駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ルールの妙 竜王踏ん張る

2008年11月28日 | 趣味
 羽生名人の手が震えたら、対戦相手の次の五手目は投了と決まっている。居住まいを正して、力無く応ずるのが通例である。ところが竜王戦第四局は違った。渡辺竜王がストレート負けはあんまり?と、渾身の踏ん張りを見せた。
 どうも詰んでいるの直感に禁じ手の打ち歩詰めが抜けていたらしい?のである。 将棋にはいくつか禁じ手があり、駒台の歩を打って王を詰ますことは出来ないことになっている。他に二歩(同じ列に歩を二枚使うこと)の禁止、動けない場所に駒を使うことの禁止がある。たかだかこれだけの禁じ手によって、将棋の奥深さが雲泥の違いに深いものになっている。誰が決めたか、智慧のある人達が居たものだ。
 これは私の想像だが、名人が一瞬で詰むと見た局面が読んでみると、打ち歩詰めになっていたのではないか。空前名人羽生にも一瞬の虚があった。
 それともう一つ、竜王は3連敗を喰らったのに位負けを感じていない。これは偉い。絶賛に値する。名前を出して別に悪くないのだが、木村選手などは戦う前から既に不利になっている。名前を出して申し訳ないのだが、谷川さんも羽生名人を意識しすぎだ、だったになっていればよいのだが。
 羽生名人の震える手にも投了に追い込まれなかった竜王は一勝三敗と圧倒的に不利ではあるが、まだまだ竜王戦を楽しませてくれそうだ。
 
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番頭は出来そうにない

2008年11月28日 | 世の中
 温厚な川本三郎さんが声を荒げたことがある。どう見ても満室でない高級旅館で身なりを一瞥され、満室ですと宿泊を断られた時だ。当人は憤慨しておられるが、読者としては、旅館の女将にも三分の理と笑ってしまった。まず履き物がよろしくない。聞いた話では旅館の番頭は足下を見て懐具合を推量するそうだ。川本さんは歩き回られるので革靴を履いておられない。しかも軽装、男一人のぶらり旅。
 町医者は鋭く?観察するが、風体から懐具合を推し量る技術はさほどではない。中にはそうした才能に恵まれている町医者が居るかもしれないが、私は駄目だ。勿論、臭うような下着にぼろ靴では、私でも生活が大変そうだと見当がつくが、衣服や宝石に関しては鑑定力がなく、高級そうだなあくらいしか分からない。
 春先だったか、いつもはっきりしない訴えで、理解力ももう一つのYさんから吐き気がして食事が取れないので往診してほしいとの要請があった。Yさんは10回ほど食事指導を受けたにも拘わらず、意欲はあるものの結局理解不足で脱落してしまい、いまだに肥満体でお嬢さんと二人暮らしの50代のおばさんだ。
 地図を頼りにこの辺かなと路地を曲がると、豪壮な二階建て新築の家がある。まさかと思いながら表札を見るとY、「あらー、意外に立派ですねえ」。と看護婦のSが口走る。「そんなこと言うもんじゃないよ」。と言いながら実は同じことを考えていた。
 立派な八畳間のふわふわ布団に横になり、きょろきょろしているYさんの枕元にはしっかりした感じの中年男性、ご主人、の遺影が飾ってある。どことなく母親に似ているが、百倍くらい見栄えがしてすらりとした感じの良いお嬢さんがおしぼりとお茶を出してくれる。「こんなに大きなお家に二人で」。と言うと「婿が入ってくれました」。とのこと。経済力だけでなく、Yさんの幸運を呼ぶ力も見逃していた。どうも俺の目は節穴だったかと、反省しつつ帰院した。
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