以前にも書きましたが、白鵬の立ち合いについて、横綱として相応しくないとか、品格がないとか、横綱審議委員の一部やマスコミが騒いでいますが、全く意味がないどころか、かえって悪影響が出かねない議論であることを、繰り返し申し上げたいと思います。
今の大相撲で最大のテーマは、①土俵上では常にガチンコ(真剣勝負)であること、②土俵外での不祥事(シゴキや違法な賭博行為等)を根絶すること、の2点。当たり前だと言うなかれ。大相撲の歴史を見れば、それの実現と継続がどれだけ難しいかは明白です。
特に、素人揃いの横審あたりから、横綱になると「堂々とした四つ相撲」を強いられることから、それまで押し相撲一辺倒だった力士が、早期に引退に追い込まれるか、あるいは「星」を買うか、という厳しい選択を迫られる‥。過去に、何度となく、そんな事態が発生していたのではないでしょうか。その発端の一つは、「横綱らしく」とか、「品格」とか、素人たちの無責任な要求だったと思います。
白鵬の立ち合いは、勢いのある若手に対して、ルールの範囲内でギリギリできることをしているだけで、これはガチンコである一番の証拠であります。それに対して、遠藤は、先場所の失敗を跳ねのけて、「カチあげには、脇のスキを狙った両差しを!」との鉄則を守った相撲で、横綱に借りを返す結果を出しました。
先場所の一番のあと、八角理事長が「(白鵬の立ち合いには)何の問題もない。遠藤が対処すべきことをしていないだけ」と、「品格議論」を一蹴していましたが、まさにそのとおり。本件については、ブレない八角理事長が非常に頼もしい。