あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

新聞のルポルタージュを読んで

2012-11-14 14:25:29 | インポート

先日の新聞に、ルポルタージュ現在の特集記事として、コールセンターで働く人々の現状を紹介する記事がありました。コールセンターは、企業の取り扱う商品に対する 顧客のさまざまな意見や要望、苦情等の窓口となる部署です。相手の見えない 電話での応対となるので、担当者には、精神的な負担の大きい仕事なのだと思います。しかも、相手が納得するまで電話を切らないということがルールとなっているとのこと。苦情に対する対応では、感情的になっている顧客が、気持ちを落ち着かせて納得できるようにしなければなりません。かなりの忍耐力が必要とされ、ストレスも積み重ねってくるのではないかと思います。給与面では他の職種に比べ優遇されているようですが、途中でやめてしまう人も多く、全体の9割は非正規の社員が占めているとのことです。

ルポではヤマダ電気のコールセンターで働く人々が紹介されていましたが、「ぶっ殺す」といった過激な第一声に対する対応など、現場の大変な様子がひしひしと伝わってきました。コールセンターで働く人々がやめてしまう理由が、納得できました。

それにしても、企業にとってコールセンターとはどんな役割を持っているのでしょうか。考えようによっては、そこは企業としての良心が発揮できる場であり、顧客のさまざまな要望や苦情を受け止め、さらにより良い商品の提供やサービスの充実に努めることで、確かな信頼を得る 貴重な窓口にもなるのではないかなと思います。そうであるならば、なおさらそこで働く人々を正社員として積極的に登用し、給与面での優遇はもちろんのこと、精神的な面においてもしっかりとサポートできる体制づくりが求められているのではないかと思いました。商品を売って終わりではなく、その先も顧客との信頼関係を築く上で、コールセンターは最前線基地としての役割を果たしているのではないかと思います。

現場で働く市川さんは、ありがとう言われる仕事ではないけれど人と話すのが好きなので、やめないで続けているとのことでした。また、電話応対の中で、電話口で泣き続ける80代の女性の話を40分間も聞き続けたり、かけた一言が相手の心を和らげ、「無理いってごめんなさいね。」とねぎらわれたりすることも あったとのことです。「どんな相手でも受け止めるのが私たちの仕事です」という信念をもって働いているとのことでした。

私が現在関わっている 電話でのボランティア活動に重なるものが、その信念の内に込められているように感じました。

かけてくる人々の 切実な気持ちを汲み取り、相手の話を肯定的に受け止めるということ。見えない相手だからこそ、その第一声に真摯に耳を傾けるということ。相手が納得して自分から電話を切るまで誠実な対応を心がけること。

話を聞いてもらった80代の女性は、誰かに自分の悩みを聞いてもらいたかったのだと思います。話すことで、そして受け止めてもらえたことで、どんなに心が楽になったことでしょう。顔が見えないからこそ、自分では背負いきれないものを 素直に言葉にすることができたのかもしれません。電話相談の意義は、そんなところにもあるのかもしれません。

電話の向こうにいる人と 心を開いて向き合っていけるよう 改めて 努力が必要だと痛感しました。

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