彗星なんとなくウラ話・その１２・稽古中は波乱万丈

＜中途半端なところで時間が空いちゃいましたが、
　「？？？」な方は、少し前からお読み下さい＞


あっちこっち迷走しながらも、
だんだんまとまったシーンになり、
完成して、本番に突入。

だから本番でのミスはなく・・・、

　　　・・・ってワケにはいかないんですよね～。

え？　ウソでしょ？　みたいなことも、
時にはやってしまうんです


それも、人の台詞に合わせて動くような場合は、
やはり危険と隣り合わせなのでして。

どんな時でも、
私たちが台詞を飛ばしたり噛んだりしたら、
彼らは、そこで何とか、
それに合わせた動きをしなきゃならない。

それも２人で、
打ち合わせなしのアドリブで・・・。


嵐のシーンに入る前。
私には正面切っての長ゼリ（長台詞）がありました。


自分のダンナと北条さんとの関係を説明する、
いわゆる「説明台詞」ってヤツです。

そして、何回目だったかの本番のある時、
客席に向かって喋りながら、

なんと！
ワンセンテンス飛ばしてしまった

それも、これまで一度も間違えたことのない台詞。
間違えるわけがないと、変な自信があったのかもしれません。

「昭和３６年１２月、ウチは荷物をまとめて、
　ウチの旦那になった人の家へ転がり込んだ。
　そこで会うたのが北条さんじゃった。

・・・そして、この後に続く、
「旦那の友達で同じ船に乗っちょる漁師じゃった」

という台詞を、丸ごとスコ――ンと飛ばしてしまった

　　　あああ、やっちゃった！

次の台詞を喋りながら、頭はフル回転状態。

このまま飛ばして終わっちゃおうか？
いや！それはだめだ！
これを説明しなきゃ次が続かない。

ってことは、やっぱり戻って説明せねば！
どうやって入れよう？？？


普通に台詞を喋りながら、
ミョーに行ったり来たりしつつ、
かなり無理やりな説明を入れつつ、

でもなんとか、同じ内容を説明し終えました。

多分、ほとんどのお客様には気づかれなかった、
・・・と思います（思いたい）。


しかし、かわいそうなのはセンターの２人で


（え？これから何の話になるんだ？）
（え？今度はまたそこに戻る？？）

こっちも心の中で「ごめんね」と思いながら、
でも、とにかく喋るしか仕方がない。


あとで原くんに謝ったら、

「いや、あそこは大体の段取りだけを決めて、
　自由に動く所だったので大丈夫でしたよ」

と言ってくれたけど、
きっとやりながら思ってただろうなぁ。


（おーい、いつまで喋る気だー。どこ行っちゃうんだーっ！)


　　　（つづく）




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