雨の中、お水取りの[お松明]を見、[声明]を聞くために
奈良・東大寺「二月堂」へ向かった。
お水取りと言えば「お松明」と思われがちだが
お松明は、参籠所から礼拝堂へ「本行」に向かう
練行衆の足元を照らすもの
本行の3月1日から満願の14日まで行われる。
従って11本。
12日は特に大きな「籠松明」で松明の数も多い。
毎年すごい人で溢れる。
数年前までは12日と14日以外は
訪れる人も地元の人が中心でそんなに多くなく
土日がかからないと静かで
「修行」の雰囲気がじっくり味わえた。
それで、毎年12・14日ははずして出かけている。
しかし近年は拝観料等がかからないこともあるのか
ツアー観光の人達が押し寄せるようになったようだ。
だから本来少ないはずの雨の日でも関係なく一杯の人だった。
ありがたいことにお松明が始まる前に雨が上がった。
お松明はヒノキ等の燃える香りもよくいつ見ても勇壮だ。
二月堂の舞台を一人の童子が抱えて歩く。
毎年走る人や回す人がいて歓声が上るが
今日は雨のせいで床が滑るのだろう。
動きが少なかった。
お松明は童子自ら、自分が持つ分は日数分自分で作るらしい。
童子の身内らしい近くにいた人が話していた。
しっかり縛り、仕上げないと崩れてしまう。
お松明を見るとその香りと共に厳粛な気持ちになる。
遠い歴史といにしえへの思いが胸に訪れる。
だから毎年来るのだ。
お松明だけ見て帰る人多い。
でもこれからが本番なのだ。
今日は雨のせいで舞台が濡れているので
お松明のあといつもしているホースで水をまき
舞台にしみこませる作業がなかった。
だからすぐに舞台からの夜景に見とれ
奈良の風に吹かれることができた。
ここが何ともいえず好きだ。
清水の舞台よりもずっといい!
男子は「許可書」があれば練行衆が
「行」を行っている礼拝堂のすぐ近くに入れるが
女子は「局」まで。
真っ暗な「局」に入り「行」を味わう。
色々な「行」が行われているのだろう。
沓(高下駄のようなものか)の音が高らかに聞こえ
色々なパターンの声明が聞こえる。
ここに入ると気持ちよく漂う気分になり
時間が瞬く間に過ぎる。
今回は正面の局から「五体投地」も見ることができた。
東大寺の「五体投地」は激しく美しい。
その時々でご縁のある人を伴うことが多いのだが
いつもとても皆満足してもらえる。
今回も2人ご一緒したが本当に喜んでもらった。
声明の名残がまだ耳に残る帰りの道はとても静かで
さっきまでの雨が嘘のように月が煌々と照り
オリオン座も見えていた。