あまぐりころころ

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『鬼滅の刃』考察 ~溢れる「赤」と稀有な「青」~(1)

2020-03-19 00:20:00 | 鬼滅の刃 考察

 社会現象まで巻き起こすほどの人気作となった今も、変わらず全力で展開が突き進んでいく少年漫画『鬼滅の刃』。
 そんなこの作品も、今月末発売の週刊少年ジャンプ18号で連載200回目という大きな節目を迎えます。
 その記念すべき第200回目のお祝いとして、私が以前から抱いていた考察を記事にしてUPする予定でしたが、なんと現在の本誌の展開が私の考察に突き刺さりそうな事態に。
 この緊急事態に急遽予定を変更して、此の度記念考察第一弾をUPする運びになりました。
 ・・・ふう。間に合って良かった☆

 最初に述べておきますが、これから述べる考察はあくまで私という一個人の考えに過ぎません。そのことをどうかご了承の上でお読みください。
 そしてもう一つの注意点はネタバレ全開です。
 そもそもこのブログの感想記事自体がネタバレの塊のようなものなのですが、もし「鬼滅の刃 考察」の検索でこのブログにお越しくださった方は、ジャンプ本誌最新話までの内容にダイレクトに触れているので、どうかご注意くださいませ。
 

 

 


 まず最初に述べておきましょう。

 皆さんは「この『鬼滅の刃』のキーワードは何か?」と問われたら何を思い浮かぶでしょうか。
 「絆」でしょうか?それとも「血」?もしかしたら「日輪(太陽)」?
 確かにそれらも立派なキーワードの一つです。
 そもそもこの作品はキーワードたるに相応しい重要なファクターが幾つもある作品ですからね。

 ですが。

 私はこの『鬼滅の刃』という作品の最大のキーワードは「熱」と考えています。
 そう考え始めた切っ掛けは、無惨との直接対決が始まって間もなくの頃でした。
 第185話【匂いのない世界】で不死川の炎上攻撃に怯んでいた無惨。
 斬撃には微塵も動じなかった無惨が不死川のこの攻撃には怯む様を見せたことに、ふと思ったんです。
 「・・・ひょっとしたら鬼って、熱に弱いのかも・・・」と。
 ウイルスが熱に弱いように。
 それを切っ掛けに改めて「熱」という点に照準を当ててこれまでの物語を読み直したところ・・・。
 驚きました。
 重要点のほとんどに「熱」、もしくは「熱に繋がるもの」が用いられていることに。
 炭治郎がヒノカミ神楽を使い始めた頃から身体の“熱”が常に高い状態にあること。
 「痣」の発現条件の一つが“高熱”であること。
 同様に「赫刀」の顕現条件にもまた、″高熱”が必要であること。
 最近の展開では、大活躍を見せた伊黒さんの相棒:鏑丸も「ピット器官」という、“熱”で物体の位置を感知するという能力を持っています。


 それだけではなく、私個人としてはこの『鬼滅の刃』という作品自体においても「熱」というものはとても大きい意味があると思っています。
 正直に言わせてもらいますが、連載が始まった当初、私はこの作品に一切「熱」を感じられませんでした。
 これまで見てきた吾峠先生の作品は、非常に独特の世界観を持ちながらも、そのイメージは「奇怪」「淡々」
 少年漫画的な「熱さ」は全然感じられない作風だったんです。
 でも。

 回を重ねていく毎に、少しずつ温かみを感じるようになっていき、温かみは温もりへ、そして熱さへと、次第に「熱」を上げていきました。

 そして今では、誰もが認めるほどの熱さを持った王道作品へと成長を遂げることに。

 だからこそ私は、この『鬼滅の刃』の最大のキーワードを「熱」と提示させて頂きます。

 そんな「熱」という言葉に直結するイメージが「赤」。
 そんな「赤」と対を成すのが「青」。

 よってこの記念考察のサブタイトルを『~溢れる「赤」と稀有な「青」~』と名付けた次第です。

 

 


 それでは今回のメイン考察へと移りましょう。

 今回から三部に分けて述べる『鬼滅の刃』考察、その最初は

 [青い彼岸花]について考察してみたいと思います。

 

 


出典:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第67

 

 

 [青い彼岸花]。これについては『鬼滅の刃』最大の考察ポイントとして既に多くのブログや動画などで考察が述べられておりますね。
 これほど多くの方々が鋭い視点や深い知識をもって考察なされておられるならば、私が敢えて考察を述べる必要はないだろうと思っていました・・・が。
 なんだか私と同じ考察を述べている方はちょっと見当たらず☆
 
ならば一個人の考えとして述べておこうと思った次第です。


 さて、[青い彼岸花]は、鬼の始祖である鬼舞辻無惨が唯一の弱点である日の光を克服するために必要な薬の名前にして原材料なわけですが、その花の存在は極めて謎に包まれています。
 実在しているものなのか。
 それとも、何かの比喩表現なのか。
 そもそも無惨や配下の鬼達が何百年かけて探し回っても、見付けるどころか有力な情報も得られなかったという青い彼岸花。
 しかも無惨は人間社会に溶け込み裕福層の人間に関わることで、広い人脈や多くの文献からも情報を得る手段を持っていたはずなのに、それでも一切手掛かりを得ることは出来なかったという。
 これら二点から
 少なくとも鬼には絶対に見付けられない場所に存在する
 
そして人間でも滅多に見ることが出来ない存在

 であることが推測されます。

 このことから、青い彼岸花は極めて稀有な存在と言えるのでしょうが・・・

 私はこの考えを逆転させてみました。

 もし青い彼岸花はさほど珍しくはない存在だったならば?と。

 青い彼岸花は実は普通の赤い彼岸花に自然に紛れて自生しているもので、ある特別の条件が複数重なった場合にのみ、ある特別な視覚を持つ人間にのみ青く見える彼岸花だったとしたら?と。

 

 

 そう。
 実際に青い彼岸花を見た人物は、既に作中に登場しています。

 

 それがこの作品の主人公である竈門炭治郎。

 

 それを証明しているのは第39話【走馬灯の中】のラストで描かれている炭治郎の走馬灯です。
 あの走馬灯には青い彼岸花と思われし彼岸花が映し出されていました。
 ということは。
 少なくとも炭治郎は青い彼岸花を過去に“見た”ことがあるということです。

 



 ここで一旦、話を少し戻しましょう。

 刀鍛冶の里編を経て、史上初の日光を克服した鬼となったのが炭治郎の妹である竈門禰豆子。
 そのため禰豆子は、その体質を取り込まんとする無惨に狙われることとなりました。
 そして今現在、ジャンプ本誌では炭治郎達の危機を察知した禰豆子が彼らを助けんと戦場へ向かっています。

 この展開に巷では「戦場に出向いた禰豆子が無惨に取り込まれてしまい、日の出を迎える前に無惨が日光を克服してしまうのではないか」という懸念が多く飛び交っていました。
 ですが、私はその議論自体が不思議でしょうがなかったんです。
 どうして[青い彼岸花]というもう一つの日光克服手段については着目されていないのだろうと。

 日光を克服する体質を持った鬼。それと並び立つ存在[青い彼岸花]。
 そして。
 禰豆子と並び立つ存在もいます。

 そう、それもまた―――

 

 彼女の実兄である竈門炭治郎。

 炭治郎と禰豆子、彼ら兄妹は表裏一体的な運命共同体なのですから。

 

 ここまでで語った通り、過去の出来事においても、そしてキーパーソンである禰豆子との関係性においても、炭治郎は[青い彼岸花]と大きな関わりを持っていることが窺えます。
 ですが、青い彼岸花自体はあくまで薬の“原料”。
 もし生態や生息場所が明らかになったとしても、すぐに無惨の日光克服手段として使えるわけではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・と、言いたいのですが。

 

 

 

 

 もしも。

 

 もしも。

 

 

 

 

 既に[青い彼岸花]が完成されてしまっているとしたらどうなるでしょう? 

 

 

 

 過去に青い彼岸花を目にしていた炭治郎。
 果たして彼は、何時、どのような状況でその花を目にしたのでしょうか。
 日常生活の中で偶然目にしたのか。
 「誰か」に用いられているのを目にしたのか。
 それとも。
 炭治郎自身に用いられているのを目にしたのか。

 

 毒草として有名な彼岸花ですが、最近の本誌展開でも顕著に示されている通り薬と毒は表裏一体。
 使いようによっては、彼岸花は実際に薬草としても用いられています。

 

 かつて炭治郎は幼い頃、弟を火鉢から庇って額に火傷を負いました。(第81話参照)
 もしかしたら、その際に治療薬として偶然青い彼岸花が彼に用いられていた・・・という可能性があるかもしれません。

 

 もしそうだったならば―――

 

 もし、もし炭治郎の身体に青い彼岸花の成分が存在しているとしたら―――

 

 

 私は  物凄く  嫌な  予想を  生み出してしまいました。

 

 

 私がこの「嫌な予想」に至ってしまった原因となったのは、作中のとある人物です。

 それは蟲柱:胡蝶しのぶさん。

 
 
しのぶさんは姉の仇である上弦の鬼:童磨を倒すため、童磨に喰われる前提で自分の身体を藤の花の毒の塊に変えました。
 一年以上の長い年月をかけて、少しずつ、己自身を鬼にとっての猛毒に。

 

 

 ひょっとしたら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ形で今の炭治郎自身も、
鬼にとっての霊薬[青い彼岸花]になってしまっているのではないのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 無惨に幸せを奪われず、一介の炭焼き小屋の跡取りとして平凡な人生を歩んでいたならば、青い彼岸花の影響など全く無いごく普通の人間として炭治郎の人生は終わっていたことでしょう。

 ですが。

 無惨に人生を狂わされ、鬼殺隊士となり、全集中の呼吸を習得し、「ヒノカミ神楽」を使い始めた頃から炭治郎の身体は少しずつ変化が起きていきました。
 その一つが体温の上昇です。 
 次第に額の痣にも変化が起き、戦闘後の回復速度も人間としては異常なほど早くなっていった炭治郎。
 鬼殺隊士になってからの長い時間の中で、そんな炭治郎の身体の変化が少しずつ彼の体内の青い彼岸花の成分を活性化させていたとしたら?
 そしてこの最終決戦で注入されてしまった無惨の血によって、炭治郎の体内で[青い彼岸花]という薬が完成されてしまったとしたら??
 無惨はおろか、珠世さんも、しのぶさんも、そして当の炭治郎自身さえもあずかり知らぬところで。

 第185話冒頭にあった炭十郎の「炭治郎が危ない」という呼びかけも、「炭治郎が無惨の血毒によって死んでしまう」という意味だけではなく「炭治郎が無惨に捕食対象として狙われてしまう」という意味もあったのかもしれません。

 

 

 

 当たってほしくなんてありませんよ。我ながらこんな不吉な考察。

 

 

 

 

 ですが、仮に、万が一、この考察が当たっていたとしたら。

 

 

 

 今週掲載の『鬼滅の刃』第198話は、まさにとんでもない瀬戸際の状況にあります。

 

 

 あの状況を見た瞬間、私は血の気が引きました。
 炭治郎と無惨のあの状況は。

 今がまさに、無惨が太陽を克服するか否かの境界線。

 

 

 

 だから。
 伊黒さんは本っ当に大きな偉業を成してくれたんです!!
 勿論炭治郎を守ってくれたという意味での感謝が大・大・大前提にあります。
 ですがそれと同時に、鬼殺隊の使命としても。
 
 思いもしませんでした。まさか伊黒さんにこれほど感謝する時が訪れるなんて。

 

 

 

 それでも、いまだ非常に危険な状況であることに変わりはないのですがね。

 メタ的な見方をしてしまえば・・・無惨は太陽を克服してしまうことでしょう。
 いまだ多くの謎や布石が残されていることを考えれば。

 

 

 ですが、今なによりも心配なのは炭治郎の身。

 

 果たして次回、どんな展開が待ち受けているのか。
 正直不安で堪りませんが・・・見届けるつもりです。

 

 

 

 

 剣士としての“道”を進むにつれて身体の「赤」が強くなっていった炭治郎。
 そんな彼に秘められているかもしれない「青」。
 今回は[青い彼岸花]を通じて、そんな炭治郎の謎について考察してみました。

 それでは次回は、また別の側面から『溢れる赤と稀有な青』について考察してみたいと思います!!

 


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