コロナ禍がそろそろ終わりに近づき、脱炭素に向けた大型投資を国家が旗を振っているにもかかわらず、日本の企業も個人も、ちゃんと将来のためのリスクを取った『投資』をしている主体が非常に少ないまま。リスクを取るのが仕事であるはずの金融機関ですら、脱炭素だぁ!と世間を煽っているにもかかわらず、回収可能性が高いデット投資ばかりで、エクイティに自ら投資している銀行はごく少数にすぎません。
個人金融資産が2000兆円を超えている国なのに、そのほとんどが銀行預金にまわり、そしてその銀行預金経由で、0%金利の国債や、0.5%以下の企業融資や円建外債へ投資されて、ほとんど利益を生まない事態となっています。
今の日本人の若い人も、老いた人も、口を揃えて言う言葉は、
「だって、先行きが不透明で、分からないじゃないですか?」
でもね。じゃ言うけど、
「先行きがよく見えていて、将来がよく分かっていた」時代が、過去にありましたか?
いつでも、先は不透明で分からないからこそ、今を一所懸命生きてきたんじゃないの?
そう言って、日本人がリスクを取らなくなっている間に、北米との間で、どんどん成長率の差が広がってしまい、インフレ差もあって、名目GDPの差は圧倒的。もう、ドル/円レートだって140~150円まで下落してしまいましたよ。これは日銀のせいじゃないのです。我々日本人が、ちゃんとリスクを取って投資をしなくなったせいなのですよ‼
こんな話をしていたら、ワタクシの会社の同期生で、今は家業を継いで、名門倉庫会社の社長をやっているS君。彼が言うには、日本の成長や投資が進まなくなった理由は、
「面白い人、怪しい人、変人、突拍子もない人たちが、集まってワクワクする話を語らう場所が少なくなったから」
確かに、昭和30年代~50年代では、赤坂の料亭に毎夜毎夜、有力な政治家と経済人や資本家が集まって、国家予算を活用した巨大な投資話の企てを繰り広げておりました。今となっては違法な相談行為もあったと思いますが、日本の高度経済成長を支えたエネルギーの一つだったことは間違いありません。
そして同じ頃、銀座の夜の街では、民間企業同士でも毎夜毎夜、次のイノベーション投資案件、次のイベント案件など、怪しい案件も含めて、新しいチャレンジ企画が渦を巻くように生まれていったものです。
これらの場所は、まるで『マグマだまり』。さまざまなアイデアと才能とお金が集まると、そこには『マグマだまり』が出来て、いずれ大噴火が起きる。昔の日本には、そんな『マグマだまり』みたいな場所が幾つもあって、それが投資エネルギーの源であったと。
確かに、そうだったかもしれません。あの酷いバブルを生みだしたのも『マグマだまり』ではありましたが、その前の高度経済成長や、技術立国日本を生み出したのも、あの『マグマだまり』。今や、赤坂に料亭などほぼ存在しませんし、銀座の夜にそのようなエネルギーは残っておりません。
その彼に、敢えて今の東京に残っている『マグマだまり』はどこなの?と聞いてみました。
S君いわく『西麻布』とのこと。
今でも、西麻布の夜には、東京中のいろんな才能が出入りしていて、怪しい話、面白い話をしながら、夢みたいな話から投資を生み出すエネルギーが渦巻いているとのこと。
投資をしなくなった多くの日本人や企業を嘆くよりも、投資に貪欲な人間が集まる聖地『西麻布』へ出かけて、もう一度日本をかき回してみませんか? 皆さん!