昨日は、世界中の政府関係者と軍関係者が肝を冷やしたことと思います。
第一報は、「ポーランドにミサイルが着弾し二人の市民が犠牲に! ロシア製のミサイルか⁉」でした。また、NATOに所属するポーランド政府から、ロシアを非難する発言が出て、一気に緊張感が走りました。
何と言っても、NATOは集団防衛を標榜する「軍事同盟」ですから、もしポーランドが第三国から襲われたら、アメリカをはじめ、NATO諸国はその第三国と交戦状態に移る約束を結んでいます。一気に第三次欧州大戦へ突入か⁉という危機でありました。
しかし、アメリカの初動は極めて冷静でした。バイデン大統領は、ミサイル着弾のニュースからまだ間もないタイミングで「ロシアが発射したミサイルの可能性は低い」と世界のメディアに対して断言したのです。
◎第一に、全世界に張り巡らされている米国の衛星監視カメラで、着弾したミサイルは、ロシアが発射したものでないことは、ほぼ判っていたこと。
◎第二に、ロシア・ウクライナともに限界点を超えている現紛争の停戦協議が、すでに米英仏が間に入って、水面下で行われていること。
◎第三に、タイミングよくG20のさ中だったため、中国を含めたG20参加国に対して、正しい情報を瞬時に伝えることができたこと。
突然被害を受けて犠牲者まで出したポーランド側は、当初、冷静さを欠いた言動も見せていましたが、アメリカの説得によって、「ミサイルはロシアの発射したものではなく、ウクライナの防空用ミサイルの可能性が高い」こと、そして「一方で、このアクシデントは、ウクライナを攻撃しているロシア側に原因がある」として、冷静さを取り戻すとともに、ウクライナを責めない姿勢と原因を作ったロシアへの非難、という形でいったん収束。
ここに至って、ようやく第三次欧州大戦=第三次世界大戦の危機は去りました。
こうした偶発的なアクシデントが、もし開戦から1~2週間くらいの時期に起きていたら・・と思うと、ゾッといたします。
あの頃は、まだロシア軍には余裕があって、闘う気満々の勢いがありました。何しろ二週間足らずでウクライナ全土を占領するつもりだった頃ですから、もしポーランドにミサイルが着弾して、相手から打ち返されたりしたら、もう現地では戦闘を止めることは出来なかったと思います。しかも、あの頃はアメリカが欧州大陸へ米軍増派を躊躇っていたタイミングでしたから、プーチンも「いけるかも!」と勘違いをした可能性があります。
いや~、歴史というのは偶然の産物と言いますが、特に大きな戦争が起こるきっかけは、国のリーダーにとっては『偶然の出来事』であることが多いのです。「オーストリア皇太子の暗殺事件」「張作霖爆殺事件」など、枚挙に暇がございません。
ウクライナの紛争も、早く手打ちをして貰わないと本当に危ない。そして台湾も同じ。
特に中国の陸軍・海軍ともに、共産党トップからの制御が行き届いているとは思えませんから、偶発的な米中開戦などが発生したら、もう目も当てられません。というか、日本は間違いなく巻き込まれます。