出の前は、じっと待っているだけでなく、
そのときの状況で色々と変わります。

これは「稽古場ならでは」の、出の前の姿。
ここで見ていただきたいのは、
袖でスタンバっている教頭先生(光希さん)です。

彼女は、ものすごく熱心な役者さんで、
クリスマスの帽子も、伸びる指し棒も、オペラグラスも、
全部、彼女が持ってきて、演出がOKを出したもの。
こういう小道具で、教頭先生のキャラが、
いっそう濃ゆいものになりました。
ここではオペラグラスをどう使うおうか、
袖に来てまで研究中。


場に出てから、また新たなネタを見せよう、
と言うところでしょうか。

その光希さんが舞台で演技中、
出る前からドアノブを触ってみたり、周りを見回してみたり、
役の動きでスタンバイしている佐々木役の加藤さん。

もちろん、シーンによっては、
じっと出を待つ時もあります。
加藤さんはいつもこうやって、
かなり前から、袖で、その時の役の体を作り上げて、
その延長で場に出ていくのです。
いずれもっと書きたいと思っていますが、
この、加藤さんの稽古場での居方、本番への向かい方に、
どれほど教えられたかわかりません。
歳は私の方がずっと上ですが、
ベテランとはこうあるべしという見本を、
見せていただいた気がします。
・・・と、
うーーん。
今回のウラ話、
どうしてこんなにマジメなんだ???
あんなに稽古場で笑ってたのに、
みんながマジメすぎたのか??
でもまぁ、こういう時もあるということで、
これからは笑えるネタも出てきますので、
もうしばらく、
やっぱりマジメに語ります(なんじゃ、そりゃ!)
加藤さんがやっていた、
<役の身体になってから出る>って、
これはすごく大事なんですね。
もちろん、どんな役でも、出の寸前には、
その体になってから出て行くワケですが、
ノリノリのハイテンションで出る時とか、
さんざん走り回った後のシーンだったりとかは、
感情も身体も大きく変わっていて当然なので、
袖でじっと待っていて、すぐ出るのでは、
とても表現できません。
役者と言っても、生身の人間ですから。
私の思い出話になっちゃいますが、特攻隊の芝居をやった時、
田舎から、息子のいる特攻基地までの道のりを、
全部辿ってから舞台に出る、
という作業をしたことがありました。
夜行のぎゅう詰めの汽車から始めて、
早朝から長い間バスを待って、
人に聞きながら、延々歩いていく、という、
その行程を毎回全部、想像して。
道に咲いている花、掘っ立て小屋の並ぶ村、
あっちこっちの写真で見たものを総動員して、
大変な思いをして、息子に会いに行く。
そして、やっと着いた!と思ったら、
息子はその前日に特攻に出ていた、という、
「皆さん、泣いてちょーだいっ!」
ってシーンだったんですが、
特攻基地のすぐそばから始まる場面の第一歩に、
息子への思いが見せられたらと、
毎回奈落に籠ってイメージしておりました。
・・・って、やたらと語っちゃった~

次回からは、また、全然違うネタで、
こんなに語らずに

(つづく)
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