体罰問題が過熱している。日本は何でも一辺倒になってしまう。熱し易く冷め易いで終わらぬ、実りある集中になればよいのだが。
体罰はよくない。殴るなんてもっての他だが、それが教育的な効果を生むのであれば手背を叩くことぐらいは時にあってもよいと思う。我を忘れ怒りに駆られて抵抗できない者を殴るなどというのは犯罪だろう。教育の仮面をかぶったいじめだ。
昔は地震雷火事親父と言われた。怖い抑止力を持つ人が存在したのだ。私の子供の頃には既にさほどのことはなくなっており、父も教師も恐ろしいというほどではなかった。それでも目上の人の言うことは素直によく聞いたと思う。
私が研修医になった十年位前までは恐ろしく怖い教授が居たと聞かされた。
最晩年のH名誉教授を存じ上げているが、小柄な好々爺でとてもそんなに怖い人には見えなかった。しかし現役の頃は大の大人が教授室に入るのに足が震えたというくらい怖かったそうだ。恨まれ疎まれる体罰教師と違い、H先生の思い出はどこか懐かしく語られる。恐らくそうして自分は一人前にして貰ったという感謝の念がどこかにあるからだろう。
思えば人を諭し叱るというのは、中々出来ることではない。それが出来る教師が今どれほど残っているだろうか?