは如何なものか」
という疑問が。
成程。確かに一理あり。
私としては楠が最先端調理機器の使い手という、既に「最先端料理」のスキルホルダーであったため、対照性を持たせる意味で古典料理を選んだと思っていたのですがね。
そういうわけで、その観点も踏まえてもう一度黒木場の料理を見直してみたところ・・・。
黒木場の料理の勝利を決定付ける鍵となったのは「スパイスの不均一さ」。
人の舌の構造を利用した工夫でしたが・・・。
それは「味覚生理学」の分野に基づく発想です。
科学的アプローチから料理を探求する研究会として、この発想は充分その代表者として相応しいものだと思います。
ま、こじつけと言われればそれまでですけどね☆
創真陣営とセントラルとの勝負もこれで二回目ですが、フタを開けてみれば今回の勝負もまた「洗練vs混沌」の対決になってましたね。
加えて今回の勝負では、そこに「不均一」というこれまた薊の美学に反するファクターを勝利理由に挙げていたことで、更に薊政権が掲げる「正しさ」に物申せていました。
う~ん天晴れ☆
この度の勝負で確定できましたが、セントラル側の料理人は「上質素材の徹底洗練による美食」をモットーにしていますね。
「素材の徹底洗練」を信条としている料理人・・・と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、
第一席の司先輩。
このことから、司先輩はおそらく十傑の中で一番純粋に自分の信念と薊政権の理念が一致している人物ではないのでしょうか。
そうなってくると一番説得が難しいのは司先輩になるわけで・・・。
う~んこれは先が思いやられる。
今回の食戟で黒木場が戦ったのも、アリスの料理が「洗練タイプ」だったからかもしれませんね。
・・・そういやあ、今回黒木場と創真の脳裏に浮かんだ“あの人物”もまた、「洗練タイプ」と言えるんだよな~・・・。
そんな料理面と絡めて黒木場の成長、アリスとの絆、そして創真との共感性が描かれていたのも構成として大変見事。
やっぱり人の「熱さ」って、逆境や試練に立ち向かう心だと思います。
「熱さ(熱)」も今回の勝負のポイントでしたが、料理を通して黒木場と楠の姿勢の違いもしっかり反映されていましたものね。
楠はセントラルの兵隊に“選ばれた”ことによる慢心。
対して黒木場は、秋の選抜で優勝者に“選ばれなかった”ことによる向上心。
そんな両者の格の差もまた大きな説得力を発揮していました。
とても熱かったです!(^^)
この『遠月革命編』が始まってからだいぶ経ちますが・・・。
ようやく掴めました。
この章で附田先生が意図している「テーマ」が。
それは「変化」。
一人一人の。
遠月学園という舞台の。
これまでの人間関係の。
全てにおける「変化」がこの章で大きな鍵になると思います。