金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【中国共産党大会を終えて】 想定を超えた習近平1強体制へ しかしこれは・・⁉

2022-10-28 05:46:24 | 中国

 中国共産党大会が終わりました。

 

 先般10月18日の当blogで申し上げたとおり、新体制での常務委員メンバーの中身を見れば、10年前の共産党本部内での合意が、今でも活きているのか否か?が判ると。その結果は?

 もう色々な新聞で論評されているとおり、新体制の中身は想定を遥かに超えるものでありました。まぁ、習近平総書記による『やり過ぎ人事』と言って良いと思います。しかも、前総書記であった『長老 胡錦涛氏の退席騒ぎ』まで広く全世界に報道されるというオマケ付き。こうした報道は、もちろん中国国内では封印されているので、一般の中国国民には知られることはありませんが、海外に派遣されているエリートの共産党員や、海外旅行中の一般中国人は、全世界でBBCのTVニュースであのシーンを見る訳でありまして、相当なショックを与えていると思います。

 

 そもそも、中国人は『独裁者が嫌い』な国民です。中国には昔から科挙の制度があって、極めて優秀な官僚組織が政治を執り行う仕組みが確立しておりました。支配者である皇帝が交替しようが、あるいは王朝そのものが、宋から元になろうが、明になろうが、清になろうが、政治そのものは優秀な官僚組織が執行する仕組みであります。

 これは、横暴な皇帝、あるいは実質的な権力者である宰相クラスの猜疑心の強い人間が、中華の独裁者として君臨してしまうと、大抵国民にとってロクなことが起きなかったからです。したがって、常に優秀な官僚組織が用意されていて、トップが替わろうとも、独裁者を生まない仕組みになっている。すなわち、実務力のある官僚組織でトップの暴走を抑え込む知恵が存在しているのでありました。

 清の時代が終焉するとともに科挙制度は無くなりましたが、中華人民共和国では「中国共産党」という官僚組織が独裁者を生まない役割を引き継いでいますちなみに、2021年末現在で中国共産党員の数は9600万人となっています。

 

 今回の人事で、共産党上層部は習近平1強体制になったとはいえ、共産党員は9600万人もいます。しかも、旧江沢民派や旧胡錦涛派の傘下にはまだ多くの共産党員が存在します。このままでは終わらないと思います。

 習近平総書記の異例の3期目の条件は「台湾統一」。5年のうちに台湾統一の目処が立たなくなればなるほど、全国の共産党員の中から、反習近平のパワーが溢れてくることになると思います。中国経済は「ゼロ・コロナ政策」の影響で、これから急速に落ち込んでいきますから、国民の不満は膨れ上がっていくでしょう。そして「台湾統一」も、この5年で目処が立つことはないでしょう。

 

 今回の『やり過ぎ人事』は、やはり、「習近平政権の終わりの始まり」であると、自分は理解しております。だいたい、前述の胡錦涛氏の退場騒ぎの映像が英BBCの手に渡ったのは、党大会に出席していた共産党員の誰かが、命がけで流出させたからに他なりません。

 皆さんのお考えはいかがでしょうか?


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