あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

胸部破裂

2006-11-08 21:39:32 | 緊急
今日は外勤であったが下行の破裂が来ているとの事で、昼から病院に戻ってきて手術に参加した。
左心バイパスを行う予定であったが、開胸器を広げたとたんに破裂
圧無くなりVfとなってしまい、とにかく穴を押さえて中枢をクランプして出血のコントロールし復活。すぐにFFbypassを確立したが、あとから考えるに足から送血しても破裂孔からもれるだけ?であんまり意味なしか?
むしろ送血するなら頭と心臓の保護で上に送血管入れるべきだったのでは?
ただ末梢をクランプした後は、脊椎の保護にはなったと思うが、、。
通常は先にFFbeating確立してから開胸するのかもしれないが、それでも破裂したら結局、遮断して出血のコントロール付くまではサッカーで回したとしても、十分な圧は出ないのではないかと思うが、、、。
難しい、、、、結局、センター長いわく破裂してしまったときは、下行でも胸腹でも、そのまま単純遮断で行くのが正解なのだと。
確かに、補助循環確立する前に破裂してしまったらとにかく、指で破裂孔を押さえながら遮断して出血をコントロールするしかないのだろう、遮断さえできれば、あとはわざわざ心肺確立する必要は無いわけであり、、、しっかりvolumeを返すラインさえあれば、そのまま単純遮断で、末梢の脊椎、腹部分枝、下肢の潅流うんぬんよりも早く中枢吻合すべきなのかもしれない。

また、仮に左心バイパスを確立していたらどうなっていたのだろう。
そもそも左心バイパスの利点は何ぞやという話になってくる。
1.末梢の潅流ができること
2.volumeのコントロールが可能、遮断のときに血圧を下げることができる
これらはFFでも一緒
3.ヘパリンが少なくてすむ
4.いざというときにPV脱血管から左心系にvolumeを送ることができるので、上行送血に近いものとして、心臓と脳保護に送ることができる。ただし、beatingしていなくてはいけない、心マでも良いのだろうが。
いずれにせよ、とにかく破裂部位の中枢をクランプすることである。

今日の方も、結局は出血のコントロールをつけられたので、その後はいつもどおりの下行置換で4時間かからず終了となった。破裂のとき一旦Vfにはなったが心マして圧は出していたので、頭は守られていると思う。
先ほど少し目を覚ましたようなので、ひとまず安心であるがまだまだわかりません。