金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】 イラン情勢 少し違った角度から見てみましょう。

2020-01-07 07:44:51 | 金融マーケット

 正月明けてみたら、イラン情勢で大騒ぎになっています。しかし、困ったことに、イランに詳しいエコノミストとか、アナリストって、まず日本には殆どいないのです。まぁ、商社の人が一番詳しいと言えば詳しいけど、本質的なネットワークを持っている人が限られている、真にニッチな世界であります。

 考えてみれば、日本の唯一の同盟国であり、世界最強の国、アメリカ合衆国は、なぜ歴史の長~い大国である、中国やペルシャなどの国々と上手くやっていけないのでしょうか。相手は、いずれも、一度は世界を支配したことのある(当時の「世界」のレベルではありますが‥)国々であり、何層もの、ド高いプライドを積み重ねている国々。その国の独裁者や絶対的指導者に対して、「俺に逆らうな。俺は無理なことをやるけど、お前らには許さない」というやり方を続けているのがアメリカ的な外交。これは、アイゼンハワーやニクソンの時代から、基本的なスタンスは変わっていません。塩野七生さんあたりは、その点を繰返し指摘しているのですけどね、ローマはもう少し上手くやっていたと。

 ところで、イランの革命防衛隊って何なんでしょうか。国軍とは別に、最大100万人くらいの兵を動員できる暴力装置だそうで、最高指導者直轄の組織らしい。とは言っても、一部の人は「あれは、戦前の関東軍と一緒」で、本部の指示を聞いても、聞かないふりをする独立組織だと。この組織を作ったホメイニ師の頃は言うことを聞いていたんでしょうね、きっと。でも、今のハーメネイー師のことは、とりあえず崇めてはいるが、直接の指令系統はあくまで革命防衛隊の司令官であり、司令官以外からの命令は来ない。例えるならば、室町時代の鎌倉公方と関東管領みたいなもの。室町幕府が創った組織でありながら京都の言うことをきかない。しかも、その指導者が国民から英雄視されている。

 まぁ、そのうち、北条早雲あたりが出てきて、最高指導者まで上り詰める「水源」になっていたのでないでしょうか。その前に、アメリカが暗殺してしまった。

 自分の予想ですが、本件は外交交渉のネタにはなっても、この後に何か偶発的なインシデントは起こらない気が致します。ハーメイニー師から見ても、イランの現大統領から見ても、けっこう危険な指導者がいなくなった‥という見方も出来ます。ペルシャや中国の歴史を紐解くと、多くの内容は「内紛の歴史」です。遠い外国との戦争なんて、まずやっている余裕はなく、適当なところで収束させるのが常ですから。


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