ユニゾHDをめぐる争奪戦が目まぐるしい動きとなってきました。ユニゾHDって、もともとは旧興銀系の常和不動産という会社で、都内の一等地をはじめ、けっこう良い場所に優良物件を保有している不動産オーナー 兼 開発会社です。
ことの発端は、昨年の7月に、旅行大手のHISがTOBを仕掛けたこと。まぁ、以前からHISが優良物件を持っているユニゾHDと提携を持ち掛けていたのですが、ユニゾのトップがHISを全く相手にしなかったことから、結果として敵対的買収に発展してしまいました。保有物件の価値に比べて、ユニゾHDの株価が低迷していたことが主因なのですが、ユニゾ経営陣のHISへの対応にも原因があったと思います。
混乱を極めたのは、その後のユニゾHD経営陣の動き。HISへの対抗措置として、ソフトバンク系のフォートレスと組んだものの、途中で連携を撤回したりするものだから、新たにブラックストーンが買収提案に乗り出したり、直近では、ユニゾの従業員とローン・スターによるEBOが主役に躍り出たりしています。もし、このEBOが実現すれば、我が国初の事例となりますし、今の経営陣は2020年5月末までに全員辞任ということになります。
まだまだ予断を許す状況ではありませんが、この騒ぎをきっかけに、国内企業の「不動産含み益」に対する再評価の動きが活発化しそうです。日本株は、TOPIX全体のPBRがやっと1倍を超える状況下ですが、実質的にPBR1倍を割れる銘柄は4割近いと言われています。それは、所有不動産の含み益や、所有株式の含み益の評価が過度に保守的になっていることも一因。そもそも0%の金利の時代に、3~4%程度のキャッシュフローを生み出す資産はもっと高く評価されて然るべきなのですが、3~4%程度のリターンでは、株価アップの要因として認めてもらえないのが今の資本市場。結果として、国内株式の評価は上がらず、保有する不動産価値に比べて、かなり低位に据え置かれている事例が数多く見受けられます。
2020年の株式マーケットは、ユニゾHDをきっかけに、昭和61年~63年にテーマとなった「Qレシオ」が復活するかもしれません。そうなると、本格的なバブル相場は、むしろこれから始まるということになります。