空に乾杯

日々な話やドラマの感想など雑多に書き綴ってます!

ラットマン

2010-09-03 | 本やマンガ

思い込みから生じる勘違いがそれぞれに連鎖する。

だから、ずっと真実を別の思い込みが事実だと思い続けていく。

その死を巡って、居合わせたそれぞれが、

また、思い込みの連鎖を始めるのだ。

ベテラン刑事は、どこか違和感を覚えて、真の犯人へと……。

読んでいるこちら側も、登場人物たちの

思い込みから生じる「もしかして……」に惑わされる。

現実の中に過去の出来事が挿入される。

その出来事の断片が、実は思い込みから

真実を見誤っていたのだと、徐々にわかり始める。

そして、最後に気付かされるのだけれど……。

真実にたどり着くために、どれほどの時間を費やしたのだろうか?

痛みを抱えたまま、生きるしかなかった……。

真実を知っても、すべてが癒えるわけじゃない。

出来事をリセットすることはできないのだから……。

ラットマン 道尾秀介著