日中はまだまだ暑いけれども、朝はもうすっかり秋で山の稜線がくっきりと見える。先日ちょっと遠出し、新東名を走りに行ってきた。東名と印象が異なり、山間を走り抜けトンネルが多い、日本は山国なのを実感させられる。
朝、医院を開けると、二三人の患者さんが待っており、順番取りに診察券を入れてゆく。私は無愛想な人間だけれども、「おはようございます」。くらいは挨拶する。さっと奥へ引っ込むことにしているのだが、時々「先生」。と呼び止められ、「昨日から足が浮腫むんだけど」。とか「昨日から下痢してます」。と病気の事を話される患者さんが居る。仕方なく少し相手をするが、事務も看護師も来て居らず診察体勢ではないので、もう少しお待ちくださいと話の腰を折ることになる。まだ診察時間ではないので別に不親切ではないと思うのだが、何となく不親切な医者のようで、話の腰を折って引っ込むのは嫌なものだ。
こうした自分のことで頭が一杯の患者さんに多いのだが、大切なことを伏せて話さない人が居る。一番多いのが既に他の医院で診て貰っているというパターンだ。いつ頃からどんな症状があったかと話を聞いてゆくと、どうも辻褄が合わない。なぜ10日間もほおっておいたのか聞くと、実はちょっと出先で診て貰ったような事を言われる。どこか他で診て貰って居ても、全く気にしないのだが、妙に気を遣われる方が居られる。私が、良い顔をしないように見えたら、そのことを最初に話してくれないからでどこか他の医院に掛かっていたからではない。そこでの検査、診断そして貰った薬が知りたいのだが、病名は分からない検査は異常なかった薬は持参するのを忘れたという方が多い。
折角の大事な情報を、無駄にしないで頂きたいと思う。本当に忘れたのと聞き返したくなる。顔を見詰めると、どこか隠そうという心理が働いているように見えるのだ。
勿論、医者の方にも少しは隠し事があり、A先生まじめで優秀、B先生良く出来るけどちょっと、C先生専門外の知識経験はもうひとつ、など先行医師の名を聞いて何も感じないわけではないが、どの先生に診て貰っていても、それで差別したり気を悪くすることはないのを知って欲しい。