愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

テーマを絞り込む過程

2016年07月10日 | 名古屋マーケティング・インカレ
ゼミの3年生と4年生は研究テーマを一旦決定しました。3名しかいない3年生は,1チームで研究発表を行うことになり,当然1つのテーマを決定しました。彼らは昨年度からテーマパークを調査していたので,それに関連したテーマを探しました。その結果,導出したテーマは,「どうすれば海外テーマパークが日本に受け入れられるのか?」というものです。つまり,海外テーマパークが日本市場で成功するための原則ないしは指針を自分たちなりに打ち立てようというのです。

正直言って大きすぎるテーマです。学生の手には負えません。もっと絞り込んで,狭い,小さいテーマに修正しなければ,まともな発表はできないでしょう。

彼らは,理論的検討として,国際マーケティング論の標準化・適応化論を取り上げるとしています。標準化・適応化論は,国際市場参入を検討する際には避けて通ることができない議論です。したがって,国際マーケティング論の中心的議論で,数多くの既存研究が存在しています。国際マーケティングの教科書では必ず詳細に解説されます。まずは,これらのうち主要なものをきちんとレビューして,自分たちなりに議論を整理しなければなりません。ただし,それら主要既存研究の大半は製造業を対象にしていますので,サービス業とりわけテーマパークに応用可能なのかどうかも検討しなければなりません。また,サービス業の隣接産業である小売業を対象とした研究は,集客という点で,テーマパーク経営に参考になる可能性があるので,その国際展開に関する研究は詳細に検討する必要があります。

この標準化・適応化論を取り上げる際に,市場参入成功のカギとして,適応化を暗黙に想定するケースが多いようです。しかしながら,企業が製品・サービスのマーケティングについて標準化・適応化することと,それが市場に受け入れられることとは次元が違います。製品・サービスが標準化していても市場参入がかない,そこの消費者に受け入れられた例はいくつもあります。したがって,市場に受け入れられるとはどういうことなのか,日本市場を対象にするならば,そこで受け入れられることはどういうことなのか,子細に検討する必要があります。そのためには,テーマパークに関する日本市場の調査・分析をきちんと行わなくてはなりません。

これらのことをきちんと行いながら,個別企業の事例研究に入ってほしいと思います。学生の発表では,理論的検討を無視して,いきなり個別企業の事例研究を行うことが多い。うちのゼミの3年生たちもそうです。しかし,思考の枠組みや分析の視点がないまま,やみくもに事例を記述しても,まともな分析はできません。表面的な感想しか出てきません。学生は理論的検討を嫌いますが,それがなければ,一貫した論理を根底に持つ,分析ができないのです。理論的検討は大学ならではの学びです。そして,それをきちんと行えば,思考の枠組みができてくるので,大きなテーマを狭く絞り込むことが可能になります。今は枠組みがないから,ぼんやり大きなテーマを掲げてしまっているのです。

ゼミ生には,テーマを絞り込む過程に理論的検討が含まれることを理解してほしいと思います。

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