金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【トランプ氏が2024年大統領選に出馬表明!】 狂ったシナリオと共和党の目論見は⁉

2022-11-17 04:37:19 | 金融マーケット

 米国中間選挙の結果が、上院は民主党支配、下院が共和党支配となりそうな情勢下で、トランプ前米大統領が2024年の次期大統領選出馬を表明しました。

 もともとは、中間選挙の情勢が上院下院ともに共和党が制すると予想されていた段階で、トランプ氏が「11月15日に重大な発表をする」と、フライング気味の「呟き」をしてしまったことが事の発端なのですが、中間選挙の結果が予想に反して、民主党の押し戻しに合い、むしろトランプ氏への責任追及の声が噴出する中での「出馬表明」となってしまいました。

 トランプ氏周辺の共和党幹部が、出馬表明を思い止まらせようとしている等の報道がなされていましたが、トランプ氏からすれば、むしろ自分への責任追及の声をかき消すつもりで出馬表明に踏み切ったと思います。

 「共和党予備選で、自分に勝てると思うのならば、デサンティス(フロリダ州知事)だろうが、リズ・チェイニー(前下院議員)だろうが、はたまたペンス(前副大統領)だろうが、かかって来いや!」てな、感じなのでしょう。

 

 しかし、今回の選挙でハッキリしたのは、30%程度存在するアメリカの無党派層は「もう、トランプにはうんざり」という強い拒絶感があるということ。このままトランプを担いでいたら、次の大統領選も共和党は勝てないことは明白であります。一方で、トランプを支持する基盤もまだまだ多いのは事実。したがって、次の大統領選までに、トランプ支持派を共和党支持派へ上手くスライドさせた上で、現職のバイデン大統領よりも強くエネルギッシュな新候補を立てないとダメということ。

 そのためには、トランプ前大統領には『噛ませ犬』になって貰うしかないと、共和党保守派たちは考えたのかも。

 

 トランプ氏が大統領選に立候補、しかし、フロリダ州のデサンティス知事、あるいはペンス前大統領が、共和党予備選の討論会等の場で、ケチョンケチョンに論破して、もうトランプの時代ではないことを熱烈な支持者にも分からせる。その勢いを買って、そのまま現職のバイデン大統領もケチョンケチョンにやっつけてしまう。このシナリオならば、2024年は共和党が勝利できます。

 ただし、2016年の時のように、トランプ氏を理屈だけでインテリ風に論破しようとすると、ヒラリー・クリントンと同じ過ちを繰り返すことになります。理屈だけでなく、有権者の心情に届くような論破にしないといけません。この点、デサンティスもペンスも、今から周到な準備に入っている気がいたします。

 

 今回のトランプ氏の出馬表明は、共和党からすれば、そもそものシナリオが狂った中での出来事ではありますが、いずれにしても、2024年の選挙で共和党が勝つためには、共和党内でトランプ支持勢力を一度、丸ごと飲み込むプロセスが必要であります。トランプ出馬を、共和党再生のための材料として活用する、それが共和党保守派の目論見なのかもしれません。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする