昨日は、2023年の最大のリスク『欧州』についてお話しましたが、本日は、その次のリスク『中国』について。
アメリカによる中国包囲施策は、ますます先鋭化しております。半導体周辺技術の提供禁止を、米国内企業だけでなく、日本や韓国、あるいはNATO加盟国などの同盟国全てに広げるつもりです。これらの経済政策によって、米中の経済圏が真っ二つに分かれることは必至の情勢になってきましたが、中国の消費者を主たるターゲットにしてきたドイツ産業はもちろんのこと、地理的に近くて経済的な依存関係が大きい、韓国や我が国にとっても、先々の成長を妨げる大きな要因になって参ります。
一方、標的になっている中国。ゼロコロナ政策による成長率低下と併せて、米国による中国包囲施策は、中国の成長スピードを著しく落とすことは明らか。その落込みの影響は、中国経済のみならず、当面の世界経済にも暗い影を落とすことになるでしょう。
ちなみに、中国は14億人もいる巨大経済圏であり、かつ労働力が豊富な世界最大の生産基地であります。必要な製品や食料が手に入らなくなるのだったら、自らで作れば良いと、思い切った『内製化』へ舵を切ることになります。唯一、外から手に入れなければならないのはエネルギーでありますが、原油・天然ガスといった主要エネルギーは、隣国ロシアからふんだんに入手できますから、それ以外の半導体、精密機器、電気自動車、電化製品、食料など、すべてを自給できる体制へ変えていくことになります。そしてこのことは、アメリカの『民主主義』ではなく、中国の『権威主義』を頼りにしていくアフリカ諸国、旧東欧諸国、アジア諸国が、アメリカ経済圏から脱出して逃げ込む『新たな経済圏』の出現を意味することになります。
このように、アメリカによって追い込まれる中国は、自力でそのピンチを乗り切る可能性が十分にあります。その時に、むしろ追い込まれるのは、アメリカとその同盟国になるやもしれません。
【追】一部のアメリカ政治通の方は、「アメリカの狙いはあくまで習近平総書記。中国共産党内で干された他派閥と組んで、習近平政権を倒せば、中国包囲政策は終了する」とおっしゃっていますが、歴史を振り返ると、アメリカは標的にした相手が徹底的に弱くなるまでは手を緩めません。今回も、やり過ぎるくらい、徹底した包囲作戦を続けると思います。
「アメリカがやり過ぎる」という点は、2023年に向けての第3のリスクと言えるかもしれません。