空に乾杯

日々な話やドラマの感想など雑多に書き綴ってます!

Episode_4

2020-01-30 | 空に乾杯

-Episode_4/沖田幸洋の場合-

 ぼんやりと歩いていたわけではない。けれ

ど不意に前方へ目線を送ると、女性の背中が

映る。それは紛れもない見知った女性の背中

だった。追いかけていいのだろうか。そう思

いながらも行動は相反している。

 そして見知らぬ男にその行動を制止させら

れるというあり得ない行為に阻まれる。が、

その男の無意識の行動には感謝している。

 歩き始めた僕の目線がまた女性を捉える。

彼女は怯え切った表情をしている。そんなに

険しい顔だったのだろう。察しはすぐについ

てしまう。横を通りすぎる瞬間「驚かせてご

めん」ささやくように耳打ちをする。

 彼女の反応はまったく気にしない。それが

ルールでもある。と勝手に決めつけていく自

分がいる。

 今日の空。それはどうでもよかった。あの

男が見上げた空なんて見たくもないと思った。

それでも降り注ぐ光を感じるのだから。

 僕は振り返る。そして女性の背中を見る。


この記事についてブログを書く
« これってぇ…とぉ | トップ | あっぱれ »
最新の画像もっと見る

空に乾杯」カテゴリの最新記事