今朝は吐く息が白かった。それでも、中腹まで雲が掛かる周りの山はどこか春めいて見えた。
患者さんはいろいろな言い訳?を考えつく。Kさんは六十代の糖尿病の女性だ。この数ヶ月、血糖値が上がり勾配なので、「食べ過ぎていませんか、運動していますか」。とチェックを入れる。
「食事は注意してますよ。毎日、一時間歩いてます」。と心外そうな答え、「原因はわかっているんです。ストレスなんです」。
「何か心配事があるんですか」。
「いや、旦那と居るのがストレスなんですよ」。
「えー、そうですか」。
「先生は、男だから分からないんですよ」。
「そうかなあ、夫婦なんて、お互い様でしょう」。
「先生はそうなんですか」。と看護婦までこちらを向いて、二人で尋問が始まる。
「そーりゃ、あーりゃ」。と、慌てて口をつぐむ。