空に乾杯

日々な話やドラマの感想など雑多に書き綴ってます!

悪人

2010-09-01 | 本やマンガ

物語が時間軸で進んでいく。

その中に、登場人物たちの独白が挿入される。

事件後に語るその独白が、主要人物の生い立ちとか、

人物像を浮き彫りにするかのようだ。

読み終えてみると……彼の本心とか、本来の性格とか、

はっきりと掴めない気がしてならない?

それでも、母に捨てられたというトラウマが要因なのか?

無意識の中で、本心を身近なひとには隠したり、

かと思えば、自分を知らない誰かには本心を吐露してしまう。

何かが屈折していて、また、鬱屈している……。

それでも、一瞬を女との共有という現実として捉えようとする。

男女がどんなかたちにしろ、出逢うことで、

そこから思いもよらぬことが起きる。

それは、人が人と向き合うことで、

予測できない本能が目覚めてしまうのかもしれない?

最後の彼女の独白は、物悲しい……。

そして思う……。

彼は現実の世界を生きていたのだろうか?

久々読みましたぁ~

本と向き合う時間も好いものです!

悪人 吉田修一著