7月25日(月)に行われた将棋の王座戦、挑戦者決定戦は注目の一戦でありました。豊島将之九段は御承知のとおり、元名人・元竜王であり、藤井聡太五冠の元祖「天敵」と呼ばれたトップ棋士であります。一方の大橋貴洸六段は、藤井聡太五冠と三段リーグを同時に勝ち抜いた「同期」であるとともに、ここ2戦、藤井聡太五冠に連勝している新「天敵」であります。
結果は元祖「天敵」の豊島将之九段が勝って、晴れて永瀬拓矢王座への挑戦権を獲得した訳でありますが、今年の王座戦五番勝負には、注目されるべき理由があります。
現在、将棋界のタイトルは、藤井聡太五冠が竜王・王位・叡王・王将・棋聖の5つを保有、渡辺明名人が名人・棋王の2つ、そして永瀬拓矢王座が1つ、という具合に分かれています。
藤井聡太五冠は現在、棋王戦トーナメントでベスト16、名人位挑戦決定リーグであるA級順位戦で1勝0敗となっており、もし、このまま勝ち抜いていけば、来年の2~3月で棋王位、4~6月で名人位への挑戦に向かうことになります。ここで両タイトルを奪取することになれば、8冠将棋タイトル独占が懸かるのは、来年の王座戦ということになります。
その時に、ラスト8番目のタイトルを死守する役目になるのは誰なのか? それを決めるのが、今年の王座戦ということ。
永瀬王座でも、豊島九段でも、藤井聡太五冠にとっては、相性面でも強敵揃いの面子になりました。
ちなみに、羽生永世七冠が、当時の7冠将棋タイトル独占を決める際のラストタイトルは王将位であり、その相手は、谷川浩司17世永世名人でありました。しかも、最初の7冠トライの時は、谷川王将が勝って、一度は羽生永世七冠のタイトル独占を阻んだのです。羽生永世七冠は、その後、1年間、他のタイトルを守り切って、あらためて7冠独占をかけて谷川王将に挑みました。そこで、ようやくタイトル独占が達成されるというドラマチックな幕切れでありました。
今回の8冠独占の際も、多くの将棋ファンは、大きなドラマが生まれることを願っております。その担い手になるのは、永瀬王座か、豊島九段か?
藤井聡太が登場しない王座戦ではありますが、こちらも注目の五番勝負となります。激闘を期待いたしましょう!!