あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

心嚢ドレナージ

2009-07-12 21:26:04 | Weblog
今日は非番でしたので午前中は畑に肥料やって収穫して、午後はO市まで買い物に行く予定であったが、11時ごろに病院から電話、緊急でも来たかと思ったら、先々週のアーチの方が、心タンポだとのことで、術後、心嚢液はちょっとたまり気味でしたが、タンポの症状はなかったので、経過を診ていたのですが、今日は朝から調子悪く、血圧も低いとのことで、タンポの症状が出だしました。
今日は日曜日という事もあり、明日まで待ってもよかったのですが、個人的にタンポをほっといてあんまり、いい思いはしたことないので、すぐにドレナージすることにしました。
以前にいた施設では大動脈ばかりだったこともあり、結構レートタンポが多くて、症状がなければ様子を見ることが多かったのですが、結構、症状もはっきりしないことも多く、一例、突然、心停止した症例があり問題になりましてね。
また、これは他院で開心術受けて、退院後、突然のCPAで自分の病院に運ばれてきた方がいまして、蘇生はできたのですが、頭がダメで、、、。っで、その方もタンポがありまして、おそらく、心停止の原因だろうと思われました。
ですから、タンポに関しては、心停止するという恐ろしい印象が強くて、あまり様子を見るというのは好きではありません。
しかし、ドレナージにいって、その後、感染を起こし、残念な結果になった症例も経験したことがありますので、いろいろな意見があると思いいますが、自分個人としては、倒れるなら、前向きに、後悔したくないですね。

また、ドレナージの手技自体も恐ろしい経験を何度となくしており、ドレナージの際に、心膜をあけたつもりが、癒着していて右室に穴が開いてしまって、大事になってしまうなんて言うのは、何例かそばで見ていますので、心嚢ドレナージはなめてはいけません。
今日はエコーで癒着がないことは確認していましたが、それでも、かなりびびりながらやりまして、とりあえず、何事もなく終了しました。

あとは、局麻でドレナージというのも、何例か見ていますが、あれは、やられている方も、やっているほうも、みているほうも辛い、拷問に近いね、患者は暴れまくるで、、、、。
今日は当然、オペ室で全麻をかけて、しっかりと消毒してやりました。
手技自体は30分かからず終了。

その後は、すぐに予定していた買い物に出かけまして、帰ってきて、子供を風呂に入れて、先ほど無事、目も覚めて抜管いたしました。

あとは感染だけしないように祈るのみ。