本の雑誌の目黒孝二さんが長時間飛行機に乗る時には読む本を何冊か持って行くと書いていた。三十年も前の話だが、それを憶えていて海外旅行では二三冊普段読めない本を持って行くようにしている。
何日も前から少しずつ用意するようにしているのだが、出掛けというのが鬼門で今回は腕時計と読む本を忘れてしまった。幸いキャリーバックの内側に新井紀子さんの「計算とは何か」が入れてあったので助かった。
今更計算とは何かと思われる方も多いと思うが、読んでみられればいやあこんな本が読みたかったと痺れるだろう。数学は嫌いではないが得意というわけではない。教師のせいにしては申し訳ないが、どうも数Ⅲの教師と相性が悪く、教師のやり方と違う方法で解いたら、これでは点数をやらないと言われ嫌になった記憶がある。
残念ながら、数学の本は難しく小説のようには読めないし、帰りの飛行機では殆ど寝ていたのでまだ全部は読めていない。しかし、なるほどそうかと感じ入る説明が続いており、私のような数学の素人にお勧めできる本なのは間違いない。Πがこんな式で表されるなんてと不思議な美しさに感動できる。
数学など何役に立つのかと言う人が居るが、的外れな問いだと思う。語学にしても凡そ学問は役に立つためにあるのではないような気がする。試験に使われるので、誤解されていると思う。